車内にシンクや電源が!? 移動販売車のヒミツ

イベントなどでよく見かける移動販売車。「ケータリングカー」なんて呼び方をすることもありますね。

車内で調理ができたり、カウンターがついていたりと、通常のクルマとは違う部分がありますが、どうやって作られているのでしょうか? 今回は移動販売車の製作、運営を行っているワーゲンビレッジさんにお話を伺ってきました!

必要な装備が決まっている

――移動販売車はどうやってできあがるのでしょうか?

「まず、ベースとなるクルマを用意します。クルマの手配から担当することももちろん可能ですし、車種によっては今お乗りのクルマをベースに製作することもできますよ!」

――車種によっては……ということは、移動販売車にできるクルマにはなにかルールがあるのでしょうか?

「はい。まず、クルマで飲食物を販売するには“営業許可”を地域の保健所に申請して取得しなければなりません。そのために必要な装備があり、その装備を搭載できる車種ということになります。今回は、車内で調理も行う“調理営業”に使用するクルマについてご説明します」(ワーゲンビレッジ担当者・以下同)

「まず必要なのは、手洗いや調理などに使用するシンクです。シンクの必要数は申請する自治体によって違いますが、だいたい2~3個が必要となります」

「次に給水用と排水用の2種類のタンクが必要となります。これは飲食物に使うものではなく、手洗いや食器などの洗浄に用いるもので、容量的には200リットルほどですね。こちらも自治体によって容量に違いがあります。ほかには食品を保管する冷蔵庫なども必要です」

「また、運転席の後ろには仕切りが必要となります。運転席と、販売・調理するスペースをはっきり分けるためです」

特に衛生面に関わるものの装備が必須となってくるようですね。※申請のルールは地域によって異なります。

移動販売車にあると便利な装備!

車内での調理や食品の保存、照明などのために必要な電気。今回撮影したクルマには、リアバンパーにコンセントの差込口が!

商品の販売時に使用するカウンターも。こちらは、調理営業の申請に必要な給水排水タンクが入っている部分が車内からせり出し、カウンターにもなるという便利な装備。限られた車内スペースを有効活用するナイスアイデアですね!

普段も使える移動販売車!?

移動販売車と聞くとワンボックスの商用車がベースと思いがちですが、なんと今回取材したクルマはルノー・カングーというフランスのコンパクトカー。普段は乗用車として使用し、週末やイベントの時だけ移動販売車になるという副業的なスタイルのユーザーをターゲットにしているんだそう。

そのため、折り畳み式のリアシートもそのまま残っており、シンクなども簡単に脱着できるようになっています。これなら家族全員が乗れないなんてこともないので、普段乗りのためにもう1台クルマを用意しなきゃ……なんてことにならないのもうれしいですね! なお、移動販売車への改造は45万円~(車両別)だそう。

街で移動販売車を見かけたら、「このクルマにはどんな機能がついているのかな」なんて気にしてみるとおもしろいかもしれません。

(小鮒康一+ノオト)

[ガズー編集部]

車両協力