中古車と新車の10年間のトータルコストを比較、違いを解説
クルマの購入を検討する際に気になるのが、車両価格や支払総額。しかし、実際にクルマにかかるお金は、購入時の支払いだけで完結するものではありません。保有期間中に発生する維持費や最終的に車を手放す際の売却価格まで含めることで、実質的な負担が見えてきます。
特に新車と中古車を比較する場合、購入価格の差だけで判断してしまうと、保有期間中の支出構造や将来の回収額を見落としやすくなります。同じクルマであっても、どのくらいの期間乗るのか、どのような条件で手放すのかによってトータルでかかる費用は大きく変わります。
本記事では、クルマの購入から保有、そして手放すまでを一連の流れとして捉え、「10年間のトータルコスト」という視点から新車と中古車の違いを整理します。
【もくじ】
1.クルマにかかる、トータルコスト(総額費用)の考え方
2.【シミュレーション】期間別に見るトータルコストの差
▶︎ 5年保有の場合
▶︎ 10年保有の場合
3.維持費以外で差がつく「ローンと保険」のコスト
▶︎ ローン金利が生む長期的な差
▶︎ 車両保険の考え方も変わってくる
▶︎ 「維持費は同じ」でも実質負担は異なる
4.新車にかかるお金の流れと考え方
▶︎ 新車の初期費用と税制面の特徴
▶︎ 維持費と保証による安心感
▶︎ 新車の価値は最初に下がり、その後は安定しやすい
5.中古車にかかるお金の流れと考え方
▶︎ 初期費用は安いが、将来コストに注意が必要
▶︎ 年数経過によって避けられないメンテナンスコスト
▶︎ 中古車のリセールバリューは年式の節目で大きく変わる
6.損をしないための「賢い選び方」のポイント
7.トータルコストで大切なのは「安さ」より判断軸
クルマにかかる、トータルコスト(総額費用)の考え方
クルマ選びで損をしないためには、購入時にいくら支払ったかではなく、手放すまでに実質いくら負担したかを把握することが重要です。その考え方は、次の計算式で整理することができます。
トータルコスト =(車両本体価格 + 諸費用)+ 維持費 - 売却価格(リセールバリュー)
購入時の初期費用に加え保有中の維持費、そして売却時に回収できる金額まで含めて、実質的な負担を捉えるための考え方として参考にしてください。
たとえば税制優遇の有無や燃費性能による燃料代の差は、長期で見るほど影響が積み重なります。さらに将来どの程度の金額で手放せるかという資産価値の視点も含めて整理することで、10年単位でも納得感のあるクルマ選びにつながるでしょう。
【シミュレーション】期間別に見るトータルコストの差
クルマのトータルコストは、どのくらいの期間そのクルマを保有するかによって評価が大きく変わります。同じクルマであっても、保有年数が異なれば、支出が発生するタイミングや売却時に回収できる金額が変わるためです。この章では、5年保有と10年保有という代表的な期間を想定し、それぞれの考え方を整理します。
▶︎ 5年保有の場合
5年という比較的短い期間で見た場合、需要の高い車種であれば新車のほうがトータルコスト面で有利になるケースがあります。購入時の支払額は新車のほうが大きくなりますが、5年後でも一定の市場価値が残りやすく、売却時に高値で回収できる可能性があるためです。
また、この期間は初回車検を中心とした最低限の整備で済むことが多く、経年劣化による大きな修理費が発生しにくい傾向があります。さらに、各種税制優遇が適用される期間と重なることで、維持費を含めた実質的な負担が抑えられるケースも考えられます。その結果、購入価格の差ほどトータルコストに開きが出ず、条件次第では新車のほうが結果的に合理的な選択となることもあります。
▶︎ 10年保有の場合
10年という長期で保有する場合は、中古車の初期費用の安さがトータルコストに反映されやすくなります。長く乗り続ける前提では、購入時点で支払った金額が全体の負担に占める割合が大きくなるためです。
10年が経過すると、新車・中古車のいずれであっても売却時の価値は限定的になりやすく、回収できる金額の差は小さくなります。そのため、購入価格を抑えられる中古車のほうが、総額としては安く収まる傾向が見られます。
ただし、保有期間が長くなるにつれて走行距離も伸びやすく、消耗部品の交換や経年劣化による修理が現実的な支出として発生しやすくなります。また、年式が進むことで燃費性能が低下し、日常的なランニングコストが増える可能性にも考慮が必要です。
こうした維持費や修理費の増加をどこまで許容できるかによって、10年保有における中古クルマの評価は大きく変わります。初期費用の安さだけでなく、長期保有に伴うリスクまで含めて考えることが重要です。
維持費以外で差がつく「ローンと保険」のコスト
新車と中古車の比較では、「維持費はほとんど同じ」という説明がされることがあります。実際、同じ車種・排気量で比較する場合、自動車税など制度で決まる費用は大きくは変わりませんが、年式や状態によってメンテナンス費や保険料、故障対応の負担は差が出ます。
しかし、10年という長期でトータルコストを考えた場合、差を生みやすいのは維持費そのものではなく、ローンや保険といった金融条件です。購入時には目立ちにくい要素ですが、保有期間が長くなるほど、じわじわと実質負担に影響してきます。
