なんとかしたい! 白くなる樹脂の劣化を解消・・・カーアイテム活用術

  • なんとかしたい! 白くなる樹脂の劣化を解消・・・カーアイテム活用術

クルマの外装は鉄や樹脂、ゴムなど、さまざまな素材で作られている。なかでも樹脂は劣化しやすい。しかも一旦劣化してしまうと非常にみっともなくて、クルマ全体もなんとも貧相に見えるだけに、なんとかしたい。
そんな樹脂の中でも特に劣化のしやすいむき出しの樹脂とヘッドライトのカバーの劣化について、復活させたり維持したりできる最新のアイテムをご紹介していこう。

黒い樹脂パーツとヘッドライトカバーの天敵は紫外線

塗装も紫外線を受け劣化はするが、ワックスやコーティングで保護すれば劣化を最大限に防げるし、少々なら表面を削れば元に戻すこともできる。
問題は劣化しやすいむき出しの樹脂だ。SUV人気もあって、最近また増えてきている黒い樹脂は悩ましい素材の筆頭格で、最初は黒々としていてボディ全体のイメージを引き締める効果があるものの、次第に白っぽくなってきて貧相に見えてしまう。

劣化部分だけ削るとしても膨大な手間はかかるし、ざらついた感じがなくなってしまう。定番の対策であるツヤ出し剤の塗布も最初だけで、しばらくすると元に戻ってしまう。小まめに塗ればいいものの、頻繁に塗るのは手間だ。また、劣化部分だけ削るとしても膨大な手間はかかるし、ざらついた感じがなくなってしまう。

さらに樹脂関係で最近とくに悩み深いのが、ヘッドライトのカバーの劣化だろう。新車の頃はクリアでツヤツヤしていたのが、次第に白くなったり、黄ばんできて非常にみっともない感じに。

原因は表面に塗られた保護被膜が紫外線などの影響で劣化するためで、素材のポリカボネート(通称ポリカ)が紫外線で劣化しやすいのも拍車をかけている。ちなみに、最新のクルマでも将来的には劣化に悩まされる可能性は高いのであしからず。いずれにしてもなんとかしたいものだ。

  • 一部分の色が変わってしまった黒い樹脂部分

    無塗装の樹脂は1980年代から1990年代にかけてはけっこう使われていたが、最近になってまた使われる例が増えてきた

  • 黄ばんでしまったヘッドライトカバー

    樹脂で悩ましいのは白や黄色に濁った感じになるヘッドライトだ。ひどいと車検にも通らなくなってしまう

樹脂のお悩み解消① 可能!? 白くなった黒い樹脂の復活

クルマの外装には以前より、黒いパネルが使用されている。それは全体のイメージを引き締めるためなどが採用理由で、最近SUVでまた採用が増えている。この黒いパネル、なにが問題というと、塗装がされていないということ。また表面をザラザラにして独特の質感を出している。

新車時は黒くて問題はないものの、次第に白っぽくなってかなり貧相な感じになってくるのが気になるところ。原因は表面に付いた汚れもあるが、一番は紫外線による劣化。熱による樹脂内の油分抜けもある。

こう見ていくと予想以上に深刻な状態で、カサカサになってしまった未塗装樹脂をどう復活させるか。まず以前より行われているのが、油分の補給。油分が抜けて白くなっているので、油性のツヤ出しを塗ることで復活するのは当然のこと。
ただし、問題はあって、ただ塗っているだけ。つまり表面に液剤が乗っているだけなので、しばらくすると流れ落ちて元に戻ってしまうのは手間という点でも考えものだ。

■長期間、効果を持続させるかがカギ

そこで最近注目なのがボディ同様に、樹脂用のコーティングだ。こちらは化学的に被膜を作って、強力に表面に定着するので持続力が高くて、半年以上もつものも出ているほど。コーティングならではのクリアなツヤが出るし、油性でないのでベタベタせず、作業性がいいのもありがたいところ。実際に使用してみると、少量なのに伸びが非常によくて驚くほどだ。

  • 樹脂用のコーティング剤

    樹脂用のコーティングがいくつか登場している。化学的に被膜を作るので長期間効果が持続するのが特徴

  • 樹脂用のコーティング剤を塗布している様子

    実際に塗ってみると白っぽくなった樹脂が真っ黒になって、新車のような輝きが戻った

  • 樹脂用コーティング剤は少量でも伸びがいい

    コーティング剤なので少量で効果を発揮するし、伸びがとてもいい

■ゴムはどうすればいい?

