時間帯によって交通ルールが変わる道路に注意!・・・今一度思い出したい交通ルール
みなさんが運転免許を取得した時、さまざまな交通法規を学んだはず。しかし運転免許を取得し日常的に運転するようになると、なんとなく他のクルマの流れに合わせていて、特に法規のことを意識せずに走っていることも多いのではないでしょうか。
道路はクルマ以外にもバイクや自転車、そして多くの歩行者などが利用します。だからこそ利用する人たちが同じ法規を守り、不慮の事故を防止しなければなりません。
ここでは大切な交通法規を今一度思い出し、皆さんと一緒に安全運転を心がけていきましょう。
第12回目は、時間帯によって変わる交通ルールについて見ていきましょう。
時間帯によってセンターラインが変わるリバーシブルレーン
朝や夕方の通勤ラッシュ時に慢性的な渋滞が発生する道路では、時間帯によって道路のセンターライン(中央線)を移動させる措置を取っている場所があります。これは「リバーシブルレーン(可逆車線)」と呼ばれます。
たとえば上下3車線ずつある道路で、上りが渋滞していて下りが空いているときに、下りの1車線を上りの道路にして4車線2車線にする。そうすれば渋滞が緩和される。このような考えで1970年代頃から導入された制度です。
リバーシブルレーンでは、その時間帯のセンターラインが上の写真のように道路の上に掲げられる可変の標識と、路面に埋め込まれたライトの点滅などで標示されています。標示に従い、安全に通行するようにしてください。
ただ、リバーシブルレーンは現在減少・廃止の方向で検討されています。というのもリバーシブルレーンには時間帯でセンターラインが変わることによる人身事故や逆走のリスクが拭えないこと。また、日頃からその道を利用している人以外にはどこがセンターラインか分かりづらいために中央を避けて通行する人もいます。さらにセンターラインを変更するシステムが老朽化し、維持管理の負担が大きくなっていたり、部品が製造中止になっていて維持管理が難しくなっているケースもあるようです。
バス専用レーンは指定時間に通行すると違反
複数車線あり、路線バスが通っている幹線道路では、朝や夕方の時間帯に左車線をバス以外の車両が通行禁止になっているケースもあります。
これはバスレーンと呼ばれるもので、正式名称は「路線バス専用通行帯」と言います。バスレーンには2種類あり、ルールが異なります。
●バス専用レーン
バス以外のクルマは右左折などをするときを除き、専用レーンを通行すると違反になる。
●バス優先レーン
一般車両の通行が可能だが、後方からバスが接近してきたときはバスの正常な運行に支障を及ぼさないように速やかに他の通行帯に移らないと違反になる。
バスレーンも標識と道路への標示でバスレーンであることとその時間帯が示されます。逆に言えば、指定時間以外はバスレーンにはならないので、一般車も普通に通行できます。
筆者の自宅近所ではバスレーンの通行違反の取り締まりが行われているのをよく見かけます。朝の時間帯は右車線が混んでいるのにバスレーンである左車線はクルマが通っていなかったりするので急いでいるときはついそちらを走りたくなりますよね。でもバスの円滑な通行のためにルールを守って走行しましょう。
違反点:1点
反則金:大型車/7000円、普通車/6000円、2輪車/6000円
注意しなければいけないのは左折時。バス専用レーンの説明に「右左折などをするときを除き」とあるように、交差点を左折する際はバスレーンに入って一番左の車線から左折するのが正解。バスレーンは走ることができないからと右側の車線から左折するのは違反になります。
指定時間が通行禁止になるスクールゾーンは住民も通れない?