▶︎ ローン金利が生む長期的な差
一般的に、新車は中古車に比べてローン金利が低く設定される傾向があります。メーカー系ローンや期間限定のキャンペーン金利が利用できるケースが多いためです。
一方で、中古車ローンは金利がやや高めに設定されることが多く、借入額自体は少なくても返済期間が長くなると支払総額では差が縮まる場合があります。条件によっては、新車とほとんど変わらない負担になることも珍しくありません。
購入価格の安さだけで判断すると見落としがちですが、いくら借りて、どのくらいの期間で返すのかという視点は、10年スパンでは無視できない要素といえます。
▶︎ 車両保険の考え方も変わってくる
保険の考え方も、新車と中古車では異なります。新車の場合は車両価格が高いため、車両保険を付けると保険料は上がりやすくなりますが、万一の事故や故障時に受けられる補償の範囲も大きくなることがポイント。
一方、中古車では車両価値が低いことから、車両保険を付けずに保険料を抑える判断をする人も少なくありません。ただしその場合、修理費は原則として自己負担となり、想定外の出費につながる可能性があります。
保険料が安くなるというメリットの裏側で、リスクをどこまで自分で引き受けるかという判断が求められる点は、中古車特有の注意点といえます。
▶︎ 「維持費は同じ」でも実質負担は異なる
税金や燃料代といった表面的な維持費だけを見ると、新車と中古車に大きな差はありません。しかし、ローン金利の違いや保険の設計、さらには故障時の自己負担リスクまで含めて考えると、トータルコストの性質は大きく変わります。
10年という長期でクルマを保有する場合、金融条件は短期間では見えにくいものの、確実に効いてくるコストです。目に見える購入価格だけでなく、支払い方やリスクの持ち方まで含めて比較することが、実質的な負担を正しく把握するためのポイントになります。
新車にかかるお金の流れと考え方
新車は「購入時に高い」というイメージが先行しがちですが、実際のコスト構造はそれだけで判断できるものではありません。初期費用の大きさに加えて、税制上の扱いや燃費性能、保証による支出の安定性、そして時間の経過に伴う価値の下がり方まで含めて整理する必要があります。ここでは、トータルコストの観点から見た新車の特徴を見ていきましょう。
▶︎ 新車の初期費用と税制面の特徴
新車は、購入時にかかる初期費用が大きくなりやすい点が特徴です。車両本体価格に加え、登録手続きに伴う諸費用や各種税金が発生するため、支払額は中古車よりも高くなります。
ただし、その分だけコスト面で不利になるとは限りません。新車は最新の環境性能基準を満たしていることが多く、条件によっては環境性能割の軽減が受けられる可能性があります。加えて、燃費性能にも優れたモデルが多いため、日常的な燃料費を抑えやすい傾向があります。
購入時の金額だけを見ると負担は大きく感じられますが、保有期間中のランニングコストまで含めて考えると、支出の見通しを立てやすい構造であることが分かります。初期費用の高さと引き換えに、コスト管理のしやすさを得られる点は、新車ならではの特徴といえるでしょう。
▶︎ 維持費と保証による安心感
新車にはメーカー保証が付帯しており、一般的には3年または5年の保証期間が設けられています。この期間中は、故障による修理費の多くが保証の対象となるため、突発的な高額修理が発生しにくく、支出を安定させやすい点が大きなメリットです。また、購入から数年間は部品の劣化が進みにくく、消耗品の交換頻度も比較的少なく済む傾向があります。
10年という長期保有を前提に考えた場合でも、少なくとも前半の数年間は維持費の見通しを立てやすく、この点は新車ならではの安心材料といえるでしょう。
▶︎ 新車の価値は最初に下がり、その後は安定しやすい
新車は購入直後から価値が下がり始めます。なかでも登録から1年目までの下落幅は大きく、この期間にいわゆる「初期減価」が生じます。
一方で、それ以降の価値の下がり方は比較的緩やかになります。人気車種や需要が安定しているモデルであれば、中古市場で一定の需要が保たれやすく、年数を重ねても価格の下落カーブはなだらかに推移します。
このように、新車は購入直後に大きな減価が発生する反面、その後は価値が安定しやすい点が特徴です。保有期間が5年、7年、10年と長くなるにつれて初期減価の影響は相対的に薄れ、トータルコスト全体で見た負担の大きさも把握しやすくなっていきます。
中古車にかかるお金の流れと考え方
中古車は、新車に比べて購入時の負担を抑えやすく、トータルコストを意識したクルマ選びにおいて有力な選択肢です。一方で、支出が発生するタイミングや金額は新車とは異なり、購入後の維持や将来の売却まで含めて整理しておかなければ、実際の負担を正しく把握することはできません。
ここでは、トータルコストの観点から見た中古車の特徴を見ていきましょう。
▶︎ 初期費用は安いが、将来コストに注意が必要
中古車の最大のメリットは、購入時の初期費用を抑えやすい点にあります。新車と比べて数十万円、条件によっては100万円以上安く購入できるケースもあり、予算面でのハードルは大きく下がります。
