【体験レポ】電気自動車で行く! 長距離ドライブ

​電気自動車のイメージというと「静か」や「エコ」だったり「モーター特有の加速感」などの意見があると思います。その一方で「充電が煩わしい」とか「長距離は走れない」というイメージがあるのもまた事実ですよね。そこで今回、電気自動車の日産・e-NV200をお借りして大阪まで行ってみようという無謀な計画を立ち上げてしまったのです。

日産・e-NV200
http://www.nissan.co.jp/ENV200/

本来は近距離の輸送や仕事が想定される使い方

ガソリンモデルとは違う顔が与えられたe-NV200

今回お借りしたe-NV200は、5人乗りのバンGXというグレードになります。バンというグレードから分かるように、1ナンバーの商用車。空気抵抗が大きい箱型ボディですが、搭載されるモーターやバッテリーは同車の電気自動車リーフと同じ物を使用しているため、満充電での航続距離はリーフの228kmに対して188km(共にカタログ値)と40kmほど減少してしまっています。ただ、これは小口配送などのワンボックスバンとして主の使い方であれば十分対応できる距離。今回のような長距離移動はメーカーにとっても想定外のようです(笑)。

実際に走れる距離はどのくらい?

カタログに記載されている燃費の値を実際にたたき出すのが難しいのは電気自動車も同じこと。一般的にはカタログ値の7掛けくらいが実際の値と言われています。また、電気自動車を急速充電した場合はおよそ80%までの充電となるため、カタログ値(188km)×0.7×0.8で105km前後がおおよその航続距離となります。

急速充電は、空の状態から30分で約80%まで充電されます

で、実際はどうだったのかというと、やはり80%の電池残量で走れる距離は100km前後という結果になりました。机上の空論かと思いきやなかなかいい線を行っていたのですね~。

大阪往復は1100km!

そんなe-NV200で向かう先、大阪は片道およそ550km、往復で1100kmということで、単純計算だと11回の充電が必要となります。1回の充電が30分なので5時間半を充電のために費やす計算になりますが、道中のトイレ休憩や食事休憩と充電をうまく組み合わせれば、実質のロスはもう少し少なくなるハズ……。果たしてどうなるか!?

往復24時間超、充電回数は18回という結果に

ということで、実際に走ってみた結果は、往復で24時間超(ただし、工事渋滞回避で遠回り含む)。充電回数は18回という結果になりました。なぜ、充電回数が当初の予定から増えてしまったかというと、充電施設が100kmごとにあるわけではなかった​ためです。

まあ、当然といえば当然なのですが“次の充電施設に寄るにはまだ余裕があるけれど、その次までいくのは心もとない”​という状況があり、電欠の心配から両方に立ち寄ることになるケースがあったため、必然的に充電回数が増えてしまいました。

電気自動車で長距離移動をしてわかったこと

果たして、電気自動車で長距離移動をすることは無謀なことなのか? ということですが、もしその移動が時間に追われるものであれば、決してオススメできるものではありません。もちろんそんなことはメーカー側も重々承知しており、日産ゼロ・エミッションサポートプログラム(ZESP)という多くの急速充電スポットを無料で利用できるカードの会員になることで、提携のレンタカーを最大70%オフで借りることができるようになっているのです。つまり、長距離移動をする場合はレンタカーを使ってくださいね、ということなんですね。

逆に、のんびりいろいろな場所を巡りながら旅をしたいという方には、電気自動車での長距離移動は非常にいいものになると思います。ある程度走行したら充電のために停車しなければなりませんが、裏を返せば適度な休憩を定期的に取れるということ。事実、今回の旅では長時間のクルマ移動にも関わらず腰痛とは無縁のドライブとなりました。これは元々のシートの出来がいいという事もありますが、充電のための休憩もよい方向に作用したのではないかと思うのです。

また今回の充電は、前述の日産ゼロ・エミッションサポートプログラムの会員カード(月額3000円)で充電できる設備(およそ全国に4200箇所以上)しか利用しなかったため、直接的な燃料代はゼロ。当然エンジンが搭載されていないので定期的なエンジンオイルの交換も必要がありませんから、距離をたくさん走っても経済的な負担はかなりミニマムなのです。 ​

電気自動車は新たなジャンルの乗り物のため、いろいろ不安は多いと思いますが、もし少しでも興味をお持ちであれば近くのディーラーに駆け込んで試乗をしてみてはいかがでしょうか? 少なくとも電気自動車は退屈な乗り物ではありませんよ!

(小鮒康一+ノオト)

[ガズー編集部]