道路上のさまざまな標示の意味をおさらいして安全運転を・・・今一度思い出したい交通ルール

  • 自転車ナビラインが描かれた交差点

    自転車ナビラインが描かれた交差点


みなさんが運転免許を取得した時、さまざまな交通法規を学んだはず。しかし運転免許を取得し日常的に運転するようになると、なんとなく他のクルマの流れに合わせていて、特に法規のことを意識せずに走っていることも多いのではないでしょうか。

道路はクルマ以外にもバイクや自転車、そして多くの歩行者などが利用します。だからこそ利用する人たちが同じ法規を守り、不慮の事故を防止しなければなりません。

ここでは大切な交通法規を今一度思い出し、皆さんと一緒に安全運転を心がけていきましょう。

第10回目は、道路上に描かれるさまざまな標示を見ていきましょう。

自転車の通行帯の標示には種類がある

車道の左側に描かれる青い帯。多くの道路で見ることができるので、ほとんどのドライバーが自転車用の通行帯であることを理解しているはずです。では、自転車用の通行帯の標示にはいくつか種類があることはご存じでしょうか。自転車通行帯は標示により、ルールが異なります。

普通自転車専用通行帯

  • 普通自転車専用通行帯

    普通自転車専用通行帯

車道の左側が青く塗られ、白地の矢印が描かれたエリアは「普通自転車専用通行帯」になります。クルマは道路外に出たり、交差点で左折したりするなどあらかじめ道路の左端に寄らなければならないときを除いて自転車専用通行帯の中を通行することはできません。もちろん自転車“専用”の通行帯なので、歩行者も通行できません。

  • 普通自転車専用通行帯

    普通自転車専用通行帯

自転車専用通行帯は全体が青地で塗られたもののほか、上の写真のように通行帯の右側に青い線が引かれたタイプなどもあります。

自転車ナビライン

  • 自転車ナビライン

    自転車ナビライン

上の写真のように青い矢羽根が描かれている部分は「自転車ナビライン」です。自転車ナビラインは交差点とその付近に標示されています。よく見るのが、自転車専用通行帯が交差点付近で自転車ナビラインになるケースですね。

自転車専用通行帯と違い自転車ナビラインは法令で定められた通行帯ではなく、自転車の通行場所を路面にわかりやすく示したものです。そのためクルマやバイクも中に入ることができます。やむなく自転車ナビラインの上を通行する際は自転車に注意してください。

自転車ナビマーク

  • 自転車ナビマーク

    自転車ナビマーク

自転車のマークと白い矢羽根が描かれた部分は「自転車ナビマーク」と呼ばれています。自転車ナビラインが交差点とその付近に標示されているのに対し、自転車ナビマークはそれ以外の部分に描かれています。

自転車ナビマークも法令で定められた通行帯ではないので、描かれたエリア内をクルマやバイクが通行することができます。ただ、車道を通行する自転車との事故を避けるためにやむを得ない場合を除きこの中を通行するのは避け、通行する自転車を追い越すときは十分な距離を空けるように走行しましょう。

自転車専用通行帯・自転車ナビライン・自転車ナビマーク内では自転車は一方通行になり、矢羽根で描かれた方向にしか進むことができません。

赤や緑などの舗装の道路は運転者への注意喚起

  • 赤い舗装で運転者への注意喚起を行う横断歩道

    赤い舗装で運転者への注意喚起を行う横断歩道

舗装された道路はアスファルトの色であるグレーですが、路面が赤い舗装になっているエリアもあります。これはドライバーに注意喚起をする目的で設置されています。その意味はさまざまで、たとえば信号のない横断歩道や急カーブの手前、交差点の駐停車禁止エリア、生活道路の交差点内などで赤い舗装を見かけます。

山道などの下り坂では赤い舗装と普通の舗装が交互に続くエリアもあります。このエリアでは赤い舗装部分を段差にしてわざとクルマに振動が伝わる構造になっていて、ドライバーに振動を感じさせることで速度抑制の注意喚起をしています。

また、路側帯が緑に着色されている道路もあります。これはグリーンベルトと呼ばれ、主に小学校の通学路など歩行者の多い道路で、歩道と車道が区分されていない場所の路側帯に設置されています。歩行者との接触事故を防ぐことを目的としたものなので、グリーンベルトや路面全体が緑に舗装されているエリアなどは特に注意して走行しましょう。

  • メロディーライン

    メロディーライン

標示とは異なりますが、ドライバーに速度抑制を促すのと似たような効果を狙った道路に「メロディーライン」があります。メロディーラインは道路にさまざまな音が出る溝がつけられていて、制限速度で走ると走行音が有名曲のメロディーになるよう設計されています。
もし速度オーバーで走っていると曲がきちんと聞こえないので、ドライバーが自然に速度抑制する効果を狙っているほか、観光の役割も果たしています。

車線境界線や中央線の描かれ方で異なるルール

実線と破線、白とオレンジ色など、道路にはさまざまな線が描かれています。私たちはこれらの線を「車線」と呼ぶことが多いですが、「車線境界線」が正式名称です(車線はクルマが通るレーンを指します)。対向車線との進行方向を区分するための線は「中央線」(センターライン)になります。

車線境界線・中央線は複数のレーンを区分する役割があると同時に、線の種類で追い越しなどのルールを表しています。

白い破線

  • 白い破線の中央線

    白い破線の中央線

白い破線の車線境界線は「車線変更可」、中央線は追い越し時の「はみ出し可」になります。線からはみ出して追い越しをする場合は対向車が来ていないかよく確認し、追い越しが終わったら速やかに元の車線に戻りましょう。

