『路肩』と『路側帯』は同じ? その違いは「法律」と「歩道」・・・今一度思い出したい交通ルール
みなさんが運転免許を取得した時、さまざまな交通法規を学んだはず。しかし運転免許を取得し日常的に運転するようになると、なんとなく他のクルマの流れに合わせていて、特に法規のことを意識せずに走っていることも多いのではないでしょうか。
道路はクルマ以外にもバイクや自転車、そして多くの歩行者などが利用します。だからこそ利用する人たちが同じ法規を守り、不慮の事故を防止しなければなりません。
ここでは大切な交通法規を今一度思い出し、皆さんと一緒に安全運転を心がけていきましょう。
第4回目は、道路の端にある『路肩』と『路側帯』についておさらいしましょう。
<目次>
・路肩と路側帯の違いは「法律」と「歩道」
・路肩と路側帯の設置目的と見分け方
路肩の設置の目的
路側帯の設置の目的
・路肩や路側帯はクルマを駐車、停車しても大丈夫?
路肩の駐停車の方法
路側帯の駐停車の方法
路肩と路側帯の違いは「法律」と「歩道」
最近では違反者を見かけることがほぼなくなりましたが、数十年前には渋滞している高速道路で、左側のスペースを走っていくクルマを見かけることがありました。もちろんこれは違反行為で、しばらくすると走っていったクルマが警察に取り締まられていたこともあります。
ところで、高速道路の車線の外側に当たる左側のスペースの名称をみなさんはご存じですか? きっと多くの人が『路肩』と思ったのではないでしょうか。
これは正解でもあり、実は『路側帯』でもあるのです。
では『路肩』と『路側帯』は何が違うのか解説します。
『路肩』は道路構造令、『路側帯』は道路交通法において明確に定義されています。
【路肩】(道路構造令第2条12)
道路の主要構造部を保護し、又は車道の効用を保つために、車道、歩道、自転車道又は自転車歩行者道に接続して設けられる帯状の道路の部分。
【路側帯】(道路交通法第2条3の4)
歩行者の通行の用に供し、又は車道の効用を保つため、歩道の設けられていない道路又は道路の歩道の設けられていない側の路端寄りに設けられた帯状の道路の部分で、道路標示によって区画されたもの。
逆に、道路構造令に『路側帯』、道路交通法に『路肩』という定義はありません。
そのため、『路肩』と『路側帯』の違いをまとめると、下記のようなものとなります。
(1)定義されている法律が異なる
(2)歩道がある(側の)道路に路側帯はない
(3)歩道がない道路で道路標示によって区画されたものを道路交通法では路側帯という
ただし、(3)については道路構造令では『路肩』と定義もされます。そのため高速道路の車線の外側のスペースは『路肩』であり『路側帯』でもあるということです。
実際に、道路構造令の規定を解説する国土交通省の資料では『路肩』、警視庁が所管する道路交通法では『路側帯』と表記されています。
また、高速道路で「路肩を走ってはいけない」という交通ルールは、道路交通法の路側帯の通行区分違反となるためです。
路肩と路側帯の設置目的と見分け方
では、路肩と路側帯はどのような目的で設置されているのでしょうか。
路肩の設置の目的
歩道がある道に設置される路肩は、道路構造令にあるように『道路の主要構造物の保護』『車道の効用を保つため』に設置されます。ほかにも『故障車など非常時の駐車スペース』という目的もあります。
通常、歩道は車道よりも一段高くなっていたり、車道との間に仕切りやガードレールなどが設置されていたりします。路肩は車道を走行するクルマが左側(歩道側)により過ぎるのを防ぐ目安になるとともに、段差やガードレールなどの主要構造物に接触してそれらが破損するのを防いでいるのです。
路側帯の設置の目的
歩道がない場所に道路に設置される路側帯は、歩行者が安全に通行するためのスペースになります。幹線道路ではない街なかの細い道などで多く見かけますね。このような道ではクルマはスピードを落とし、路側帯に寄りすぎずに走行して歩行者や自転車が安心して通行できるようにしましょう。路側帯はクルマはもちろん、バイクや原付も通行できません。
ちなみに冒頭で「高速道路の左端のスペースは路肩でもあり路側帯である」とお伝えしました。路側帯は歩行者が安全に通行するためのスペースですが、高速道路はそもそも歩行者が存在しません。それなのになぜ路側帯が設置されているのでしょうか。
路肩にも路側帯にも「車道の効用を保つため」という定義があります。
高速道路(自動車専用道路)の路側帯は渋滞時などに緊急自動車が急いで現場に向かわなければならない時に通るスペースになります。また、高速道路上で故障や事故により走行できなくなったクルマが本線上にいると危険なのでやむを得ず避難する場所でもあります。走行可能な一般車両は路側帯に進入して走行することはできません。
路肩や路側帯はクルマを駐車、停車しても大丈夫?
路肩や路側帯にはさまざまな種類があり、駐車や通行について決められています。駐車に関しては駐車禁止場所や駐停車禁止場所のルールが優先されますが、ここでは駐車禁止・駐停車禁止ではない道路の場合を想定して解説します。
路肩の駐停車の方法
路肩にはその幅によって分けられた4つの種類があります。
■全路肩(側方余裕幅2.50〜3.25m):すべての車両の一時駐車が可能
■半路肩(側方余裕幅1.25〜1.75m):乗用車は一時駐車可能。交通容量に大きな影響を与えない側方余裕幅が確保された路肩
■狭路肩(側方余裕幅0.50〜0.75m):走行上必要な最小限度の側方余裕が確保された路肩
■保護路肩:防護柵、道路標識などを路端に設けるためのスペース。歩道、自転車道または自転車歩行者道を設ける場含にはそれらを保護するもの
全路肩と半路肩は駐車についての記載がありますが、そもそも路肩は道路交通法では定義されていません。そのため歩道と路肩がある道路では、歩道に沿って駐車、もしくは停車してください。
路側帯の駐停車の方法
引用:警視庁HP 除外標章を掲出しても除外の対象とならない場所(例)
https://www.keishicho.metro.tokyo.lg.jp/tetsuzuki/kotsu/seido/jogai00.files/places_not_excluded.pdf
路側帯には境界となる白線の引き方でいくつかの種類に分けられ、駐停車の方法が変わってきます。
■一般的な路側帯:白の実線1本で区画されたもの
- 路側帯の幅が0.75m以下:路側帯内には進入せず、白線に寄せるように駐停車
- 路側帯の幅が0.75mを超える場合:路側帯内に進入して駐停車可能。ただしクルマの左側に75cm以上の幅を開ける
■歩行者専用路側帯:白の実線2本で区画されたもの
文字通り歩行者のために設けられた路側帯なので、クルマはもちろん、軽車両や自転車も通行不可。路側帯の中に進入して駐停車することも禁止
■駐停車禁止路側帯:白い実線と白い破線で区画されたもの
歩行者および自転車と軽車両が通行できる路側帯。クルマが路側帯の中に進入して駐停車することは禁止
路肩や路側帯はクルマや歩行者が安全に通行できるようにするとともに、道路の構造物を守る役割も果たしています。みなさんもクルマを運転する時は、ルールを守って走行しましょう。
(文:高橋 満<BRIDGE MAN>)
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