長岡まつり大花火大会に行ってきました!…安東弘樹連載コラム
先日、8月3日(土)人生で初めて長岡まつり大花火大会(以下、長岡花火)に行って参りました。
勿論、自分のクルマを自分で運転しての往復でしたが、あらためて自分にとって新潟県長岡市が近い事を実感。千葉市の自宅からは320kmほどの距離です。関越自動車道、土曜日の下り線ですので、午前中は、かなり渋滞すると予想し、前日(2日金曜日)の仕事が終ってから、夜に熊谷市まで行き、泊まって午前10時にホテルを出て長岡に向かいましたが、これが大正解。当日3日(土)の午前中、関越自動車道で熊谷(花園インターチェンジ)より東京寄りの埼玉県内で事故による大渋滞が起こっており、私は既に、その事故現場より長岡寄りにいましたので、その後、群馬県内で少しの渋滞に遭遇しただけで13時には長岡に着いてしまいました。
正に、あっという間で、気付いたら長岡インターチェンジに到着した、という感覚です。ホテルには、まだチェックイン出来ませんので、長岡の道の駅「ながおか花火館」で昼食を取って、チェックイン時間まで時間を繋ぎます。そこで長岡花火について、あらためて勉強する事が出来ました。知れば知るほど、今回、長岡花火を生で観覧出来る事に感謝の念が積もります。
私の人生の「夢」であった長岡花火に、今回行ける事になったのには理由があります。
実は私自身、花火は大好きなのですが、これまで、いわゆる「花火大会」に行った事はありません。基本的に人混みが苦手で、好きなアーティストのライブにすら殆ど行った事が無い位ですので、往復の移動の事などを考えても自分には縁が無いと、これまで思ってきました。
ただ、長岡花火だけは、メインの花火「フェニックス」を観る為に毎年、YouTubeなどでLIVEの映像を楽しんでいて、これだけは、いつかは実際に現場で観てみたいと、ずっと思っていたのです。
しかし今回もチケットは気付いたら完売、しかも当日の宿泊施設も長岡から少し離れた「新潟」も含めて半年前から取れない状況でしたので、諦めていました。
今年も映像で楽しもうと思っていた、ある日、所属事務所から嬉しい案内が来たのです。
私が、ここ数年、「長岡米百俵フェス」という音楽フェスの司会を担当してきた事から、私の事務所経由で、花火の観覧席を取っていただける、との案内でした。
何しろ事務所経由ですのでスケジュールも問題ないとの事。勿論、断る理由はありません。正に奇跡が起こったと思い、有難く人生初の花火大会観覧となりました。
長岡花火が本格的に始まったのは明治12年ですが、太平洋戦争へと動き出した昭和13年から一旦休止されます。そして太平洋戦争末期の昭和20年8月1日の夜から翌2日の未明に掛けて行われた長岡空襲で1480余名の方が亡くなり、市内の80%が消失しました。
しかし戦後2年経った昭和22年。空襲で亡くなった方々の慰霊の為に、長岡花火は復活。それ以降、曜日に関係なく空襲があった8月2日と翌3日の二日間、花火大会を開催しているのです。今では日本三大花火大会の一つに数えられる長岡の花火ですが、慰霊、鎮魂の意味合いが直接、込められているのが特徴。そんな事もあって、私は毎年、可能な限りリアルタイムで中継される映像を観ている、という訳です。
そして、この長岡花火の「顔」となっているのが平原綾香さんの楽曲「ジュピター」に乗せて打ち上げられる「フェニックス」という花火ですが、今年は特別バージョンとして、例年より多くの花火が打ち上げられるとの事。それも楽しみでした。
18時にホテルを出発して、現場の河川敷に到着。河川敷には木の板で作られた簡易的な席が並んでいます。そこに番号が書いてあり、自分のチケットの番号と照らし合わせ、無事に席に着きました。現場は、ちょうど夕暮れ時。この夕陽を眺められただけでも感動、と言えるほど美しい夕陽です。そして空が暗くなってきた18時30分にテスト花火の打ち上げ。
気分が徐々に高まってきます。そして19時過ぎ、いよいよ花火大会がスタートしました!