小学校や幼稚園を中心にした半径500mほどの通学路に設定されるスクールゾーン。スクールゾーン内にある道路には路面への標示や標識でスクールゾーンであることが示されています。
スクールゾーン内では速度の規制や一方通行などの措置が取られますが、通学時間帯に車両通行禁止の措置が取られる場所もあります。通行禁止の時間帯は別の道に迂回することになります。
問題はスクールゾーン内に住んでいる(駐車場がある)人。車両通行禁止の道を通らないと自宅に帰ることができませんし、通行禁止の道を通らないと出かけることができないという事態が発生します。
道路交通法では第8条で以下のように定めています。
歩行者等又は車両等は、道路標識等によりその通行を禁止されている道路又はその部分を通行してはならない。
2. 車両は、警察署長が政令で定めるやむを得ない理由があると認めて許可をしたときは、前項の規定にかかわらず、道路標識等によりその通行を禁止されている道路又はその部分を通行することができる。
3. 警察署長は、前項の許可をしたときは、許可証を交付しなければならない。
そして、道路交通法施行令の第6条で「やむを得ない場合」を以下のように定められています。
1. 車庫、空地その他の当該車両を通常保管するための場所に出入するため車両の通行を禁止されている道路又はその部分を通行しなければならないこと。
2. 身体の障害のある者を車両の通行を禁止されている道路又はその部分を通行して輸送すべき相当の事情があること。
3. 前二号に掲げるもののほか、貨物の集配その他の公安委員会が定める事情があるため車両の通行を禁止されている道路又はその部分を通行しなければならないこと。
スクールゾーンの中に駐車場があるのは「やむを得ない場合」に該当します。そこで、保管場所を所轄する警察署で通行許可証を発行してもらうことで、車両通行禁止の時間帯でも通行できるようになります。逆に警察から通行許可証を発行してもらう手続きをとらない間はスクールゾーン内に駐車場があっても通行することはできません。
時間帯による通行禁止は商店街などでも行われていることがあります。商店街を通らないと保管場所にたどり着けない場合は警察署に通行許可証発行の申請をすることができます。
時間帯によって一方通行の方向が変わる!?
非常にレアな規制ですが、筆者の自宅からそう遠くない東京・神楽坂には時間帯・曜日によって一方通行の向きが変わる道路があります。これは早稲田通り〜神楽坂通りの交通規制で、警視庁がWEBサイトで解説するほど有名です(https://www.keishicho.metro.tokyo.lg.jp/about_mpd/shokai/ichiran/kankatsu/ushigome/about_ps/kotsu_kisei.html)。この道は内閣総理大臣にもなった某議員が自宅と国会を最短距離で移動するために一方通行を逆転させたという話もありますが、これはあくまで都市伝説。真相は周辺を含めた交通事情を鑑みてとのことです。
このエリアでは一方通行と進入禁止の標識が混在するので初めて通る人だと混乱しそう。脇道から侵入するときも間違えないよう注意が必要です。神楽坂エリアの逆転式一方通行は過去にGAZOOで詳細をレポートしているので興味がある人はチェックしてみてください
逆転式一方通行はほかにも東京都足立区や岡山県岡山市など、全国にいくつかあるそうです。
時間帯によって駐車できるかが変わる道路
時間帯で交通ルールが変わるものとしてもうひとつ挙げられるのが「時間制限駐車区間」です。パーキングメーターやパーキングチケットが設置されている道路で、指定された時間内に限り、料金(警察手数料)を払うことで短時間駐車が認められています。
多くの場合は60分以内(40分以内など60分より短い場所もあります)に限り駐車可能で、指定時間を超えても駐車している場合は駐車違反になります。たとえば60分以内という指定があるパーキングチケットで、チケットを3枚分買ったからといって3時間まで停められるわけではありません。
また、短時間駐車できるのはあくまで枠内のみ。枠外駐車は短時間でも取り締まりの対象になります。
車両は、時間制限駐車区間においては、駐車につき道路標識等により指定されている道路の部分及び方法でなければ、駐車してはならない。(道路交通法第49条の3の3)
ではパーキングメーターやパーキングチケットの指定時間以外に駐車はできるのでしょうか。それは時間制限駐車区間の標識と一緒に掲示されている標識により変わってきます。
上の写真は9:00〜20:00に限り、枠内に60分の駐車が可能。そして20:00〜翌朝7:30までは駐車禁止、7:30〜9:00は駐停車禁止になります。駐車禁止等の標識がない場所なら指定時間外に駐車しても違反にはなりませんが、同じ場所に12時間(夜間は8時間)以上駐車すると、自動車の保管場所の確保等に関する法律に違反することになり、取り締まりの対象になります。
第11条
何人も、道路上の場所を自動車の保管場所として使用してはならない。
2 何人も、次の各号に掲げる行為は、してはならない。
一 自動車が道路上の同一の場所に引き続き12時間以上駐車することとなるような行為
二 自動車が夜間(日没時から日出時までの時間をいう。)に道路上の同一の場所に引き続き8時間以上駐車することとなるような行為
時間帯によって交通ルールが変わるのは、周辺を含めた地域や道路の事情によるもの。間違えやすい場所もあるので、標識などをよく見て、正しく通行するようにしましょう。
(文:高橋 満<BRIDGE MAN>)
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