諦めがちなヘッドライトの不満や曇りを解決! 光量や光軸の車検の検査基準に要注意

  • 諦めがちなヘッドライトの不満や曇りを解決!光量や光軸の車検の検査基準に要注意

昔も今も、クルマにまつわる悩みで多いのはヘッドライトが暗いということ。最新のクルマであれば最新のLEDヘッドランプで明るさだけでなく、配光まで制御してくれて不満はない。

一方、ちょっと古い年式となると、実用車&実用グレードではハロゲンが採用されていたり、HIDでも劣化が進んでいたりもする。最近は明るいヘッドライトのクルマが多いこともあり、なおさら暗く見えるだけになんとかしたい。

さらに今、大きな問題というか悩みなのが、ヘッドライトレンズの曇り。10年少々経つとヘッドライトの表面が黄ばんでくるというもので、これはハロゲンに限らず、樹脂のレンズであればなってしまうことが多い。黄ばまない素材もあるものの、広く使われているのは黄ばんでしまう素材なのと、表面の保護被膜が劣化するというのが原因だ。

2024年1月からは、1998年9月1日以降に製造された車両のヘッドライトの車検の検査基準が厳密化されるため、その対策としてもご覧いただきたい。

気になるLEDバルブの交換

H4などのハロゲンバルブと入れ替えるだけのLEDバルブについては、明るさも含めて興味がある方も多いのではないだろうか。LED自体の明るさも以前は白いだけで、実際はイメージほど明るくないものだった。最近はかなり明るくなっているので、製品をしっかりと選べばいいだろう。

また、品質のいいものを選ぶという点で重要なのが、光軸の問題。ヘッドライトの光軸とは照らす向きのことで、対向車や歩行者が眩しくないようにする重要なポイントで車検でも確認される重要なポイント。

粗悪なLEDの場合、暗かったり、この光軸がちゃんと出ないものがあるので購入時には注意したい。品質のいいものを選べば簡単に交換できるし、明るさもアップできる。

  • LEDの交換用バルブ

    一般的なバルブは中のフィラメントが発光するが、LEDは表面に付いたチップが光るため、その位置が光軸に関係してくる

  • ハロゲンからLEDへの交換用バルブは品質のいいものを選ぶ必要がある

    交換自体は通常のバルブ交換と同じで、元のハロゲンバルブとLEDバルブを交換するだけ

純正HIDを明るくしたい

ハロゲンを明るくするのに社外のHIDキットへの交換というのも定番の方法で、価格もかなり安くなってきた。問題は純正のHIDで、こちらはバルブの差込口形状が専用品なこと。HIDの純正装着が減ったため明るさアップをウリにした交換バルブの選択肢があまりなくなってきたとはいえ、それでも探して交換すれば明るくなる。

また、最近主流になっているのが、純正HIDに付ける社外のLEDバルブで、こちらもバルブ交換感覚で簡単に装着できるし、かなり明るくなるのでオススメ。価格が高めなのが気になるが、強烈な明るさを考えるとコストパフォーマンスは高くて、満足度高い。

  • HIDからLEDにバルブ交換も可能

    端子部分が特殊な純正のHIDバルブに装着可能のLEDバルブが登場してきたのはありがたい。配線の取り回しが必要だが、交換も簡単だ

悩みの本丸、レンズの曇りはなにが原因?

そもそもなぜ黄色くなったり、曇ってきたりするのか? 一番は素材がポリカーボネートだから。ポリカとも呼ばれ、加工しやすくて透明度が高いため、デザインの自由度が高いのは最近のクルマにマッチした素材だ。

機能的には強度が高くて、割れても破片が飛散しない。軽いので軽量化にも効果があるなど、メリットは多い。強度については厚みがあれば銃弾にも耐えられるほど(防弾ガラスに使用)だが、すりキズについては逆に付きやすいというデメリットもある。その傷に汚れが溜まってしまうことでだんだんと曇っていってしまう。

キズ以外で曇りの大きな原因になっているのが紫外線の吸収で、ポリカーボネートは紫外線をカットするものの、素材そのものは影響を受けてしまうため、次第に劣化してきてしまう。キズや劣化を防止するために保護被膜が作られているとはいえ、経年劣化で剥げてくると曇りが発生する。

