高速道路の喫緊の課題…安東弘樹連載コラム
先日、大阪で行われるイベントの司会の仕事のため、自家用車を自分で運転して、現場まで赴きました。
時間の制約がない限り、私は少なくとも北は東北から西は山口県までは(本当に時間に余裕がある時は九州も含む)自分のクルマを自分で運転して移動します。
プライベートでしたら北海道へもクルマ移動が通常なのです。
何度かお伝えしていますが、私にとってクルマの運転自体が楽しみの一つですので、苦痛は一切ありません。
当然、大阪での仕事はクルマ通勤です(笑)。司会をする際の衣装である自前のスーツを2着、靴も2足、自分で持っていきますので、そういった意味でも新幹線よりクルマの方が楽なのは御理解頂けると思います。
イベント前日、レギュラー番組の収録を終えたのが17時半位。都内にある収録現場のスタジオを出発して、まずは当日宿泊する大阪のホテルに向かいました。
距離は、ナビゲーション曰く504km。到着は24時半と表示されています。約7時間の行程、という事。大体ナビゲーションの到着予定時刻より早く着く傾向にあります。
今回も自分の予想としては24時には到着すると考えていました。
長距離を運転出来る、というワクワク感を携えて、大阪に向けて出発です。
東名高速道路に繋がる首都高3号線は、いつも通り渋谷ランプ手前から渋滞…。
ナビによる到着予定時刻が、みるみる遅くなっていきます。
しかし、道路情報の表示板によると東名高速道路自体の渋滞は無さそうです。
渋滞に少し焦りながら、しかし慎重に運転を続けました。表示通り、首都高3号線の三軒茶屋ランプを過ぎた辺りから道は空き始め、その後も少し流れが停滞する箇所もありながら、渋滞にはなっておらず、東名高速道路に入ってからは順調に走る事ができました。
私が東名高速や新東名高速走道路を使う場合、2時間ぐらい連続で走るのですが、今回は昼食を食べていなかった為、早めの夕食をとろうと足柄SAで休憩する事にしました。
大型車が空いているSAやPAは皆無…
足柄に入る前に駐車場の空き情報を道路上の掲示板で確認した所、小型車(乗用車)は「空」のマークが点灯していますが、大型車(トラックなど)は「満」のマーク。普段から、特に夜間は、そういう事が多いので、「またトラックドライバーの方は変だな、」と心配しながら、小型車用の場所に駐車しようと思ったら、やはり小型車のスペースに大型車が、何台か停まっていました。
しかし大型車スペースが満車ですし、小型車スペースには余裕がありましたので、やむを得ないだろうな、と素直に感じられました。
簡単な食事を済ませ、日本の物流を支えて下さっているドライバーの皆さんの安全を祈りつつ、SAを発ったのです。
それにしても足柄の手前の海老名SAも大型車だけ「満」だった事を思い出し、少なくとも東京から西へ向かう高速道路の駐車スペースの慢性的な不足を実感しながら、「自分だったら、どうするだろう?とシミュレーションをしながら更に運転を続けました。
すると、次のPAも大型車「満」次のPAも同じ…、そして次のSAも「満」…、いつになったら大型車が空いている休憩所に辿りつけるのだろうと思って走行を続けます。
新東名高速道路から伊勢湾岸道へ。ついに大型車が空いているSAやPAは皆無でした。
そして、何と道路情報によると大阪への王道の高速道路、新名神高速道路の一部が通行止め、更に平行している京滋バイパスも工事中…、え?これは今日中に大阪に辿り着けるのかと不安になってくる様な情報が続々と入ってきます。
取り敢えず新名神高速道路の鈴鹿PAで、その日2回目の休憩をとりトイレだけ済まして出発したのですが、やはり大型車は満車でしたので、小型車のスペースに停めているトラックが見られます。1台のトラックは小型車数台分の面積を専有しますので、大型車が満車で無ければ、完全に迷惑行為ですが、状況が状況だけに何とも言えません。
複雑な想いを抱えながら、通行止め区間を迂回し、夜の高速道路を疾走し、何とか11時半には宿泊するホテルに到着しました。
こんな事は私の高速道路走行経験の中でも、恐らく初めての事だと思いますが、東名高速道路の起点である東京ICから大阪のホテルに到着するまで、全てのSAとPAの大型車用の駐車場が満車だったのです。
しかも小型車スペースやSAやPAへの進入路や退出路に停めている大型トラックも見られましたが、それでも尚、大型車を停める隙間が無い、という状況を目の当たりにしました。
これは深刻な状態です。運ばれる物資は減らないどころか増えていく傾向にあります。これでは物流を担うドライバーの皆さんの負担も増えるばかりと言えるでしょう。
しかも2024年問題といわれる残業時間の規制やETCの深夜料金体系の変更など、問題の解決に向け、何かを変えようとしているのは理解出来るのですが、専門家や、当事者によると、その内容が、どうも100%合理的とは言えないそうです。
ETCの料金に関しては、間違った情報をお伝えするわけにはいかないので、サイトの情報を、そのまま引用しますと、こんな感じです。
「深夜割引料金の対象を2024年度末ごろから午後10時〜翌5時走行分に限定する。対象時間を従来の午前0〜4時から拡大する一方で、設定時間外の走行分は除外する。割引適用距離を伸ばすための長時間運転や、割引待ちの車両の滞留を抑止する。
割引料金は後日還元型に変更する。自動料金収受システム(ETC)で通常料金を一旦徴収した後、割引分をETCマイレージなどで後日還元するかたちになる。マイレージサービスの事前登録が必要になる。高速道路の専用アンテナなどで割引時間帯の走行距離を算出する。
現行制度では0〜4時の間に少しでも高速道路で走行していれば、対象時間外の走行分も含めて全走行区間の料金が3割引きになる。割引適用距離を伸ばすための速度超過や長時間運転の温床になり、安全や労働環境の悪化につながっていた。
割引をねらう車が対象時間に高速道路上にとどまるために0時直前にサービスエリアなどに滞留する課題もあった。
新制度では1時間あたりの割引対象距離も大型トラックで最大90キロメートル、普通車などは105キロメートルに制限する。距離を稼ぐ目的の速度超過を防ぐ。」
引用:日本経済新聞
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUF126160S4A710C2000000/
と、まあ変更自体は理解出来るものの、内容に関しては正に賛否両論で、若干、批判の方が多い、という印象です。
私個人的な意見としては、商用車(その中でも緑ナンバーの営業車だけでも)は全て、時間に関係なく30%の割引を適用しても良いのではないか、とさえ思っています。
物流は経済の血液と考えれば、今の日本の状況では、それくらいの優遇があって然るべきではないでしょうか。
高速道路を運営するNEXCO各社への収益に、どの程度の影響があるか、私には詳しくは分かりませんが、世界的に見て、今現在でも「かなり高い」と言える程の料金であるのは確かです。
コロナ禍での収益減から脱却した事で直近の財務状況は良くなっていますし、日本経済、全体の事を考えると、流通コストやドライバーの負担を軽減する事を優先するべきだと、私は考えます。
その上で、とにかくトラックなどの大型車の駐車スペースの拡充は急務だと考えます。既存のSAやPAの設備の代わりにトイレと自動販売機だけ設置し、とにかく駐車スペースだけ広大な低コストのパーキング設備を造るのも一つの方法ではないでしょうか。
今回の大阪での仕事は、日本を代表するクルマ用品店の周年イベントの司会でした。奇しくも、その仕事に向かう道中で、今の高速道路の問題点を目の当たりにしたのも、何かの運命だと、勝手に感じています。
安東弘樹
安東弘樹連載コラム
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