ここが知りたい! 自衛隊の特殊車両 —炊事とお風呂編—
災害派遣などで活躍している自衛隊の車両。その中に生活支援を行っている車両があります。それらが提供しているのは、日本人にとって欠かせない「お米」と「お風呂」。もちろん隊員だって例外ではありません。
今回は、自衛隊の車両のうち、生活に欠かせない炊事と入浴をサポートする車両についてご紹介します。
野外炊事システムと浄水車
炊き出しで活躍しているのは、炊事システムが搭載された「野外炊具」という装備品です。タイヤがついていますが運転席はなく、大型トラックでけん引されて移動します。本来は野戦用のシステムですが、災害派遣でもその能力を発揮している大容量の移動式キッチンなのです。搭載されている釜は6つで、一度に600人分の炊飯ができます。移動中にも調理作業ができるんですよ。
こちらがトラックでけん引中の「野外炊具」。
野外炊具には給水タンクもついていますが、量は限られています。また、現地に水道設備があるとは限りません。炊事に必要な水を自然水や海水から調達するために、「浄水セット」というシステムを搭載した浄水車もあります。こちらで、飲料水から生活水までまかなうことができるのです。
こちらが浄水セット。海水や雨水を浄水に変えることができます。
野外炊具や浄水セットは、陸上自衛隊の駐屯地に所属している部隊の各中隊、後方支援隊の補給隊が保有していて、調理作業は各部隊からの差し出された隊員が臨時勤務として交代で行います。
ちなみに航空自衛隊には自走式の「炊事車」があって、調理専門の「給養」という職種の隊員が任務についているんですよ。
野外入浴システム
世界中の軍事組織の装備品にシャワー設備はあっても、湯船を保有しているのは日本だけです。こちらは「野外入浴システム」といいまして、1日に1200人が入浴できるという優れもの。
ボイラー、発電機、ポンプを搭載したトレーラーを、浴槽やタンク類を積んだトラックでけん引して、現地で天幕(テント)を設置して組み立てるという展開型です。現地の状況に応じて、前述の野外炊具でも使用する浄水車と一緒に利用されることもあります。
陸上自衛隊は、先日ご紹介した大型特殊免許(カタピラ限定)で運転する戦車のほかにも、大型免許やけん引免許が必要な車両がたくさんあるんですよ。
(綾部綾+ノオト)
[ガズー編集部]
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