実はこんなところにも!? 知られざる高速道路の渋滞対策

行楽シーズンや連休のお出かけは高速道路の渋滞が気になるところ。少しでも渋滞を緩和するために、さまざまな対策が行われています。そこで、高速道路の渋滞対策について、東日本高速道路株式会社(NEXCO東日本)関東支社に話を伺いました。

――そもそも渋滞はなぜ起こるのですか?

「渋滞とは、時速40km以下で低速走行、あるいは停止、発進を繰り返す車列が1km以上かつ15分以上継続した状態のことを言います。渋滞の原因の約8割が交通集中。そのうち、上り坂もしくは下り坂から上り坂に変化するサグ部での渋滞が約63%、ジャンクションやインターチェンジ合流などアクセス部での渋滞が約19%です(いずれのデータも2014年NEXCO東日本関東支社管内)」

――合流部よりも、上り坂やサグ部での渋滞が多いとは意外ですね。

「上り坂やサグ部では、ドライバーの方が気付かないうちに速度が低下し、後続のクルマが連鎖的にブレーキを踏み、渋滞が発生します。そのため、上り坂やサグ部には速度回復情報板を設置し、『この先上り坂、速度低下に注意』といった渋滞予防の文言や、『この先渋滞終了、速度回復願います』といった早期解消のための情報を提供しています。交通混雑期にはLED標識車なども出動します」

速度回復情報板。渋滞発生前は、「この先上り坂」「速度低下に注意」の呼びかけを行う
LED標識の渋滞情報提供車。渋滞情報の提供や事故防止のための注意喚起を行う

――この他にも渋滞対策を行っていますか?

「同じく速度低下を防止する対策のひとつに、トンネル内に設置しているペースメーカーライトがあります。東京湾アクアラインの上り線(川崎方面)渋滞ボトルネックである川崎浮島ジャンクション付近のトンネル出口約2km間に設置しています。渋滞発生箇所である上り坂付近において、混雑が予測される時間帯に青色のLEDライトの光が進行方向に進むように点滅させます。ドライバーの方が青色の光が流れているのを見て、自分のクルマの速度低下を意識し、速度を回復してもらうのが狙いです。これにより渋滞の発生を予防するとともに、渋滞が発生してしまった場合でも光の流れる速度を切り替えることで、早期に渋滞を解消させることが可能です。

東京湾アクアラインに設置されたペースメーカーライト

――今度東京湾アクアラインを通ったら、見てみます!

「その他、交通容量(道路が通すことができるクルマの台数)を拡大するために合流車線の延伸や付加車線の設置をしたり、交通需要を分散させるために複数ルートのご案内(例えば、関越道と東北道の2ルート)を行っています。他にもNEXCO東日本のウェブサイト『ドラとら(https://www.drivetraffic.jp/map.html)』やJARTICのウェブサイト『道路情報Now!!(http://www.jartic.or.jp/infonow.html)』上で渋滞予測情報を提供したり、さまざまな対策を行っています。
実は多くの場合、サグ部の渋滞は追越車線から発生します。車両の密度が高くなると、少しでも先に行こうと追越車線に偏ってしまいます。このような状況下で1台が速度低下してしまうと、次々と後続のクルマも速度低下し、渋滞が発生するのです。混みはじめの時こそ走行車線を利用してくださいね」

ドライバー1人ひとりの行動が渋滞に繋がるのですね。心と時間にゆとりを持って安全運転、キープレフトを心掛けましょう。

(平野友紀子+ノオト)

[ガズー編集部]

取材協力