中古車を契約する際はここに注目!【GAZOO中古車購入ガイド】
買いたいクルマが決まると、販売店はあなたを商談スペースに案内してくれます。そしてそのクルマを購入するための“契約”に向けた説明を受けます。クルマは高額商品なので、説明を理解した上で、疑問点をすべてクリアにして契約する必要があります。
そんな契約時にはどんな点に注意すればいいかを見ていきましょう。
“契約”とはどんなもの?
普段、コンビニや飲食店などで普通に買い物をしていますが、この時に“契約”を意識している人はほとんどいないでしょう。しかし、すべての買い物では必ず契約が成立しています。
契約とは『法的な保護が生じる約束』のことで、買う人(消費者)の「買いたい」という申し出と、売る人(販売店などの事業者)の「売ります」という承諾が合意した時点で成立します。
たとえばコンビニで消費税込み500円の値がつけられた商品の値段に納得し、レジに商品を持っていって500円を支払った時点で契約が成立したことになります(契約は書面がなくても成立します)。
契約が成立した後は、どちらかの一方的な都合で契約を破棄することは原則的にできません。たとえば500円で買った商品を「やっぱり気に入らない」という理由で一方的に返品しようとしてもお店は断ることができます(クーリングオフ制度の対象を除く)。
クルマは高額商品であり車両本体価格以外にもいろいろな費用がかかるため、契約前に見積書を発行してその内容を確認することになります。
見積書で見るポイントは?
支払い内容が細かく記載されている見積書。面倒でもひとつずつ内容を確認し、疑問点があったら遠慮せずに質問しましょう。チェックするポイントは以下のとおりです。
(1)【基本情報】
■車名、グレード、年式など
間違った見積書が発行されるケースはまずないと思いますが、同じ車種で金額も同じくらいの中古車がたくさん並んでいる販売店ではミスが発生する可能性もあるので、まずは自分が買おうとしているクルマの見積書がきちんと発行されているかを確認しましょう。
■車両本体価格
クルマに掲げられていたプライスボードの金額がきちんと書かれているかを確認します。
(2)【法定費用】
■自動車税(種別割)
毎年4月1日時点の所有者(または使用者)が納める税金。年度途中で購入した場合は登録の翌月から年度末までの分を納めます。前オーナーがこれを納めているクルマは、未経過分(※)を納めるのが一般的になっています。未経過分には別途消費税が課税されます。
※未経過分:販売店が中古車を買取する際に、前所有者が1年間前払いした税金の「未経過分」を上乗せして買取ることがあり、販売店はその「未経過分」を次の所有者に上乗せして販売する。購入代金の一部としての扱いとなるため、消費税の課税対象となる。
■自動車重量税
車両重量に応じて、車検時に次回車検までの分を納めます。購入時に車検が残っているクルマは納付しなくていいので、誤って計上されていないか確認を。
■環境性能割
クルマを購入する際にかかる税金。自動車の取得価額が50万円以下の場合は非課税になります。
■自動車リサイクル料金
自動車リサイクル料金は新車購入時に自動車リサイクル促進センターに預託します。中古車では前オーナーの預託金相当額を購入時に支払う場合と、その金額が車両本体価格に含まれているケースがあります。
■消費税
車両本体価格とオプション品、登録諸費用(販売店手数料)と未経過相当額には消費税が課税されます。
(3)【登録諸費用(販売店手数料)】
■登録代行費用
購入したクルマを運輸支局に登録するための手続きを行う費用。自分でもできなくはないですが、販売店に依頼するのが一般的になっています。
■法定整備費用
納車前に行われる点検整備にかかる費用。法定整備費用は車両本体価格に含まれるケースと別途必要になるケースがあります。「法定整備付」となっているのに費用がかかっている場合は理由を確認してください。
■車庫証明申請費用
登録に必要となる、警察への車庫証明の申請を代行してもらう費用。自分で申請を行う場合、この費用はかかりません。
■納車費用
