意外な交通違反も!? 高速道路を走行する際の注意事項・・・今一度思い出したい交通ルール
みなさんが運転免許を取得した時、さまざまな交通法規を学んだはず。しかし運転免許を取得し日常的に運転するようになると、なんとなく他のクルマの流れに合わせていて、特に法規のことを意識せずに走っていることも多いのではないでしょうか。
道路はクルマ以外にもバイクや自転車、そして多くの歩行者などが利用します。だからこそ利用する人たちが同じ法規を守り、不慮の事故を防止しなければなりません。
ここでは大切な交通法規を今一度思い出し、皆さんと一緒に安全運転を心がけていきましょう。
第8回目は、高速道路を走る際の交通ルールについておさらいしましょう。
『高速自動車国道』と『自動車専用道路』は別のもの
夏は旅行や帰省で高速道路を利用する人が増える時期。高速道路は歩行者や自転車、125 cc以下の小型2輪、原付がいなくて、交差点もないので走りやすい反面、文字通り一般道よりも速いスピードで走るので、運転には注意が必要です。
私たちが何気なく「高速道路」と呼んでいる(あるいは高速道路だと思っている)道路は、『高速自動車国道』と『自動車専用道路』の2種類に分けられます。
道路法では道路を以下の4種類に分類しています(第3条)
① 高速自動車国道
② 一般国道
③ 都道府県道
④ 市町村道
そして高速自動車国道法の第4条において「高速自動車国道とは、自動車の高速交通の用に供する道路で、全国的な自動車交通網の枢要部分を構成し、かつ、政治・経済・文化上特に重要な地域を連絡するものその他国の利害に特に重大な関係を有するもの」と定義されています。
もう一つの自動車専用道路は、道路法第48条2で以下のような場合に自動車専用道路に指定できると定めています(一部抜粋)。
●交通が著しくふくそうして道路における車両の能率的な運行に支障のある市街地およびその周辺の地域において、交通の円滑を図るために必要があると認めるとき
●交通が著しくふくそうし、またはふくそうすることが見込まれ、車両の能率的な運行に支障・道路交通騒音により生ずる障害(おそれを含む)がある道路の区間内において、それらの防止を図るために必要があると認めるとき
自動車専用道路は道路法に基づいて、道路管理者が指定します。つまり高速自動車国道は「国道」ですが、自動車専用道路は一般国道だけでなく都道府県道や私道もあります。首都高速道路や名古屋高速道路といった都市高速道路も分類は自動車専用道路になります。
高速自動車国道は高速自動車国道法第10条において、自動車専用道路は道路法第48条の3において、鉄道や道路などと交差する際は立体交差しなければならないと定められています。
高速道路は最高速だけでなく最低速度も決められている
ここから先は、高速自動車国道を「高速道路」、自動車専用道路は「自動車専用道路」と、みなさんにとって馴染みのある形で表記します。
高速道路は標識などで指示がされていない場合、普通乗用車の最高速度は100km/h(大型貨物車などは80km/h)になります。そしてカーブが多い区間や道路幅員が狭い区間、中央分離帯がない区間では100km/hより低い最高速度に設定されています。また、工事区間や悪天候の際も最高速度が制限されることがあります。その場合は100m/hではなく指定された最高速度を守らなければなりません。
新東名高速道路や東北自動車道など一部区間の最高速度が120km/hになる高速道路もあります。
高速道路では最高速度だけでなく50km/hという最低速度も設定されています。最高速度違反、最低速度違反はどちらも行政処分の対象となります。そして高速道路では40km/h以上速度超過して捕まると、行政処分ではなく刑事処分の対象となります。いわゆる“青切符”ではなく“赤切符”が切られ、反則金ではなく“罰金”が科せられます。そして刑事処分なので前科がついてしまいます。
登坂車線の最高速度は60km/h
高速道路を走っているとたまに登坂車線から追い越しするクルマを見かけることがあります。道路構造令では登坂車線を「上り勾配の道路において速度の著しく低下する車両を他の車両から分離して通行させることを目的とする車線」と定めていて、高速道路では上り勾配が3%を超える場所に必要に応じて設けられています。当然、速度が遅いクルマが走るためのもので、本線を走るクルマを追い越すためのものではありません。
道路交通法では「他の車両を追い越そうとするときは、その追い越されようとする車両の右側を通行しなければならない」と定められています(第28条)。登坂車線は追い越されるための道路なので、一番左側に設置されています。つまり登坂車線から追い越すのは「追い越し違反」になります。
また、登坂車線は高速道路の本線車道ではないので法定最高速度が一般道と同じ60km/hになります(最低速度もありません。標識などで定められている場合はそれに従いましょう)。もし本線を走っているのと同じ感覚で走ると大幅な速度超過となってしまいます。
けん引車の最高時速は80km/h
昨今盛り上がっているキャンピングカーにはさまざまなタイプがあります。中には自走できないキャンピングトレーラーでアウトドアを楽しんでいる人もいるでしょう。高速道路ではトレーラーなどけん引車の最高速度は80km/h(最低速度は50km/h)になります。キャンピングトレーラーをけん引する際もこれに該当するので速度に注意して走行してください。
クルマが故障してレッカー車で修理工場に運んでもらったり、緊急で他車にロープで引っ張ってもらったりすることがあるかもしれません。この場合の最高速度は高速道路の最低速度よりも低いため、ロープで引っ張った状態で高速道路を通行することが禁止されています。積載車なら高速道路を問題なく通行することができます。
なお、NEXCO東日本のWEBサイトには上記のような場合、「本来通行することができませんが、道路交通法第75条の四の「危険防止のためやむを得ない場合」にあたり次のICまで通行できますが、警察官の指示無しに次のICを通過して長距離にわたって通行した場合は、法令違反となりますのでご注意ください」と記載されています。
やむをえない場合は必ず次のインターチェンジで降りるようにしてください。
自動車専用道路の最高速度は?