白い実線

  • 白い実線の中央線

    白い実線の中央線

白い実線の車線境界線は「車線変更可」、中央線は「はみ出し禁止」になります。クルマを追い越そうとすると必然的に線をはみ出すため、追い越しできるのは自転車などに限られてきます。

白い破線の車線境界線や中央線も交差点や横断歩道などの手前30mから白い実線に変わります。交差点や踏切、横断歩道または自転車横断帯の手前から30m以内は追い抜きや追い越しのための進路変更が禁止されます(道路交通法第30条の3)。また、右左折時は30m手前でウインカーを出すことが定められているので(道路交通法施行令第21条)、破線から実線に変わる部分を目安にしてください。

黄色い実線

  • 黄色い実線の中央線

    黄色い実線の中央線

黄色い実践の車線境界線は「車線変更禁止」、中央線は「追い越しのためのはみ出し禁止」になります。はみ出さなければ追い越しはできますが、黄色い実線の中央線は道幅が狭い道路に引かれていることが多いため、実際には追い越しができないケースが多くなります。

車線変更線や中央線が2本引いてある場合

  • 2本の線が引かれている中央線

    2本の線が引かれている中央線

白い破線と黄色い実線が引かれているような道路では自分が走行している車線側のラインを見るようにします。たとえば上の写真だと左側の車線ははみ出しが認められていますが、対向車線は追い越しのためのはみ出しが禁止されています。高速道路などで左から合流してくるポイントでは、左の車線は右に車線変更できるけれど右の車線は左への車線変更が禁止されていたりします。

最近増えているオレンジの矢羽根線

  • オレンジの矢羽根線は「進路変更禁止の注意喚起表示」

オレンジの矢羽根線は「進路変更禁止の注意喚起表示」
引用:警視庁HP「進路変更禁止の注意喚起表示について」
https://www.keishicho.metro.tokyo.lg.jp/kotsu/doro/houteigai_hyouji.html

車線境界線の一部がオレンジ色の矢羽根になっているのを見たことがありますか? これは2021年に新設された法定外表示で、進路変更禁止区間手前に設置されている「進路変更禁止の注意喚起表示」です。
交差点直近における急な進路変更の防止を目的としたもので、注意喚起区間は車線変更をすることは可能です。

道路に描かれるマーク、意味は全部わかる?

道路にはその車線の進行方向を示す矢印の他にも、図形が描かれていることがあります。みなさんはそれぞれの意味を理解していますか?

2つのひし形は横断歩道の予告

  • 「横断歩道または自転車横断帯あり」を示す2つのひし形のマーク

    「横断歩道または自転車横断帯あり」を示す2つのひし形のマーク

住宅街の生活道路などを走っていると、道路にひし形のマークが2つ描かれているのを見ることがあります。これは「横断歩道または自転車横断帯あり」を示すマーク。といっても、すべての横断歩道の手前にあるわけではなく、主に信号機のない横断歩道や見通しの悪い場所にある横断歩道などの手前に描かれます。このマークを見たら速度を落とし、先の横断歩道を渡ろうとしている歩行者などがいたら停止して歩行者に渡ってもらいましょう。

2つの逆三角形は優先道路の予告

なかなか見かけることはありませんが、2つのひし形と同じような形で道路に逆三角形が2つ描かれている場所もあります。これは「前方優先道路」を示すマークで、信号がない場所で交差する道路に優先権があること意味しています。このマークを見たら、交差する道路を走るクルマに道を譲りましょう。

破線の矢印は車線の通行区分の予告

  • この先に通行区分の規制があるという「予告標示」の破線の矢印

    この先に通行区分の規制があるという「予告標示」の破線の矢印

道路にはその車線の通行区分(進行方向)を示す矢印が描かれますが、矢印には実線と破線があることに気付いていましたか? 実線の矢印は「進行方向別通行区分」と呼ばれ、ご存じの通りその車線がどの方向に進めるかを示しています。破線の矢印はその手前にある「予告標示」で、この先に通行区分の規制があることを示しています。交差点直前での車線変更は危険。破線矢印が出てきたら早めに車線を移って安全運転を心がけてください。

区域全体が最高速度30km/hであることを示す「ゾーン30」

  • 指定エリアが30km/h規制となる「ゾーン30」

    指定エリアが30km/h規制となる「ゾーン30」

住宅街の生活道路を走っていると、道路標識や路面に描かれた標示で「ゾーン30」を見かけることがあります。ゾーン30は歩行者などの安全な通行を確保することを目的に、指定区域全体で最高速度30km/hの速度規制を行っているエリア内であることを示しています。

ゾーン30のエリア内では速度規制以外にも道路の中央線をなくして車道を狭くする、道にハンプ(段差)や狭さくを設置してスピードを出しづらくするなどの措置が取られています。

歩道の縁石がオレンジ色に塗られている場所は「駐車禁止」

  • 歩道の縁石がオレンジの破線に塗られていたら駐車禁止、オレンジの実線なら駐停車禁止

    歩道の縁石がオレンジの破線に塗られていたら駐車禁止、オレンジの実線なら駐停車禁止

歩道と車道が区分けされている道路で歩道の縁石がオレンジ色の破線や実線で塗られているエリアがあります。これは「規制標示」の一つで、その道路が駐車や駐停車禁止であることを示しています。オレンジ色の破線は駐車禁止、オレンジ色の実線は駐停車禁止になります。

交通ルールは文章で長々と標示しても運転しているドライバーには伝わらないため、マークや色でドライバーが視覚的に理解できるようにしています。でもドライバーがその意味をわかっていなければ意味がありません。今一度標識や標示が示しているものを思い出し、安全運転を心がけましょう。

(文:高橋 満<BRIDGE MAN>)

今一度思い出したい交通ルール