コンパニオンだけじゃない! クルマと共に羽ばたいた女性たち【東京オートサロン2016】

東京オートサロン2016も大盛況のうちに幕を下ろしました。来場者数も32万人を超えたとのこと。最先端の自動車技術を発表する「モーターショー」よりももっと身近で、手を伸ばすとそこに手の届く「自分だけの世界」「自分で作る価値の喜び」がオートサロンの強みかもしれませんね。

さて、今回はオートサロンでクルマと共に羽ばたいた女性をご紹介しようと思います。オートサロンで女性……というとブースや展示車に華を添えるコンパニオンのみなさんを思い出されるのではないでしょうか。ただ「ここのブースにこんな方がいました」というのはまた別の機会でチェックできるでしょう。「華を添える」だけの存在なのか。そもそもこれに疑問を呈する人もいますが、私はよいと思います。

ちょっと乱暴な言い方かも知れませんが「女性の魅力」があってこそ、今のクルマがあると言っても過言ではないと思っているのです。クルマが産業として発展し、移動手段として進化した経緯には、多くのエンジニアの志がありました。でもそのエピソードにいつも登場するのは、甲斐甲斐しく見守る女性の存在、実家の財産ごと嫁いで自動車産業に乗り出した例など枚挙にいとまがありません。

そしてユーザーとしても、負けない性能を手に入れたい。私だけの美しいボディを与えたい。その突出した孤高の存在感は誰のためだったのでしょう。もちろん、レースであればライバルでしょうが。今も残る歴史的な名車の中には「ある特別な女性のために」作られたクルマは少なくないのです。ですから、クルマの魅力を際立たせるのに、女性が華を添える手法は、昨日今日始めた下世話な男の興味本位の沙汰、では決してなく、ある意味で歴史的に象徴的な組み合わせだということもできるのかもしれません。

ただ、コンパニオンの女性を見た時の魅力については別のコンテンツにお任せするとして、今回の記事では、「クルマと共に羽ばたいた女性」をご紹介したいと思います。

愛車スープラと一緒に登壇したNAOさん

愛車スープラと一緒に登壇したNAOさん

実はオーナーのNAOさんもスープラも以前から存じ上げていました。アップガレージブースで存在感を放っていた、燦然とまばゆいパープルのトヨタ・スープラをご覧になった方も少なくないのではないでしょうか。「応募してみたら選ばれちゃって」と語るNAOさんは愛車に目を移すと目を細めます。積極的にクルマで活動している「クルマ好き女子」の集まり「とんがりガールズ」でも活動しているNAOさん。いつもそのバイタリティーあふれる活躍に感心させられます。

とんがりガールズ
http://tongarigirls.com/

カラーリングはオートサロンでも決して引けを取らない。まさに水を得た魚である。

クルマ自体は以前にも見たことがあります。でも「今回せっかく選ばれたので内装など仕上げることにしました。あとあのリアスポイラーはちょっとこだわりでしょうか。自分でデザインして持ち込んで作ってもらった一品ものです。サイドの流れるような部分がなかなかないと思います」。スープラの話しをするNAOさんの目の輝きと言ったら、話しを伺っているだけでこちらも幸せになるほどです。「せっかくだから」とクルマに手をかけてあげる。これは男女の差はないですね。ほかにない価値。愛車だけのアイデンティティ、そういうものを大切に、という心づくし。とても尊いことではないですか。愛車への想いが、オートサロンの会場で来場者からの脚光を浴びる導きを引き寄せた。そう言ってもよいのではないでしょうか。

逸品もののリアスポイラー。前衛芸術のオブジェのようですらある。

ここまで作り込むと何か独特の世界を感じるほどだ。紫はこの国では古くから高貴な色。いっけんそういう雰囲気とは対極にあるかのようだから不思議だ。

一年前の言霊を実現! 小林美咲さん

もう一人はPIAAブースでフォーミュラマシンの横に立っていた小林美咲さんです。実は彼女は「クラシックカー美女」というコンテンツに登場していたことから、以前より存じ上げていました。モデルとしても少しずつ活躍の場を増やしていた彼女は、当時フェラーリと共に登場していました。

クラシックカー美女 小林美咲さんの回
http://www.classiccar-bijo.com/ferrari-365bb/

そんな彼女、昨年のオートサロンはクラシックカー美女のモデルをしてくれた人たちと一緒に、来場者として「見学」していました。

そのとき「モデルとして、いつかこんなクルマの横で立ってみたい」と話していた彼女が、今年のオートサロンで、実際に企業のロゴの入った衣装を着てステージに立つ。これはちょっとすごいことだと思うのです。

口に出したからかなったのか。そんな「言霊」はあるのだなあ、と思うほどです。何よりそんな憧れを実際に実現させた。これだけで尊敬してしまいます。

オートサロンで羽ばたいた女性。こんなエピソードたちは、とくに紹介されているわけではありません。女性がいると「クルマが見えないよ」という意見もありますし、そう思うこともありました。でも今回、隠れていたエピソードに気づいたからこそ、 “ここが彼女たちの晴れ舞台”と思うと、少し見方も変わりますね。パーソナルな移動手段「自動車」は、思いを乗せて憧れの彼方へ。そのことを少し忘れていたようだと反省してしまいました。

(中込健太郎+ノオト)

[ガズー編集部]