改めて安全運転の大切さや事故の怖さを感じました。…安東弘樹連載コラム
今年最後のコラムです。皆さんにとって、2023年は、どのような年でしたでしょうか。
以前も書きましたが、今年は世界のモータースポーツシーンで日本メーカーや日本人ドライバーが活躍して、私も含めてモータースポーツファンにとっては良い年になったと言えるでしょう。
ただ、今年の漢字が「税」になるなど、社会全体として閉塞感は打破されないまま年が暮れそうです。
そんな事も考えて12月の仕事をしていたのですが、先日(今月中旬)の夜、首都高速を走行中(正確に申し上げると停止中)、追突事故に巻き込まれました。
一つの仕事を終え、次の現場に向かう途中、首都高速道路の江戸橋ジャンクションから箱崎ジャンクションに向かう時に、渋滞が始まったので、停止し暫くした、その時です。
後ろで短いスキール音(タイヤと路面が擦れる音)がしたと思ったら、すぐにクルマとクルマが衝突するガシャンという凄い音がして、予想通り?私のクルマにも「ドン」と衝撃が伝わってきました。
後ろで衝突音が聞こえたので身構える事が出来たのが良かったのか、今のところ(事故から数日経過)身体に異常はみられません。
ただ、後日連絡をくれた保険会社には「2週間ほどは様子を見た方が良いです」とは言われています。
それにしても、ぶつけられた瞬間は思わず、「マジかよ…」と呟いてしまいました。
その日はレギュラーのラジオ番組の収録を終えて、次の日の朝からの地方ロケ(関東地方)の為に、前乗りで現地に宿泊する予定で、首都高速6号線経由で常磐自動車道に乗る予定だったのです。
事故に遭ってすぐに私は車内から110番通報し、状況を伝えました。状況が伝わったところで、警察の方には電話で「車内が安全な状況なら車外にはできる限り出ないで下さい」と言われた為、車内で待っていると、若い男性が二人やって来ました。揃って「申し訳ございませんでした。お怪我はないですか?」と訊いてきましたので、「大丈夫です。お二人は?」と伺ったところ、一人は手から少量の出血はありましたが、「大丈夫です」との事。
しかし、もう一方は、「頭が痛くて、少し気持ち悪い」ので救急車も呼んでいる、とのことでした。同時に来たので、知り合い同士か尋ねたところ、二人は知り合いではなく、渋滞の最後尾で止まった私のクルマの後ろに、もう1台が止まり、そのクルマに、手から出血していたドライバーのクルマが追突したそうです。そして、「頭が痛い」と言っていたドライバーさんのクルマが玉突きの形で私に衝突した、というのが事故の概要でした。
それでなくても交通量が多い江戸橋ジャンクションの殆どの車線を塞ぐ形で、私の後ろのクルマと、衝突したクルマは完全に大破して横向きになっています。僅かの隙間から後続のクルマが割れたガラスや破片を踏みながら走行していきましたので、そのクルマのタイヤなどが心配でしたが、1台が抜けると次から次へと、その隙間を後続のクルマ達が走り抜けて行きました。
私の通報から15分ほどして、警察車両と首都高速のレッカー車、消防自動車、その後から救急車が到着。警察の方の事情聴取に3人、別々でこたえて、撮影などをしましたので更に40分ほど現場に滞在し、その間は1車線だけクルマが通れるように警察の方と首都高速の方が片付けをして、誘導しながらの通行になりました。
多大な迷惑が掛かったと思います。
私のクルマは衝突された衝撃で右の後ろのタイヤにタイヤハウスが干渉して、当初走れない状況でしたが、首都高速のスタッフの方がレッカー車に積んであった工具で、部品がタイヤに干渉しないように応急処置をして下さり、取りあえず、自走できるようになりました。
一応、レッカー車を手配したのですが、「首都高速道路上でレッカー作業をするのは、様々な弊害があります。自走できる様にしましたので、一旦、自走で一般道に降りてから、レッカー作業をして下さい」と言われて、事故現場を離れる事にしたのです。
ただ、一般道に降りても中々レッカー作業をする場所もなかった為、応急処置がしっかりされていて、バンパーが落ちたり、他の部品が落下、飛散する様子も皆無でしたので、時々停まって、様子を見ながら帰宅する事が出来ました。
