ミステリー坂とは? こんな目の錯覚に注意!

こちらの写真。手前は下り坂に見えますか? 上り坂に見えますか? 正解は、手前も奥も上り坂です。今回は、運転中の、目の錯覚がもたらす不思議な現象について紹介します。

下り坂なのにスピードが上がらない!? ミステリー坂

​​下り坂なのに、気付いたらスピードが落ちていた、というような不思議な現象。坂道を正面から見たときに、下り坂が上り坂に見えたり、上り坂が下り坂に見えたりすることを、「ミステリー坂」や「ゆうれい坂」などと呼ばれています。上り坂の錯覚を例に取ると、走っている上り坂の先に緩やかな上り坂が続く場合、その緩やかな上り坂が目の錯覚で下り坂に見えてしまうのです。

記事冒頭の写真は、香川県高松市の屋島ドライブウェイにあるミステリー坂です。屋島ドライブウェイの加地さんによると、「ミステリー坂は、料金所から約1.6キロの地点にあります。“ミステリーゾーン”という標識を目印にしてください」とのこと。

このほか、青森県三戸郡階上町の「後戻り坂」、岩手県花巻市東和町の「ミステリー坂」、福岡県遠賀郡岡垣町の「ゆうれい坂」、鹿児島県熊毛郡中種子町の「ミステリー坂」、沖縄県島尻郡久米島町の「おばけ坂」など、全国各地にも同じような坂があります。運転する際はくれぐれも慌てずに気をつけてください。

危ないと思いながら近づいてしまう!? 視覚吸引作用

前を走るトラックに近づきすぎて危ないと思いながら、ますます近づいてしまったということはありませんか? 人間の視覚は意識と深く結びついているため、興味を惹かれるものや、危険を感じるものに視線が集中してしまいます。集中して凝視すると、身体の向きが見ている方向に回転。つまり、まっすぐハンドルを持っているつもりでも、わずかに身体が回転し、凝視している方向にハンドルが切られるのです。これを視覚吸引作用といいます。

ある対象のみに視線が釘付けになると、周囲が見えなくなってしまい、大変危険です。特に初心者は、危ないと思いながらもハンドルが切れず、パニックになり急ブレーキを踏んで追突事故を誘発したり、スリップ事故を起こしたりする場合があります。危険を感じるものを見つけたときこそ、意識的に周囲に視線を配るようにしましょう。

目の錯覚は誰にでも起こりうることなので防ぐことは難しいですが、知識として頭に入れておき、落ち着いて運転できるようにしましょう。

(平野友紀子+ノオト)

[ガズー編集部]