ガソリンが安くなったのはなぜ?暫定税率廃止で変わった「ガソリン代の内訳」
「最近、ガソリンが安くなった?」そう感じているドライバーも多いのではないでしょうか?
2025年12月、長年続いてきた「ガソリン暫定税率」が廃止されました。リッターあたり約25円という減税は、家計にとっても無視できない変化です。
そもそも暫定税率とはどんな仕組みだったのでしょう。私たちがガソリンスタンドで支払う金額のうち、どの部分に含まれていて、廃止によって何が変わったのでしょうか。
この記事では、ガソリン代の内訳を確認しながら、なぜ価格が下がったのかを暫定税率の視点で見ていきます。
暫定税率とは何だったのか
暫定税率は、1974年(昭和49年)第一次オイルショック後、道路整備の財源確保を目的とし、ガソリン税に上乗せする形で設けられた税率です。当初はおおむね2年間の「一時的な措置」とされていましたが、その後も期限が延長され続け、結果的に約50年にわたって続いてきました。名前に「暫定」とつきながら、実質的には通常の税率として定着していたわけです。
ガソリン1リットルあたりで見ると、暫定税率に相当するのは約25円。私たちがガソリンスタンドで支払ってきた価格には、長年この上乗せ分が含まれていたことになります。
そして2025年12月、この暫定税率が廃止され、ガソリン税は本来の水準に戻りました。つまり、今回の値下げは、原油価格や為替の変化によるものではなく、「税率そのものが下がった」ことによるものです。
暫定税率はガソリン代のどこに含まれていた?
暫定税率は、ガソリン代の中で「ガソリン税」の一部として含まれていました。
ガソリン税は、揮発油税と地方揮発油税を合わせたものです。揮発油税は国が徴収する税金、地方揮発油税は地方自治体の財源となる税金で、ガソリンを入れる側から見ると、どちらもまとめてガソリン税として支払っています。
暫定税率は、このガソリン税に上乗せされる形で組み込まれていました。そのため、看板価格やレシートに「暫定税率」として表示されることはなく、私たちはガソリン税として一体で支払ってきたことになります。
ガソリン代の内訳は?「本体価格+税金+消費税」
ガソリン代を考えるとき、まず押さえておきたいのはスタンドで支払う金額が、そのままガソリンそのものの値段ではないという点です。店頭価格は、大きく分けると「本体価格」「税金」「消費税」の3つで構成されています。
本体価格は、いわゆる“ガソリンそのもの”の代金です。原油の仕入れ価格に、精製や輸送、販売にかかるコストが加わった部分で、原油価格や為替の影響を受けて日々変動します。ニュースで「原油が下がった」「円高が進んだ」と報じられるとき、主に動くのはこの本体価格です。
一方、税金は少し性質が異なります。ガソリンには、前述したガソリン税(揮発油税・地方揮発油税)に加え、石油石炭税などいくつかの税金がかかっており、その多くは「1リットルあたり何円」とあらかじめ決められた金額で、原油価格が動いても連動することはありません。
そして、その合計にかかるのが消費税です。ガソリンの場合、本体価格だけでなく、これらの税金を含めた金額に対して消費税が計算されます。
ガソリン1Lを分解すると何にいくらかかる?
では、ガソリン1リットルの中身を、実際の数字で見てみましょう。ここでは例として、店頭価格が1リットル160円の場合を想定します。
まず、ガソリンにかかる税金のうち、代表的なものが「ガソリン税」です。正式には、揮発油税(48.6円/L)と地方揮発油税(5.2円/L)を合わせたもので、合計は1リットルあたり53.8円。この金額は、原油価格や為替が動いても基本的には変わりません。
これに加わるのが、石油石炭税です。ガソリンの場合は地球温暖化対策税を含めて1リットルあたり2.8円。こちらも固定額で、燃料に広くかけられている税金です。
この税金(消費税を除く)だけを合計すると56.6円になります。つまり、160円のうち、3分の1以上は税金ということになります。
次に、消費税です。消費税は、本体価格だけでなく、先ほどの税金を含めた金額に対して10%がかかります。160円の場合、消費税にあたるのはおよそ14.5円です。
これらを差し引くと、残りが「本体価格」になります。160円から消費税分を除いた約145.5円、そこから税金56.6円を引くと、ガソリンそのものの代金はおよそ88.9円という計算になります。
ここまでで、店頭価格160円のうち、税金と消費税がどれくらいの割合を占めるかが分かりました。ここから先は、「暫定税率の約25円はどこに入っているのか」を、ガソリン税を分解して確認する補足です。
先ほどのガソリン税53.8円は、揮発油税48.6円と地方揮発油税5.2円の合計です。ポイントは、この48.6円と5.2円が、どちらも暫定税率(上乗せ分)を含んだ金額になっていること。暫定税率はガソリン税に別枠で足されていたのではなく、揮発油税と地方揮発油税のそれぞれに組み込まれていました。
揮発油税48.6円は、「暫定税率上乗せ分」24.3円に、「本来のガソリン税」24.3円が加わったものです。同じように、地方揮発油税5.2円は、「暫定税率上乗せ分」0.8円に「本来のガソリン税」4.4円が加わっています。
これを合計すると、「本来のガソリン税」は28.7円(24.3円+4.4円)、「暫定税率上乗せ分」は25.1円(24.3円+0.8円)。つまり「リッター約25円下がる」というのは、この上乗せ分25.1円が外れる、という意味になります。
ガソリン・軽油はどう作られている? 価格の土台となる生成の仕組み
ガソリンや軽油は、原油を製油所で精製する過程で生まれる燃料です。最初から別々に採れるわけではなく、同じ原油を加熱し、成分の違いによって分けられます。
このため、ガソリンや軽油の本体価格は、原油価格や為替、精製や輸送にかかるコストの影響を受けて変動します。ニュースで「原油高」「円安」と報じられるときに動くのは、この部分です。
一方で、ガソリン税や石油石炭税といった税金は、原油価格とは連動しません。今回ガソリンが安くなった理由は、原油や為替ではなく、税率そのものが下がった点にあります。
まとめ:内訳がわかると、ガソリン価格の見え方が変わる
ガソリンの価格は、原油の値段だけで決まっているわけではありません。ガソリン税や石油石炭税といった税金、精製や流通にかかるコストなど、いくつもの要素が重なって、店頭の価格が形づくられています。
2025年12月に廃止された暫定税率は、「税率そのもの」を押し上げていた要因でした。今回の値下げは、市況の変化ではなく、この上乗せ分が外れたことによるものです。
ガソリン代の内訳を知っておくと、「なぜ価格が上下するのか」を落ち着いて捉えられるようになります。次に給油するとき、表示された数字の向こう側に、こうした背景があることを思い出してみてください。それだけでも、ガソリン価格の見え方は少し変わるはずです。
(文と図:小松暁子 編集と写真:平木昌宏)
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