それぞれの花火を打ち上げる主催チームと花火の名前が読み上げられ、その度に打ち上げられるスタイルで、打ち上げの度に「~、打ち上げでございます!」との長岡花火独特のアクセントによるアナウンスに合わせて、日本最大級の大きさの花火の競演が続きます。
観覧席の正に真上に打ち上げられる大きな花火は、その音と振動が、直接、耳や身体全体に伝わってきます。これは映像では感じられません。本当に実際に観覧する事が出来て良かった、と痛感しました。
最近は花火の色や形も多種多様で、飽きる事がありません。
そして花火大会の、ちょうど折り返しの時間、あの「フェニックス」の打ち上げです。
今年は能登半島地震で被災された方々を元気にする花火として能登半島が舞台の2015年のNHK連続テレビ小説「まれ」の主題歌、「希空~まれぞら~」を長岡小学校の皆さんが歌うバージョンを前半部分に使用して打ち上げられる特別バージョンですが、後半は、勿論、前述の「ジュピター」をBGMに打ち上げられます。平原綾香さんの声で始まる、この楽曲が流れた瞬間から、後半が始まりました。
圧巻の7分半…、正に目の前、いや真上に近い場所に上がるフェニックスは、美しいだけでなく、あらためて慰霊、鎮魂の想いを喚起させ、気付くと涙が流れていました。
79年前の、ここ長岡は地獄絵図の様相だったのです。
平和だからこそ、花火を楽しむ事が出来る。その事を実感し、感謝の気持ちも湧き上がって来ます。
実際にコロナウィルスの蔓延によって2020年2021年の2年間、戦後で初めて、長岡花火は中止になりました。当たり前ではない、日常や平和。その事を考えながら観る花火が、私を様々な感情にします。本当に実際に現場で、長岡花火を体験する事が出来て良かった、としみじみと実感しながらホテルへの帰路につきました。
そして翌日は、これも私にとっては楽しみの一つ、長距離ドライブが待っています。
最も、長岡から自宅までの320kmは私にとっては長距離とは言えませんが、最近、ちょっと仕事が忙しく、まともな距離を走れていませんでしたので、嬉しかったのは事実です。
長岡で花火大会の関係者の方に、「新幹線の席は取れましたか?」と訊かれ「あ、クルマで来たので問題ありませんでしたよ。」と話をすると、驚かれる事に、あらためて私は驚くのですが、500km~1000kmのドライブが日常の私と、一般的な方との感覚の違いを再認識する事にもなりました。
実際に長岡からは、関越自動車道で正に、あっという間に埼玉県の上里サービスエリア付近に到達してしまい、まだ運転を続けたかったのですが、休憩も必要なので上里S.A.に寄り、早く運転したいので20分で急いで食事をとり、クルマに走って戻り、運転再開。私は出来るだけ早く運転したい為、休憩が終ると走ってクルマに戻るのが癖になっています。
日曜日の高速道路の午後の上り線、ですので渋滞を覚悟していましたが、意外にも、ほんの少しの区間だけの渋滞にとどまり、拍子抜けするほど早く千葉の自宅に到着してしまいました。
それにしても、昨今の灼熱地獄の中、基本的にエアコンの効いた車内で、運転、という、この世で一番の快楽を感じながら、自宅の玄関に着ける。あらためて自動車、という物の存在に感謝しかありません。
しかし花火もクルマの運転も平和でなければ楽しめないのです。
長岡までクルマで赴き、念願の花火を観覧して、繰り返しになりますが、平和の尊さを実感しました。
月並みですが…、世界中が平和になりますように。
安東弘樹
安東弘樹連載コラム
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