違反者は告発!? 高速道路を守る「車限隊」とは?

高速道路はどんなクルマでも通行できるわけではないのを知っていますか? 今年の6月には、悪質な法令違反者が告発されたというケースも……。そこで今回は、東日本高速道路株式会社(NEXCO東日本)関東支社の広報課に法令違反車両の実態について話を伺いました。

――高速道路を通行できるクルマに関する法令があるそうですが、どのような内容ですか?

「『車両制限令』といいます。道路は一定の構造基準でつくられているため、どんな車両でも自由に通行できるわけではありません。道路構造物を守り、交通の危険を防止するため、自由に道路を通行できる車両の規格(幅・長さ・高さ・重さ等)の最高限度値(一般的制限値)が道路法の政令『車両制限令』により定められています。制限値を超えた車両で道路を走行する場合は、事前に特殊車両通行許可申請を行い、許可を得なければなりません。車両によっては許可が下りない場合もあります。高速道路の場合は、各IC入口には必ず各制限値が記載された看板が設置されているんですよ」

各制限値が記載された看板

――え! いままで気付きませんでした! 違反していることに気付かずに通行してしまうクルマもありそうですが……。??

「そのような法令違反車両から高速道路を守るために、『車両制限令等違反車両等取締隊』、通称『車限隊』がいます。主に車両制限令違反車両と荷崩れ、積荷を落下させる恐れがある積載不適当車両や危険物積載車両に対して、昼夜問わず、取り締まりを行っています」

違反の疑いのあるクルマに対して、車両総重量・寸法の計測、特殊車両通行許可証の携行状況と内容確認を行う

――違反車両はどれくらいいるのでしょうか?

「2014年度にNEXCO東日本管内の取り締まりで検問した約13,000台のうち、車両制限令違反で措置命令されたのは約1,800台に上りました。取り締まりは主に料金所入口付近で行っていて、料金所近くで監視している隊員が車両制限令違反の疑いのある車両を見分けます。トラック等の貨物部分のタイヤの沈み加減や他車との走行スピードの違い、さらには近づいてくる際のエンジン音の違いによって、瞬時に分かるそうですよ」

――さすがプロですね。もし違反をしたらどうなるのですか?

「違反を確認した場合は措置命令(行政処分)を違反車両の運転手に命じます。措置命令の場合は、次のICでの流出を命じるなど、高速道路から退出してもらいます。悪質な違反の場合は、車両を安全な場所に留め置き、積荷を軽減させる措置を命じる場合もあります」

積載不適当車両への計測

――悪質な違反というと?

「国土交通省は今年、車両総重量が車両制限令の一般的制限値よりも2倍以上超過している悪質違反者については、即時告発を行う実施方針を打ち出しました。この方針に基づき、NEXCO東日本では、一般的制限値25トンに対して約82トンで大型トレーラーを通行させていた運送事業者と運転手に対し今年6月に、全国で初めて道路法違反で告発を行いました」

ドライバーの安全と道路を守るため、“違反車両ゼロ”を目指して日々取り締まり業務を行っている車限隊。取り締まりへの協力を求められたら、速やかに応じましょう。

(平野友紀子+ノオト)

[ガズー編集部]

取材協力