登録が終わったクルマを指定場所まで持ってきてもらうための費用。自分で販売店に取りに行く場合、納車費用はかかりません。
(4)【その他の費用】
■オプション費用
オーディオやコーティングなど、購入時に依頼したものの費用も見積書に書かれます。内容に間違いがないかを確認しましょう。
■保証費用
中古車の保証は、車両本体価格に含まれる場合と有償で加入する場合があります。保証期間や保証範囲とともに保証費用についても確認を忘れずに。
ここで紹介したもの以外にも、販売店ごとに独自の費用を請求している場合もあります。不明な費用が見積書に書かれていたら、必ず内容を確認してください。
見積書を確認したら、支払い方法を決めよう
車両本体価格に法定費用と登録諸費用を加えると、買おうと思っている中古車によってはかなり高額になります。そのため、クルマは分割払いで購入する人も多くいます。一度に代金を支払う『現金一括払い』と購入代金を少しずつ返済していく『分割払い』にはそれぞれメリットとデメリットがあります。
【現金一括払い】
<メリット>
- 購入後の返済が一切ない
- 金利を支払う必要がない
<デメリット>
- 一度に大きなお金が手元からなくなる
【分割払い】
<メリット>
- まとまった資金が手元になくてもクルマを購入できる
- 現金一括払いで買えるクルマより高額なクルマを購入できる
<デメリット>
- 数年にわたり返済が続く
- クルマの所有権がディーラーや信販会社になる場合は、所有権を解除しないとクルマを売却できない
分割払いの“ローン”と“クレジット”は別のもの
ところで分割払いでは“ローン”や“クレジット”という言葉が使われますが、みなさんはその違いをご存知ですか? ほとんどの人は「え? 言い方の違いだけで同じものじゃないの?」と思ったと思いますが、この2つは別のものになります。
【ローンとは?】
ローンとは、銀行や信用金庫などの金融機関から『お金』を借り、そのお金で中古車(商品)を購入するという仕組みです。
金融機関にローンの利用を申し込み審査にパスすると、借りるお金があなたの口座に振り込まれます。お金が振り込まれたら販売店に購入代金を一括払いした上で、借りたお金を金融機関に分割で返済していきます。この場合、車検証の所有者欄・使用者欄ともにあなたの名前が書かれます。
一般的にローンはクレジットに比べると金利が低く設定されていますが、クレジットより厳し目に審査されるケースが多く、申し込みに必要な書類も多くなります。
【クレジットとは?】
自動車メーカー系を含めた信販会社が扱っているクレジットは、申し込んだ後に信販会社が販売店に中古車の代金を『立て替え払い』して、利用者は代金を分割で返済していく仕組みです。そのため、自分の口座にお金が振り込まれることはありません。
クレジットの特徴は、返済が終わって手続きを取るまでそのクルマは信販会社のもの(所有権が信販会社にある)になります。そのため、車検証には所有者欄にディーラーや信販会社の名前、使用者欄にあなたの名前が書かれています。
この状態でもクルマを普通に使う分には全く支障はありません。ただ、途中でクルマを売却したい時はクレジットの残金をすべて返済した上で信販会社の所有権を解除する必要があります。
確認項目は多いが、中古車の購入は難しくない!
見積書で確認しなければいけない項目がたくさんあるし、ローンやクレジットの申し込みもしなければならない。中古車購入にはやらなければならないことがたくさんあって面倒……。そう感じた人もいるかもしれません。
でも心配しなくて大丈夫。ここで紹介したことは一連の流れでできることなので大した時間がかかるわけではありませんし、わからないことがあったら販売店がしっかり説明してくれます。
逆に販売店がきちんと説明してくれない場合は、そこで買うのはやめたほうがいいかもしれません。
分割払いを利用する際は、ローンとクレジットのどちらにするかをあらかじめ考えておきましょう。
次回は「中古車の保証」について解説します。
文/高橋 満<BRIDGE MAN>
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