新車からしばらくはクリアで、その後、曇りだすのはこういった原因が背景にある。

曇りを解決する方法 その1 ~とりあえず磨く~

曇ったり、黄ばんでしまうと見た目が悪いだけでなく、光量が足りなくなって危険。ひどいと、車検に通らないこともあるのでなんとかしたいところだ。では、どうやってクリアにするかだが、方法はいくつかあって、まずはコンパウンドで磨くのが一番簡単。

ただ、問題は手で磨くので磨きムラが出やすいのと、残っていた保護被膜も取り除いてしまうこと。うまく磨けばそこそこきれいになるし、費用も安く済むものの、しばらくすると元に戻ってしまうし、さらにひどくなる可能性もあるのは考えものだ。

  • コンパウンドでヘッドライトを磨いている様子

    コンパウンドは一般的なものを使って、荒いものから細かいものへと変えていく

★裏ワザ 虫除けスプレーで簡単クリア!?★

磨くよりももっと簡単にクリアにできないかという方、裏ワザはどうだろうか。使うのは虫除けスプレーで、これで拭くと黄ばみや曇りを取り除くことができる。にわかには信じがたいかもしれないが、ディートという成分が樹脂を溶かす効果があるため。

  • 虫よけスプレーでヘッドライトの曇りが取れる

    製品によって、ディートの濃度が違う。もちろん濃いほうが効果は高い(上限は12%)

曇りを解決する方法 その2 ~市販のキットを使う~

カー用品店に行くと、対策のケミカルが売られていて、ウリ文句も魅力的だったりする。キットの内容はどれもほぼ同じで、表面の劣化部分を取り除くコンパウンドと保護剤となっている。

その1では磨いたままだったが、それだとしばらくすると元に戻ってしまうので、キットを購入して保護したほうがいいだろう。必要なものがワンセットになっているので、いろいろと買い揃える手間もない。

ただ問題なのは保護力で、説明書きにも「効果は半年持続」とあったりするので、大きな期待はそもそもできないが、かといって毎回作業するのは手間なのは確かだ。

また、スチーマーと呼ばれる、液剤を蒸気にして吹き付けると表面を溶かしてクリアにするアイテムがあるが、禁止薬剤も含む猛毒だったりするし、しばらくすると表面が破れてくることもあるので注意したい。

  • ヘッドライトの曇り取りの専用キット

    専用のキットは一番扱いやすいが、持続性は半年程度ではあるということを承知したうえで使いたい

~純正品も続々と登場~

ヘッドライトクリーナーのキットはメーカー純正品として用意しているメーカーもある。トヨタやスバル、ダイハツなどだが、メーカーが取り扱うだけに効果は抜群で、長期間持続するのも魅力だ。ディーラーでの作業もお願いできるので、相談してみてはいかがだろうか。

  • ディーラー純正のヘッドライトの曇り取りもある

    ディーラーでの施工用とはいえ、説明書も付いていてDIYでも十分使用できる

曇りを解決する方法 その3 ~塗装してしまう~

新品交換は別にして、究極のリペアが塗装だ。表面の劣化部分を取り除いたあと、クリアで塗装してしまうというもので、保護被膜を塗装で作ってやるため、長期にわたってクリアなままなのが大きな魅力だ。

専用のスプレーもあるのでDIYでも可能ではあるが、ムラや飛び散りなどのリスクは大きく、失敗も基本的には許されないので、プロに頼むのが無難だろう。一般的な板金塗装店でも対応してくれるはずだ。

  • ヘッドライト用のクリア塗装スプレー

    こちらが市販の専用スプレーで、強固な被膜ができる2液タイプ。噴射時に自動で混ざるので手間はかからない

  • ヘッドライト用のクリア塗装スプレーを塗布している様子

    周囲をマスキングでカバーして一発勝負。うまくいけばDIYでも高いレベルの復活が可能だ

交換用バルブはさまざまな商品が販売されているし、曇りの取り方も多様な商品や都市伝説のような方法など、さまざまな情報があふれている。
適した商品、情報を見極め、DIYをするのか専門業者に依頼するのか正しい方法を選んでいただきたい。

(文、写真:近藤暁史)

MORIZO on the Road