ただし、中古車はすでに一定の年数や走行距離を重ねているため、購入時点で将来の支出を見据えておくことが大切。車検の残り期間が短い車両や、消耗品の交換時期が近づいている車両も多く、年式やこれまでの使われ方によって車両コンディションに差が出やすい点は避けられません。初期費用の安さは大きな魅力ですが、その価格だけに目を向けてしまうと、購入後に発生する支出を見落としやすくなります。どのタイミングで、どの程度の費用がかかりそうかを想定したうえで選ばなければ、結果的にトータルコストが膨らむ可能性もあります。
▶︎ 年数経過によって避けられないメンテナンスコスト
中古車は、年数が進むにつれてメンテナンス費用や修理費が発生しやすくなります。特に10年という長期保有を前提にすると駆動系や足回り、電装系といった部品の経年劣化が避けられず、部品交換が現実的な支出として表れてきます。こうした修理費は、購入時点で正確に見積もることが難しいものです。
購入直後は問題なく使えていても、数年後にまとまった修理費が必要になるケースは決して珍しくありません。このように、支出のタイミングや金額を読みづらい点は、中古車を長く乗るうえで意識しておきたいポイントです。販売店保証や延長保証を利用することでリスクを抑えることは可能ですが、その分コストは上乗せされます。保証料を含めた総額で見たときに納得できるかどうかまで含めて判断することが重要です。
▶︎ 中古車のリセールバリューは年式の節目で大きく変わる
中古車は購入時点ですでに初期減価を終えた状態にあるため、購入直後の価格下落は新車ほど大きくありません。この点だけを見ると、中古車は価値が下がりにくいように感じられます。
しかし、注意すべきなのは年式による評価の変化。中古車は一定の年数を超えると、「◯年落ち」という年式そのものが市場評価に影響します。特に10年や13年といった節目を迎えると需要が急激に落ち込み、価値が一気に下がる場合があります。そのため中古車は、購入直後は価格が安定しているように見えても、ある時点から急激に価値が下がるゾーンを把握しておくことが重要です。
10年のトータルコストを考える際には、最終的な売却価格だけでなく、価値がどのタイミングで下がるのかというプロセスまで含めて捉える必要があります。
損をしないための「賢い選び方」のポイント
トータルコストを抑えるうえで重要になるのが、「購入時点からリセールバリューを意識してクルマを選ぶこと」です。例えば、現在の中古市場ではSUVやミニバンの需要が安定しており、将来的にも買い手がつきやすい傾向があります。加えて、ボディカラーを白や黒といった定番色にすることで、数年後の売却価格に数十万円単位の差が生じることもあります。購入価格だけに目を向けるのではなく、「売却時にどのように評価されやすいか」という視点を持っておくことも重要です。
中古車を選ぶ場合には、年式の捉え方も欠かせません。新車保証が残っている3年落ちの車両は、故障リスクを抑えながら価格も落ち着いており、安心感とコストのバランスを取りやすい選択肢といえます。また、車検のタイミングを迎える5年落ち前後の車両は、市場価格が下がりやすく条件次第では割安感のある一台に出会える可能性があります。単に安さを基準に探すのではなく、「どの年式が最も合理的か」という視点で比較することが重要になります。
さらに、新車と中古車の中間的な選択肢として、登録済未使用車も検討に値します。これはディーラーが販売実績をつくる目的などで登録した車両で、実際の使用歴はほとんどありません。新車と比べて10〜20万円程度価格が抑えられることが多く、納期を待たずに購入できる点も魅力のひとつです。新車に近い状態を求めつつ初期費用を抑えたい場合には、有力な選択肢といえるでしょう。
一方で、未使用車は在庫として流通している車両に限られるため、車種やグレード、カラーの選択肢が限られやすいという側面もあります。タイミングによっては希望条件に合うクルマが見つからないこともあるため、条件をどこまで調整できるかを含めて検討する必要があります。
トータルコストで大切なのは「安さ」より判断軸
新車と中古車を10年という長い期間でトータルコストを比較しても、「必ずこちらのほうが得」と言い切れる答えはありません。新車は購入時の支払いが大きくなりやすい一方で、修理費が出にくく、毎年の出費を比較的安定させやすい点が特徴。反対に中古車は、購入時の負担を抑えやすいものの、年数が経つにつれて修理やメンテナンスなどの予想しにくい出費が発生しやすくなります。そのため、「購入時の負担を抑えたいのか」もしくは「保有中の出費を安定させたいのか」などといった考え方によって選ぶべき方向は変わってきます。あわせて、10年後にどの程度の価値を残した状態でクルマを手放したいのかも、判断に影響するポイントです。
10年というスパンでクルマを持つことを考えるなら、購入価格だけでなく維持費や修理の可能性、最終的に回収できる金額まで含めてトータルコストで捉えることが重要になります。
(文:GAZOO編集部 写真:Shutterstock)
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