クルマ好きの新年会は今年も大盛況、東京オートサロン2026…安東弘樹連載コラム
クルマ好きにとって新年を感じるイベント、東京オートサロン2026(以下TAS)が今年も1月9日~11日まで、幕張メッセで無事に開催されました。
3日間の来場者数は27万2383人。これは昨年より1万4千人ほど上回り、コロナ禍以降で最多だったそうです。
年々、盛り上がりを見せるTASですが、今年の熱気も相当なものでした。
時間によってはブース間の通路は、さながら満員電車のようで、歩くのもままならない状態。
ジャパンモビリティーショー(以下JMS)の時も言及しましたが、今後、展示の仕方や会場の在り方も根本から考える時期に来ているのかもしれません。
さて、私は3日間それぞれ業務があり、文字通り、朝から開催時間が終わるまで幕張メッセに缶詰状態になり、存分にTASを堪能させていただきました。
アップガレージ ブース
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UPGARAGE AMG GT3
初日は、まず自分が担当するTBSラジオの番組「UP GARAGE presents ガレージヒーローズ」のスポンサー、アップガレージさんのブースの取材から。
モータースポーツを盛り上げようと奮闘するチームアップガレージの今年2026年の体制、発表会が行われ、スーパーGTのGT300クラスに参戦するドライバーのお披露目も行われました。
小林崇志選手は、チーム9年目のベテラン。今年もファーストドライバーとしてチームを引っ張ります。
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TEAM UPGARAGEの新体制が発表された
そして今年からパートナーに選ばれたのは、現役東大生ドライバー、新原光太郎選手。F4などでの活躍が認められ、今回チームに加わることが決まりました。私の記憶や調べた範囲ではスーパーGTでは初めての東大生(卒業生含む)ドライバーだと思います。
早稲田大学卒のチーム代表兼、総監督の石田誠さんが率いる高学歴チーム?TEAM UPGARAGEを皆様、どうか応援してください!
そして、その後は、可能な限り、各ブースを観て回りました。
2000年代から本格的に国内大手メーカーやインポーターが出展するようになり、特に輸入車ブランドは、JMSよりも多くのブランドが出展するため、半日で観て回るのは至難の業です。
その中でも個人的に「外せない」車やパーツ、ショップなどを駆け足で観て回りました。
HONDA/無限 ブース
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スーパーONEプロトタイプ
自分の初めての愛車であるHONDA・シティーターボⅡをオマージュした、HONDAのBEV「スーパーONE」はJMSより近くで見ることができたので、おもわず興奮。
HONDAはモータースポーツ色の濃い無限ブランドとしての出展をしており、日産はNISMO、の様に各メーカー、スポーツブランドと併せての出展となるのがTASの特徴。
善し悪しではなくJMSよりも「クルマ好き濃度が高い」のが会場全体から伝わってきます。
GR GT
そしてJMSと同じく圧巻だったのがTOYOTA GAZOO Racingブース。
これもJMSと同じく別棟、北棟の多くの面積をダイハツやトムスと言ったグループブランドで占め、ひときわ存在感を示していました。
その中でも特に人気だったのが、先頃発表された「GR GT」の市販車版と多くのレースで走るであろうGT3車両のGR GT3.