樹脂に近い感じなのがゴム。クルマの外装では窓枠などに使用されている。樹脂ほどではないにしても、次第に劣化して表面がカサカサになったり、ヒビが発生することもある。ゴムの場合は、染み込むのでツヤ出し剤でも比較的長期間効果は持続する。

コーティングは被膜が硬いため、柔らかいゴムだと追従できないとされてきたが、樹脂用コーティングのなかにはゴムにも使えるものが出てきたので、それを利用するのもいいだろう。樹脂、ゴムともに黒いと全体のイメージが引き締まるので、手入れを怠らないようにしたい。

  • 樹脂用のコーティング剤でゴムに対応したものもある

    ゴムも白っぽくなってくるし、表面がカサカサになる。こちらもコーティングが可能だ

樹脂のお悩み解消STEP② お悩みの筆頭格! ヘッドライトの劣化

樹脂系のお悩みでトップと言っても過言ではないのが、ヘッドライトカバーの劣化。具体的には次第に曇ってきて、ひどくなると白くなったり、黄ばんだりするというもの。町中でもよく見かけるし、実際に悩んでいる人も多いだろう。

原因はこちらも太陽光に含まれる紫外線で、保護膜が次第にダメージを受けて、最終的に素材自体が劣化して透明感が失われるというもの。素材のポリカボネート、通称ポリカが劣化しやすい特性があるためなおさらで、使わなければいいと思うが、耐熱性や割れた際の危険性などの観点から使用せざるを得ないという事情がある。

劣化の仕組みからすると対策自体は簡単で、劣化した保護膜と樹脂表面を削って、再度被膜を作ってやればいい。ただし、実際にやるとなると大変で、削るのは手間だし、肝心の被膜を作るための液剤はなかなかいいものがなかったというのが実際のところ。

いくつかある市販品も長期間の持続や新車並みに戻すのは不可能。一般ユーザー向けには当然ではあって、完璧を目指すならコーティングや板金塗装のプロにお願いするか、新品に交換するのが確実だ。

■一度揃えてしまえば、普通に使うだけでOK!

だが、ここにきて注目すべき動きが出てきた。それが自動車メーカー純正のキットだ。本来はディーラーのピットサービス向けのためディーラーで購入することができるし、通販でも入手が可能。使い方はもちろん丁寧な作業は必要だが、説明書きを見れば難しくはない。

そしてもうひとつはクリア塗料の登場。コーティングではなく、樹脂用のクリアをスプレーしてガッチリと保護しようというもので、これはプロの板金塗装にお願いするのと同じ方法となる。

いずれにしても、簡単だけど効果はそこそこだけでなく、本格的なアイテムが登場してきたと言ってよく、悩んでいる方は試してみる価値はあるだろう。

  • SUBARUのヘッドライトコート

    こちらが自動車メーカー純正のキット。国産メーカーの多くで用意されているので、入手もしやすい

  • ヘッドライトの劣化の除去とコーティングの様子

    紙やすりで表面を磨いて劣化した表面を除去。そのうえで専用のコーティング剤を塗る。テストでは2年経過してもまだきれい

  • ヘッドライトカバー専用の樹脂用クリアスプレー

    ヘッドライトカバー専用の樹脂用クリアスプレーもある。表面を磨いて、そのうえでスプレーする。焦らなければムラにもならない

■虫よけスプレーを使う裏ワザは効く?

相当皆さん困っているからか、劣化を簡単に取り除く裏ワザも流布している。意外性で話題になったのが虫よけスプレーで、表面を拭くと劣化した部分が取り除けるというもの。実際にやってみると効果はあって、拭いた布が黄色くなるほど。

虫よけスプレーに含まれているディートという成分に樹脂を溶かす効果があって、劣化した部分を取り除くことができるというのが理屈だ。ただ、残っている保護被膜も取り除くため、しばらくすると黄ばんできてしまうので一時しのぎでしかない。

また、以前話題になった、スチームで特殊な液剤を噴霧することで、表面を溶かしてクリアにするというアイテムについては、成分が猛毒なので取り扱いは要注意だ。

虫よけスプレーに含まれるディートの量は製品によって異なるので、試してみるなら濃度が高いほうがいい

(文:近藤暁史)