自動車専用道路は高速自動車国道ではなく一般国道や都道府県道の一種なので、標識などで指示がされていない場合の最高速度は60km/hになります。それよりも速い速度で走っていい道路には最高速度の標識などが表示されます。
目的のICを通り過ぎてしまったら次のICで引き返す
ほかにも高速道路や自動車専用道路にはさまざまなルールがあります。たとえば社会問題にもなっている逆走。道路交通法では第17条4項で「道路の中央から左の部分を通行しなければならない」と定めています。逆走は道路の右側を走っているので第17条違反となり、「3ヵ月以下の懲役または5万円以下の罰金」(道路交通法第119条6項)になる可能性があります。
また、目的のICを通り過ぎてしまったり、立ち寄ろうと思っていたSAを通り過ぎてしまったりすることは誰もが1度は経験しているはず。通り過ぎたことにすぐ気づき、「ちょっとの距離だから」とバックするのも違反(本線車道横断等禁止)です。
違反点:2点
反則金:大型車/1万2000円、普通車/9000円、二輪車/7000円
NEXCO東日本のWEBサイトによると、万が一目的のICを通り過ぎてしまった場合は「そのまま走行し、次のインターチェンジで降りてください。インターチェンジ出口では一般レーンをご利用いただき、料金の精算前に、料金所スタッフにお申し出ください。(ETCをご利用のお客さまは、事前にETCカードをETC車載器から取り出したうえで、「一般」レーンまたは「ETC/一般」レーンに進入してください。)」とのこと。
係の人が目的のICまで戻れるよう案内してくれるのでその指示に従って走行しましょう。通行料金は当初流入したICから目的のICまでの金額になるそうです(ICの構造などによっては対応できない場合もあり)。
脇見運転も違反行為
高速道路や自動車専用道路を走っていると、きれいな景色にたくさん出合うことができます。中には絶景と言えるような素晴らしい景色もありますが、脇見運転はとても危険。100km/hで走行していると、クルマは1秒間で約28mも進みます。そのためごくわずかな時間でも追突事故などを引き起こす可能性があります。脇見運転は「安全運転義務違反」になります。
違反点:2点
反則金:大型車/1万2000円、普通車/9000円、二輪車/7000円
もし脇見運転の理由がスマホの操作だった場合は、より重い違反となります。道路交通法71条5の5(運転者の遵守事項)違反となり、事故がなくても「保持」、もし事故があった場合は「交通の危険」となります。
携帯電話使用等(保持)
違反点:3点
反則金:大型車/2万5000円、普通車/1万8000円、二輪車/1万5000円
携帯電話使用等(交通の危険)
違反点:6点(免許停止)
反則金:なし(刑事処分の適用となり、1年以下の懲役または30万円以下の罰金)
ガス欠でも違反点と反則金が発生
そして高速道路や自動車専用道路に入る前にうっかり給油するのを忘れて、燃料残量警告灯(エンプティマーク)が点灯したという経験がある人もいるでしょう。
車種によって差はありますが、トヨタ カローラクロスの取扱説明書を見るとガソリン残量が約7L以下になると燃料残量警告灯が点灯すると書かれています。
高速道路にはSAなどにガソリンスタンドがあるので、燃料残量警告灯が点灯したら一番近い場所で給油するか、燃費を考えてSAまで持たないと思ったら一番近いICで高速道路を降りて給油してから再び高速道路に入りましょう。
もし高速道路上でガス欠を起こすと「高速自動車国道等運転者遵守事項違反」になります。
違反点:2点
反則金:大型車/1万2000円、普通車/9000円、二輪車/7000円
SA/PA内も逆走はNG!
高速道路を長時間走る場合、ほとんどの人が一回はSA/PAを利用するはず。休日はSA/PAが混雑していて駐車できるスペースを探すのが大変なこともありますね。ようやく空いているスペースを見つけたからと、場内を逆走するクルマを見かけることもありますが、これはNG!
SA/PA内は一方通行で進行方向が標識で示されたり路面に書かれており、逆走は禁止。駐車できるスペースが見つからなかった場合はそのSA/PAを出て次のSA/PAに向かいましょう。
また、SA/PAで問題になっているのが乗用車を大型車のスペースに駐車するなど、所定場所以外への駐車行為。これにより本来駐車できるはずのクルマが駐車できなくなるので、必ず所定場所に駐車しましょう。駐車スペース以外にクルマを止めたり、障がい者用スペースに一般のクルマを駐車するのも論外です。
ほかにもSA/PAで車中泊やキャンプをする、SA/PAで待ち合わせをして1台のクルマに乗り合いで出かける、SA/PAに大勢で集合して集会などを行うことも禁止されています。
SA/PAは多くのドライバーが利用する施設。ルールを守って、みんなで気持ちよく利用しましょう。
(文:高橋 満<BRIDGE MAN>)
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