実は特別公開日の9日には時間の関係で観に行けず、一般公開日の11日に行ったのですが、近づくのにも一苦労で、イベント終盤の18時頃に行ってようやく写真を撮ることができました。
GR GTの開発の原動力が「悔しさ」だった、と大きくブースの壁に記されていましたが、これには個人的に大きく頷いてしまいます。
豊田会長が初めてドイツのニュルブルクリンクをレースで走った時、周りの車は世界の名だたるブランドのスポーツカーやスーパーカーばかり。その時会長がドライブしたのは、生産終了が決まっていた80スープラだったそうです。
コースで抜かれるたびに「お前のメーカーには、こんなクルマは無いだろう!」という声が聞こえてくるような気持ちだったとか。
私も、世界に名だたる自動車メーカーが数多く存在する日本において、このカテゴリーのクルマが現在消滅している、という事実に対して、常々、疑問と悔しい気持ちを持っていただけに、深く共感しました。
だからこそ、渾身の一台としてGR GTを誕生させたというストーリーに魂が震えたのです。
但し、このGR GTを一発の花火に終らせて欲しくないと熱望している自分もいます。
基本的に常にユーザーが購入できるクルマにしてこそ、存在意義が深まるというものではないでしょうか。
どうか「こんなクルマも作れます」で終らせずに、価格が高くなったとしても、「そう言えば、かつてあんな凄いクルマがあったね」という存在にして欲しくないと心から祈っています。
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DS N°4
今回のブースは、会場の端の方に位置しており、あまり目立ってはいませんでしたが、日本市場にフィットするハイブリッド車を展示しており、その中でも私はDS4の実質的後継車DS N°4 (ナンバーフォーと読みます)に魅了されました。
これまではディーゼルエンジンとプラグインハイブリッドのラインアップで、あまり日本では注目されていませんでしたが、今回は日本で一般的に受け入れられやすいガソリン・ハイブリッドのパワーユニットです。内外装は「究極に」お洒落。こんなクルマを待っていた、という方も多いのではないでしょうか。(多いと言っても、限られてはいるとは思いますが)
これまでDSというブランドを知らなかった方にも、是非、認知して欲しい一台です。
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PEUGEOT 5008 GT Hybrid
他にもプジョーのミドルクラスSUV、5008もガソリン・ハイブリッド。今回の日本カー・オブ・ザ・イヤー2025-2026の10ベストカーに選ばれた3008の兄貴分です。
これも内外装に惹かれた方は、是非、検討していただきたい一台と言っておきましょう。
BYD RACCO(ラッコ)
そして、もう一台の注目は軽自動車規格の電気自動車(BEV)、BYDのラッコ。
これまで日本メーカーが販売していなかった、スライドドアの軽規格のBEVです。
更に、これまでの軽自動車で設定されたことがなかった「パワーシート」や、現状の軽自動車ラインアップでは見られない「後輪ディスクブレーキ」など、驚くような内容でした。
JMSでは確認できなかったことを今回は色々と確認できて、さらに唸らざるを得なかったのです…。
日中関係が微妙な昨今ですが、純粋にクルマ自体を観察した範囲では、完成度や内外装の質感、高バッテリー容量による長い航続距離、パワーユニットの性能など、各日本メーカーの幹部が揃って「脅威」と言うのも納得できます。
ちなみにラッコにもブレードバッテリーというBYD独自のBEV用バッテリーが採用されており、これは「構造上、極めて安全性が高い」と日本の技術者の皆様も認めています。
価格によっては大きな流れを作るかもしれません…。
ダンロップブース
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LEXUS IS500 Fスポーツがお出迎え ダンロップブース
そして、私が仕事として担当したのがダンロップブースでのトークショーでした。
10日と11日の2日間、11時~、13時~、15時~の3回、様々なゲストを迎え、ダンロップの新しいオールシーズンタイヤ「SYNCHRO WEATHER(シンクロウェザー)」をPRするためのトークショーです。
私はアナウンサーとしてMCを担当したのですが、クルマ関係の仕事は自分が納得したプロダクトでなければ、頼まれても仕事を引き受けないようにしています。
それは、私はアナウンサーでありながらも、日本カー・オブ・ザ・イヤーの選考委員でもあり、日本自動車ジャーナリスト協会員(AJAJ)でもあるからです。
所属事務所としては報酬によって引き受けて欲しい案件もあるとは思いますが、そこは譲れません。事務所に迷惑をかけてしまうこともありますが、ここを妥協すると根本的な信用を失いかねないので、そこは納得してもらっています。
