縁石ブロックに乗り上げた・擦ったらどうすればいい?困ったときの対処法

「縁石(縁石ブロック)」に、うっかり車を乗り上げたり擦ったりした経験はありませんか。思わぬ事態に正しく対処できないと、道路交通法違反になったり車に大きな損傷が生じたりする可能性があります。今回は、縁石に乗り上げたときや擦ったときの正しい対応方法や想定されるトラブル、縁石を切り下げる方法について解説します。

縁石(縁石ブロック)とは

縁石(縁石ブロック)とは、車道と歩道を区切るためのブロックです。車道と歩道の境界線を明確にするだけでなく、車両や歩道にいる人などの安全を確保する役割も担っています。

コンクリート製のものが一般的であり、「コンクリートブロック」と呼ばれることもありますが、中には天然石やレンガで作られた縁石もあります。

縁石の役割

  • 交通の整理
  • 区画の整理

縁石は、車道と歩道の境を識別しやすくして、車両と歩行者双方の安全性を高める役割を果たしています。主に、車道と歩道の境界や、道路の植樹部分の縁、安全地帯などに設置されることが多いです。

また縁石は、歩道や住区に侵入するのを防止したり、敷地の境界線を示したりする区画整理の役割も果たします。

縁石の高さのルール

  • 車道に対して15cm以上が標準

車道と歩道の間に縁石を設置するときは、歩行者の安全確保のために15cm以上の高さが必要です。

交通安全対策の観点で必要な場合や、橋やトンネルの区間内で安全確保が必要な場合は、縁石の高さを25cmまで上げられます。

一方、植樹帯や柵などによって歩行者が安全に通行できる状態が整っているときや、雨水等を適切に排水できる状況であれば、5cmの高さで縁石の設置が可能です。

縁石に塗られたペイントの色の意味

  • 黄色い実線のペイントは「駐停車禁止」
  • 黄色い破線のペイントは「駐車禁止」

歩道の縁石に黄色い実線が塗られているときは「駐停車禁止」、黄色い破線が塗られているときは「駐車禁止」を意味します。縁石のペイントと道路標識を一緒に設置することで、規制の効力強化に役立っています。

ペイントされた縁石は、とくに繁華街や交通量の多い駐車禁止強化エリアなどに設置されているケースが多いです。ルールに違反すると、違反点数と反則金のペナルティを受けます。

縁石に乗り上げた・擦ったときの対応

1.車を確認する→損傷があった場合はロードサービスへ連絡

2.縁石を確認する→損傷がある場合は通報

縁石は重要な役割を果たしますが、道路に接していることで車を乗り上げたり擦ったりする場合もあります。万が一に備えて、縁石に関わるトラブルが生じたときの対応方法を押さえておきましょう。

1.車を確認する→損傷があった場合はロードサービスへ連絡
縁石に車を乗り上げたり擦ったりしたときは、第一に車の状態を確認しましょう。オイル漏れがないか、ドアをスムーズに開閉できるか、ボディ・タイヤの損傷具合などをチェックしてください。

もし車に損傷が見られるときは、運転せずにロードサービスに連絡しましょう。異常がなければ、周囲の安全を確保したうえで車のバランスを確認し、車体や縁石を傷つけないように慎重にバックして脱出してください。

縁石から脱出できたあとは、走行を続けるのではなく、路肩に駐車してもう一度車の状態をチェックしましょう。

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2.縁石を確認する→損傷がある場合は通報
続いて、縁石の状態を確認しましょう。縁石に傷がついている場合は、物損事故扱いになります。速やかに警察に連絡をしないと、道路交通法違反となるため注意が必要です。

車体に傷がついているときは、自動車保険で修理代金の請求ができる場合もあります。自動車保険を利用したい場合は、警察に届け出を行い、交通事故証明書の発行を依頼しなくてはなりません。

縁石に乗り上げた・擦ったときに発生する故障

縁石に乗り上げたり擦ったりしたときの車体へのダメージは、主にフロント下部に生じます。下記がよくあるトラブルなので、対応方法と一緒に覚えておきましょう。

  • アライメントがくるう
  • ブレーキオイルが漏れる
  • タイヤのパンク

アライメントがくるう
アライメントとは、車体に対してタイヤ・ホイールが取り付けられる角度や位置関係のことです。アライメントがずれると、車がまっすぐに走行できなくなったり、カーブでスムーズに曲がれなかったり、タイヤが変摩耗したりします。

アライメントが大きくずれているかは、まっすぐ走行できるかゆっくり試走してみましょう。ハンドルが左右どちらかに取られる場合、アライメントがずれている可能性があります。一方僅かなずれの場合は判断できないですが、タイヤの変摩耗などの現象が発生することもあります。自動車販売店に相談してみてください。

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ブレーキフルードが漏れる
タイヤの裏側付近から液体が出ているときは、ブレーキフルードが漏れていると考えられます。ブレーキフルードが洩れたらブレーキは利きません。目視あるいは安全な場所で確認して確認してください。

ブレーキの利きに問題があるときは、すぐにロードサービスを呼ぶ必要があります。異音だけと甘く判断しないで、突然ブレーキがきかなくなる可能性もあるため、ロードサービスを呼ぶべきです。

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タイヤのパンク
タイヤ、ホイールに大きな傷がついていないか、空気潰れていないか、車体が傾いていないか確認してみましょう。タイヤが潰れているか確認しづらいときは、それぞれのタイヤを押してみて、弾力などを比較すると判別しやすくなります。

タイヤがパンクしている場合は、安全な場所でスペアタイヤに交換するか、近くの修理工場で点検・交換してもらいましょう。運転が難しいときは、すぐにロードサービスを呼んでください。

駐車場前の縁石を切り下げるには

駐車場に面した縁石は、車の出入りを妨げることがあります。無理に縁石に乗り上げてしまうと、衝撃により車が故障する場合もあるため注意が必要です。

道路と歩道の段差を解消するために、縁石の高さを低くする「縁石の切り下げ」を実施できることもあります。ただし、切り下げ工事を行うには、道路を管轄しているところに「道路工事施工承認申請」を提出し、承認を得なくてはいけません。あわせて、申請理由書や平面図など各種書類の添付も必要です。

縁石を切り下げにかかる工事費用

  • 工事にかかる費用は30~60万円程度

縁石の切り下げ工事の費用は、切り下げる箇所の幅や歩道の材質などにより異なります。一般的に駐車場の出入り口程度であれば、30~60万円ほど必要な場合が多いです。工事費用は、基本的に全額自己負担する必要があります。

また、施工部分の幅が広いときや、ガードレールの撤去、電柱移設工事が必要なときなどは、100万円近くかかることも。必要な工事費用は状況により異なるため、道路を管轄するところに相談してみるのもおすすめです。

縁石への乗り上げや擦りに注意して、安全に走行しましょう

縁石は、車道と歩道の境界を明確にし、安全を確保するなど大切な役割を果たします。しかし、車を乗り上げたり擦ったりする可能性もあるため、運転時はとくに注意が必要です。

正しく申請・手続きを行えば、駐車場などの縁石の切り下げ工事も実施できます。縁石にまつわる起こりやすいトラブルや注意点を理解して、万が一の際に適切な対応ができるよう心がけましょう。

(GAZOO編集部)

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