マニアが批評!「WRX STI/WRX S4」

8月25日、富士重工業(スバル)は新型「WRX STI/WRX S4」を発表し、同日より発売しました。
「WRX」と言えば、WRC(世界ラリー選手権)3連覇(1995~1997年)を成し遂げたインプレッサをルーツに持つハイパフォーマンスモデル。スバル独自の2リッター水平対向4気筒ターボエンジン+シンメトリカルAWD(4輪駆動)レイアウトに磨きをかけ、大幅な進化を果たしました。
スペックやグレード構成などの基本情報は、すでに多くのニュースサイトで報じられているのでここでは割愛。
その代わりと言っては何ですが、自称スポーツカーマニアの筆者が発表会にお邪魔してきたので、マニアの視点でWRXをご紹介したいと思います。

WRX STI

最高の走行性能を目指した4代目WRX STI。旧モデルには4ドアセダン、5ドアハッチバックの2タイプがありましたが、今回から4ドアセダンのみに。初代WRXのデビュー時は4ドアセダンのみだったので、原点に戻りました。
細かなディテールは異なりますが、フロントからBピラーあたりまではレヴォーグとの共通性を感じます。見た目はレヴォーグセダンですが、中身は別物。STI Type SとSTIの2グレードがあります。

WRX STI Type S。レヴォーグと見分けがつきやすいのが、バンパー下側のダクト形状。グリルのデザインも異なる

エンジンは初代WRXから進化を重ねてきたEJ20型。308ps/43.0kgf・mというスペックに目が行きがちですが、2400回転で最大トルクの約90%を発揮するという特性も凄い。
緻密なコンピュータ制御により、アクセル操作に対する加速特性もチューニングされています。

レッドに塗られたインテークマニホールドが特徴的なEJ20。熟成の域に達した名機

インテリアは一連のスバルデザインに準じたものですが、オーディオ部やシフトレバーまわりに、カーボン調パネルが多用されています。ハンドル下側を削ったDシェイプデザインも特徴的で、最新スポーツカーのトレンドをうまく取り入れたデザインになっています。
筆者のお気に入りは中央のエアコン吹き出し口上にあるマルチファンクションディスプレイ。燃費やメンテナンス情報の他、ターボのブースト表示も可能で、まるで最新レーシングカーのような雰囲気です。

写真ではわかりづらいが、カーボン調パネルが運転席と助手席まで水平に伸びている

ホイールは18インチが標準ですが、オプションでBBS製(写真)の鍛造ホイールが選べます。
エボリューションモデルをはじめとする歴代のWRXには、BBSホイールの採用例が多く、スバルのこだわりが最新型でも活きています。
ブレーキキャリパーも、WRXファンにはなじみのあるブレンボ。シックなブラック塗装が大人の雰囲気を醸し出しています。

途中から2本にわかれるツインスポークデザインが特徴のBBSホイール。

WRX STI(4ドアセダン)伝統のエアロパーツが巨大なリアスポイラーです。最新型にも採用されていますが、STI Type Sに標準、STIにメーカー装着オプションとなっています。
モータースポーツユースを想定し、社外のリアスポイラーを装着する人を考慮したのでしょうか?

トランク両端からボディ外側に向かって伸びるウイングステーを持つ。ダウンフォースを発生し、車体を安定させる

WRX S4

環境性能に優れるハイパワーエンジン“DIT”(直噴ターボ)と2ペダルのスポーツリニアトロニックに加え、WRXシリーズ初となるアイサイトver.3(運転支援システム)を採用。
誰もが安全にWRXのパフォーマンスを引き出せることを目指した注目のニューモデルです。
2.0GT-S Eye Sightと2.0GT Eye Sightの2グレードがあります。

ホイールがシルバー風(ハイラスター塗装)になっているのが2.0GT-S Eye Sight。2.0GT Eye Sightはダークガンメタリック塗装
トランクリップスポイラーを選べるのがWRX STIとの大きな違い。ジェントル派ならこちらをチョイス

S4に搭載されるエンジンは、WRX STIとは異なる2.0リッターDOHC直噴ターボ“DIT”。300ps/40.8kgf・mのパフォーマンスを発揮しながらも、13.2km/l(JC08モード)の燃費を誇ります。

なんと全車エコカー減税対象(自動車取得税60%軽減、重量税50%軽減)。300psのパワーで13.2km/lも走り、しかも減税を受けられるクルマなんて……素晴らしすぎます。

WRX STIと遜色ないパワーと、低燃費を実現したDITエンジン。レガシィにはすでに搭載されている

スポーツリニアトロニックは、WRX S4に合わせた専用設計。スバルお得意のSI-DRIVEとの併用で、8速クロスレシオのステップ変速が楽しめます。
あくまで想像ですが、8速マニュアルのようなダイレクトな加速を味わえるのは間違いないでしょう。
ちなみにパーキングブレーキはスイッチを押す電動式で、パーキングブレーキのレバーは姿を消しました。時代を感じさせる変更です。

上り坂で停止した場合は自動的にパーキングブレーキが作動する機能も付いている

WRXシリーズ初採用のアイサイト(ver.3)。先行車に追従するクルーズコントロールや、車線からのはみ出しを抑制するアクティブレーンキープなど、ドライバーの疲労を軽減してくれる機能がいっぱい。ver.3から先行車のブレーキランプ点灯が認識できたり、カメラの望遠&広角化が進んだりと、しっかり進化しています。

WRX STIに装備されるのも、そう遠くないかもしれませんね。

スバル車の中での装着率が8割を超えるアイサイト。一度使ったら手放せなくなるほどの便利さ

旧型からのコアユーザーはもちろん、新しいファンも獲得しそうな新型WRXシリーズ。WRX STIとWRX S4、2台合わせて650台という月間販売計画が控えめに感じるほどの完成度です。
モータースポーツフィールドやカスタマイズの世界でも大活躍しそうですね。

(奥野大志/ノオト)

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[ガズー編集部]

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