軽トラならではのグレード「農業仕様」とは?

先日、「ピンククラウンはモモタロウだけど、キンタロウもいた!?」という記事で、スズキ キャリイトラック「金太郎」や、スバル サンバー「さわやか」といったユニークな名前のグレードが紹介されていました。実は、軽トラの世界にはまだまだ変わったグレードが存在します。それが“農業仕様”です。

グレード名は各社で異なるものの、ダイハツ、スズキ、ミツビシ、ホンダ……と、どのメーカーの軽トラにも、レギュラーラインナップとして設定されています。

各社とも、農業仕様は4WD+5速マニュアルの設定のみで、畑やあぜ道での走破性を高めるためにデフロックが装備されていたり、重い荷物に耐えるためにサスペンションが強化されていたりするのが大きな特徴。荷室の作業灯や、後退時にクルマの存在を知らせるブザーなどを特別装備しているものもあります。

各社で微妙に異なる“農業仕様”の装備

ひとくちに“農業仕様”といっても、メーカーによって装備や仕様は少しずつ異なります。ここで各社が用意する農業仕様グレードと、その装備を紹介していきましょう。

ダイハツ ハイゼット 農用スペシャル
重荷に耐えるリヤ4枚リーフスプリングを採用。ハイゼットで荷台のゲートに「あゆみ板(スロープ)」を掛けられる「あゆみ板掛けテールゲート」が装備されるのは、農用スペシャルのみです。

スズキ キャリイ KC農繁仕様
アッパーメンバーガードやアングルポストプロテクター、バックブザー、荷台作業灯といった、使い勝手のよさと安全性を高めるアイテムを備えています。悪路での走破性を高めるデフロックも標準装備。

ホンダ アクティ ATTACK
他社の農業仕様はどれも副変速機つき4WDですが、ホンダは急坂やぬかるみでの発進を助ける極低速走行ギア、UL/UR(ウルトラロー/ウルトラリバース)ギアつき5速マニュアルを採用しています。

ミツビシ ミニキャブ みのり
3枚リーフの強化リヤサスペンションを、シリーズで唯一標準装備しているグレードです(他グレードは5250円のオプション)。また、他社にはない装備として、悪路での走破性を高めるリブラグタイヤがあります。

見た目より実用性で選ばれる軽トラって、乗用車以上にユーザーが求めるレベルが高そうですね。各社の農業仕様を比較していると、「しのぎを削る」といった言葉が思い浮かびます。

農家オリジナルの農業仕様もあった!

「軽トラには農業仕様があるんだよ~」という話をしていたら、千葉県出身のある知人が、「それなら梨農家におもしろいのがあるよ」と教えてくれました。さっそく写真を送ってもらうと、そこには驚くべき姿が!

決して解体屋で撮ってきた写真ではありません。梨の木は、園主が作業しやすい高さ(低さ?)に合わせて育てられるため、そのままのボディでは畑の中に入れないんですね。だから、屋根を切ってしまうのだそうです。もちろんこの状態で公道を走ることはできませんが、これ、究極の農業仕様といってもいいでしょう。働くクルマは奥が深い!

(木谷宗義+ノオト)

MORIZO on the Road