その上で、シンクロウェザーは、たまたま一昨年のAJAJ向け勉強会に出席して、そのコンセプトや性能に驚き、もっと日本でこのようなオールシーズンタイヤが普及すれば、都市部における降雪時の交通麻痺なども回避できるかもしれない、と実感したプロダクトだったのです。
これまでのオールシーズンタイヤと違う最大の特徴は、雪上面のグリップを認める「スノーフレークマーク」だけではなく、ヨーロッパのウィンタータイヤにも付与される、氷上面での性能も国連機関が認める「アイスグリップシンボル」が付与されている点です。
ですので、このMCのオファーを頂いた時には、是非、担当したいと事務所マネージャーに即答しました。
今回、MCを担当するにあたって、TASの直前にあらためて商品の説明を受け、ますますコレを普及させたくなりました。
トークショーは昨年からシンクロウェザーをご自分の車や、よく使う車に装着して、このTASの期間まで使ってもらっていた各界の著名人の方に、ライフスタイルやシンクロウェザーの実際の使用感などをお話ししていただく、という内容です。
2日間ともにお話しいただいたのが、今年もスーパーGTに参戦するレーシングドライバーの山内英輝選手と大草りき選手。主にドライ路面の使用感をお話しいただきました。
スタッドレスタイヤと比べて、ドライ路面での性能に驚いたとのことで、このタイヤで雪上路面を走れることが信じがたいほど、違和感が無かったそうです。
その他、10日のゲストは、クルマ好きで知られ、MTのクルマを2台所有している、モデルで俳優の古畑星夏さん。アメリカンカジュアルブランドCHARENGERのプロダクション・マネージャー新谷竜治さん。アウトドアや車中泊のエキスパートVANCANP JAPAN代表、小濱潤平さん。
11日は前述のドライバーお二人に加え、ハライチの岩井勇気さんと、モデルで、いすゞ117クーペのオーナー、道木マヤさんに、それぞれの使用シーンでの感想やオールシーズンタイヤの可能性などについて、忖度無しで正直なお話を伺えました。
特に小濱さんは雪道でも全く不安がなかったことに驚いたようで、「これからのアウトドアライフが、このタイヤによって変わる可能性を感じた」そうです。
そして、全員がおっしゃっていたのが、「都市部では冬が来るたびにタイヤを交換する手間や置き場所を考えると、ノーマルタイヤのままで冬を迎えてしまい、雪が降る可能性があっても、ついそのまま出かけてしまうという人が多いので、そういう人こそこのタイヤにして欲しい」ということでした。
実際に欧米ではオールシーズンタイヤがメジャーで、新車時に装着されていることが多いのですが、日本では基本的に全国でノーマルタイヤが標準で装着されており、各自冬期はスタッドレスタイヤに替えなければなりません。
そのため、豪雪地帯ではない都市部に雪が降ると、ノーマルタイヤのまま出かけたクルマが滑り、事故が多発するという状況になってしまいます。
今はまだオールシーズンタイヤの単価が決して安くはないのですが、これが普及していけば、価格もこなれてくるはずで、将来は基本的な雪上、氷上性能が担保されたオールシーズンタイヤが一般的になってくる可能性も感じています。
実は30年ほど前、事情により東京で珍しく知人のクルマに乗せてもらったことがあるのですが、冬の時期ではありましたが、当然のように知人のクルマはノーマルタイヤでした。たまたまその時に、予報もされていなかった雪が降り、最初は粉雪程度だった雪がみるみるうちに大雪になり、高架道路を下る際に知人のクルマは完全に滑ってコントロールを失い、高架でしたので横に避けることもできず、結構なスピードで前のクルマに追突してしまいました。他の人が運転するクルマに乗ることは滅多にない私が、よりによって同乗している車で事故に遭うとは…。その時の光景は今でも鮮明に覚えています。
当然のことながら、その道路は暫く通行止めになり多大な影響を与えることになりました。
私自身は12月になったら自分のクルマに必ずスタッドレスタイヤを装着するのですが、まさに事故直前に、知人にそのことを話した際「へー、東京近郊に住んでいるのに意味なくない?」と言われたばかりでした。皮肉なことになった知人は、バツが悪かったのか、事故後は一言も発せず、もう一人乗っていた友人と私の二人で、その知人を慰めた記憶があります。
我々や前にいたクルマのドライバーの方に大きな怪我は無かったようですが、その後、後遺症が無かったかどうかは私には伝わってきませんでしたので、深刻な状態になっていなかったことを祈るばかりです。
このような実体験からもオールシーズンタイヤが「普通」になることを祈っています。
そんな気持ちも今回のトークショーでは、MCとしてお話しをさせていただきました。
何はともあれ、今回も大盛況のうちに幕を閉じたTAS。
来年は、どんな仕事を担当させていただくのか、もしくは何も仕事は無いのか分かりませんが、既に来年のTASを楽しみにしています。
TASに行かれた皆様は、どのような感想を持ちましたか?
コメントなど頂けたら嬉しいです。
安東弘樹













