日本で1人!? 渋滞予報士の仕事とは
クルマに関する仕事が多々ある中で、気になるのが「渋滞予報士」という職業。しかも、日本に1人しかいないというウワサ……。一体どんな仕事をしているのか、渋滞予報士の加藤寛道(かとうひろみち)さんを取材しました。
渋滞予報士とは?
渋滞予報士といっても、天気予報士のような資格制度がある訳ではありません。東日本高速道路株式会社(NEXCO東日本)社内での呼称で、2007年から呼ばれるようになりました。加藤さんはNEXCO東日本関東支社に所属する、いわば普通の会社員。2014年4月から渋滞予報士として活躍しています。
――仕事内容を教えてください。
「渋滞の予測や、渋滞対策の立案・検証が主な仕事です。加えて、渋滞を減らすための広報も行っています。毎日の渋滞予測はNEXCO東日本のサイト『どらトラ(ドライブトラフィック)』や日本道路交通情報センター(JARTIC)のサイト『道路交通情報Now!!』に掲載されています。また、ゴールデンウィークやお盆、年末年始などの交通混雑期の前は『渋滞予報ガイド』という冊子を作成し、休憩施設などで配布しています。また、渋滞の原因を分析し、対策・効果検証を行うことも大事な業務。渋滞の原因となる箇所で車線を増やす、速度が低下しないようにペースメーカーとなるLEDをつける、速度回復を促す情報板を設置するなど対策を行っています。わたしの立てた渋滞予測を活用してもらい、渋滞を避けて頂くことも渋滞対策のひとつですね」
【渋滞予測掲載サイト】
どらトラ(ドライブトラフィック)
http://www.drivetraffic.jp/map.html
道路交通情報Now!!
http://www.jartic.or.jp/infonow.html
「渋滞予測は、天気予報と違って、100%当てればいいというものではないと思っています。渋滞の予測が当たってしまうということは、実際に渋滞が発生してしまったということですからね。渋滞予測を伝えることで、渋滞を避けてもらい、渋滞を減らすために行っているんです」
――渋滞はどうやって予測するのでしょう?
「まずは過去の実績を調べ、分析します。そのデータを基に、休日の連続性やイベントの開催日など今年の状況を踏まえて補正し、『いつ』『どこで』『どれくらいの長さ』渋滞するかを予測します。路線と時期によっては、潮干狩り等の行楽が渋滞規模に影響することから、潮の満ち引きなども考慮し予測しています」
――渋滞予報士になったきっかけは?
「学生時代、都市間交通について研究していたこともあり、将来は交通に関する仕事をしたいと思っていました。NEXCO東日本は管理する路線の特色が多様で、都市道もあれば、地方のライフラインになっている道路もあります。交通という仕事を通じ、社会とさまざまな関わり方ができる会社に魅力を感じ、NEXCO東日本に入社。人事異動により、渋滞予報士となりました。多少意識はしていましたが、まさか自分が『渋滞予報士』になるとは思っていませんでした」
- 愛車は日産のエクストレイル。「昔のパジェロのような角張ったクルマが好き」と加藤さん。
――渋滞予報士なら、プライベートで渋滞にはまったことはありませんよね?
「いえ、あります(笑)。むしろ、実際に渋滞を走り、どこで渋滞が発生しているのか、どこから速度回復をしているのかなど、データには表れない箇所をチェックしています。去年のお盆休みは、関越道と東北道の渋滞箇所に行ってきました。また、なるべく知らない道路を少なくするために、プライベートでもよく高速を利用しています。最近走っていない道路を選んでから、その周辺にある目的地を探してドライブする、というパターンが多いですね」
――渋滞を避けるコツを教えてください。
「一般的には、平日・休日ともに、下りは午前中、上りは午後に渋滞が発生することが多いです。なるべくその時間帯を避けるようにしましょう。ただしこの通りでない日もあるので、事前に渋滞予測をご確認ください」
今年のお盆の予測が発表されるのは、7月中旬頃の予定。加藤さんが発表する渋滞予測を参考に、夏休みの旅行計画を立ててみては?
(平野友紀子+ノオト)
取材協力
[ガズー編集部]
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