高速道路トンネルの非常口はどこにつながっているの?

この長いトンネルのような空間、どこか分かりますか? 実は群馬県利根郡と新潟県南魚沼郡の県境にある関越トンネルの緊急避難路なんです。上り線と下り線の間に(真ん中)にトンネルがもう1本あり、そこが緊急避難路となっています。関越トンネルは10キロにも及ぶため、人だけでなくクルマも緊急避難路に退避することができるようになっています。

このように高速道路のトンネルはトンネル外に避難できるよう、さまざまな工夫がされています。そこで、東日本高速道路株式会社(NEXCO東日本)関東支社にトンネルの非常口について、話を伺いました。

――トンネルの非常口はどこにつながっているのですか?

「避難坑や反対車線のトンネルにつながっています。トンネル内で事故などが発生した場合、安全にトンネル内から外部へ避難するために利用します」

トンネル避難坑の坑口

――すべてのトンネルに非常口があるのですか?

「いいえ、そうではありません。トンネルの非常口は、トンネルの長さと交通方式(対面交通、上下線分離交通)によって、設置する基準を決めています。そのため、短いトンネルには非常口はありません。関越道の関越トンネルやアクアラインの東京湾アクアライントンネルなどの長大なトンネルには非常口を設けています」

――アクアラインは海底トンネルですよね? 非常口はどのようになっているのでしょう?

「非常口は、車道の下にある緊急避難路につながっています。避難時に押し倒れにならないよう、また足の不自由な方や小さなお子さんからお年寄りまで安全に避難できるよう、階段ではなく滑り台になっています。滑り台の数は上りに33基、下りに33基の合計66基。片側約300mごとに設置しているんですよ」

トンネルの下側に設けられた緊急避難路
緊急避難路へのすべり台。スピードが速くなりすぎないよう角度が工夫されているそう

「車道部で車両火災が発生した場合、緊急避難路には煙が流れないように気圧を高くしています。緊急避難路の高さと幅に合わせた専用の消防車や救急車があり、有事の際にはこの避難路を走行し消火活動などが行えるようしています。平常時は保守点検などを実施するため管理用車両も通行しています」

消防隊進入用の登り口と消火消化設備。消防士がここを登って車道の火災現場に向かう

――他にどんな非常口がありますか?

「青梅トンネルは上下が分かれた2階建て構造になっています。地下23m、ビルでいうと地下5階分です。上り線が地上の方に近く、下り線の方が下です。有事の際は、トンネルから非常階段を上がって地上に出ます。下にある下り線からは、階段を154段上り、扉を開けると地上にある公園に出ます。ちなみに、青梅トンネルやアクアラインなどは、トンネル内の非常口の扉が開くと、即座に道路管制センターでどこの非常口が開いたか通知が行き、把握できるようになっているんですよ」

非常口の扉は、以前紹介した道路管制センターの施設制御室で管理されているんですね!

こうしてトンネル内の安全が守られているんですね。これからも安心して高速道路を走行することができそうです。

(平野友紀子+ノオト)

[ガズー編集部]

取材協力