私のクルマは、あれだけの衝撃を受けながら、全てのドアの開閉も問題なくできて、後ろからの衝突にもかかわらず、リアゲートの電動での開閉も通常通り可能で、改めてこの愛車が自分を守ってくれたのだと、痛感しました。
私のクルマはSUVで、衝突してきた車は一般的なセダンでしたので、当たった位置がクルマの下部だったのも良かった様です。応急処置をして下さった首都高の方も、「下回りも見るからに頑丈そうなクルマなので、走れると思いますよ」と言って下さったので、本当にその車体で私を守ってくれたのだと思います。
自覚症状は無いものの、身体が完全に無事なのかは分かりませんでしたが、翌日のロケには共演のタレントさんもいらっしゃいますので、一旦、帰宅して他のクルマに乗り換え、そのまま、ロケ現場に向かいました。もし少しでも身体に変化を感じたら、すぐにクルマを駐車場に停めて、救急車を呼ぶ、と妻には約束しての現場行きです。
深夜にロケ現場近くのホテルに到着して、身体の様子をうかがいますが、取りあえず変化は無さそうでしたので、そのまま眠りにつきました。
翌日、無事にロケも終え、5日間ほど過ぎた今現在に至るまで、身体に変調は無い状態です(まだ無事であるかの結論は出せません)。
ただ、私の後ろのクルマのドライバーさんが心配でしたが、その後連絡を下さり、病院での検査の結果、怪我や脳出血などの異常は無かったそうで、ひとまずは安心しました。しかし私より、直接あれだけの衝撃を受けていらっしゃるので、まだ予断は許しません。
ご無事を心から祈ります。
そして今後も暫く、様々な手続きがありそうです。
つくづく、交通事故というモノが加害者は勿論、被害者にも様々な影響を与える事を実感しました。
「安全運転に努める」ことぬきに事故の発生を減らすことは出来ない
今回は大きな事故にもかかわらず、3台とも同乗者がいなかった事や、3台とも割と大きなクルマであった事、など様々な要因により大怪我を負った方が奇跡的にいなかった事は正に不幸中の幸いであったと言えます。真ん中のクルマの破損状況を見ると、後部座席に人が座っていたら、間違い無く重傷レベルの怪我をされていたと思います。
その場合、事故を起こした1番後ろのクルマのドライバーは、どうなるか。
そして何より、怪我をされた方の人生には大きな影響があったのは間違いありません。
事故の原因(一番後ろのドライバーが何故、衝突したのか)は私と私の後ろのクルマのドライバーさんには伝えられていませんが、警察は調べているはずです。
ちなみに、正確にはわかりませんが、追突した1番後ろのクルマは、車種(高級車)、年式(最新に近い)を考えても自動ブレーキ(衝突被害軽減ブレーキ)の設定はあるとおもいますが、止まる事は出来ませんでした。スピードを出し過ぎていたのか、夜間でしたのでセンサーやカメラが検知できなかったのか、もしくは道路状態や車両状態などにより作動しなかったのかもしれませんが、理由は分かりません。
これだけ様々な安全デバイスがクルマに装着される時代になっても、クルマを操るのは人間であり、安全デバイスはあくまで運転を支援する機能ですので「安全運転に努める」ことぬきに事故の発生を減らすことは出来ない、という事を皆様にお伝えしようと思います。
クルマを運転するかぎり、私も含めて全員が加害者になる可能性も被害者になる可能性もあるという事を、今回改めて痛感しました。
しかも今回は、私と私の後ろのクルマが完全に停止している時に追突されましたので、事故を防ぐ為には何も出来ませんでした。私の後ろのクルマのドライバーさんは、事故直後に「もう少し車間距離をとって止めていたら追突しなかったかもしれません。申し訳ございません」と謝って下さいましたが、最初の衝突から私のクルマに衝突するまでの時間を思い出すと、十分、常識的な車間は取れていたと思います。とても誠実な方だと思いました。
そう、止まっていても事故には遭うのです。
年内最後に、この様なコラムを書くのは心苦しいのですが、来年に向けて更に安全運転への決意を新たにすると共に皆様にも、あらためて事故の怖さを感じて頂ければと思い、2023年の結びのコラムとさせて頂きます。
皆様は、どうか良いお年をお迎え下さい。
そして2024年が良い年になりますように…。
安東弘樹
安東弘樹連載コラム
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