20代が主催のクルマイベント! ゆーるピアンミーティング

ヨーロピアンならぬ、「ゆーるピアンミーティング」。なんとものんびりしたネーミングのクルマミーティングが開催されているのをご存知ですか。その「ゆーるピアンミーティング#4(第4回)」が、2016年2月14日(日)に横浜港シンボルタワーで開催されました。

「ゆるく」クルマを楽しもう、というこのミーティング最大の特徴は、参加車両に対する国籍、年式、排気量などの制限が一切ないことです。しかも参加車は「ゆるい」イベントというイメージからは想像以上にコア。「シトロエン・CX」「シトロエン・GS」「アルファロメオ・アルファスッド」「アルピーヌ・A110」や「フォード・クラウンビクトリア ニューヨークパトカー仕様(本物!)」といったレアなクルマや、フランス車イベントでも滅多にお目にかかれない「プジョー・404」などのコアなクルマまでもがさらっとやってくるのですからたまりません!

名車アルピーヌ・A110がさらっと2台もやってきた!
プジョー・404、405,406の3世代並び。フランス車の祭典フレンチブルーミーティングでも見られない光景に会場は盛り上がった。406自体も左ハンドルのマニュアル車というレア仕様

ヨーロッパをなんとなく連想させるゆーるピアンというミーティング名からも参加者の比率は欧州車が多いのですが、実際には「いすず・ピアッツァ」や懐かしいリトラクタブルヘッドライト世代の「ホンダ・アコード」など1980年代の国産車も目立っていました。また、ミーティング時間中は特に何かイベントがあるわけでもないので、途中参加・離脱も自由自在。その参加への心理的ハードルの低さも有り難かったりします。
とにかくこのミーティングの良さは、「ゆるさ」。そんな肩肘張らないゆるいミーティングなのに、集まるクルマはレア&コア。このギャップって実はなかなか珍しいのではないでしょうか。

ゆーるピアンミーティングには国産車もいっぱい来場。とくにこうした80年代のヤングタイマー車は大注目。当時を知る年齢層も、若者にもこの頃のクルマの魅力は同じように伝わるのだ。しかもオーナーは大学生!

そしてこのミーティングに来ていちばん感動するのが、参加者が若いということ! クルマのイベントに多数参加・取材している筆者から見ても、ゆーるピアンミーティングは他のイベントと比べて明らかに20代〜30代前半の若者が多いと感じます。
というのも、ゆーるピアンミーティングを主催しているメンバー自身も、20代(しかも20台前半!)の若者たちなのです。このミーティング自体も、SNSやツイッター上で展開されたクルマ好きな若者たちのやりとりから生まれたもの。そして、実践派の若きエンスージアスト達は、実際にイベントを立ち上げてこうして回数を重ねています。その実行力って凄いことですよね。

左のキャラバンもオーナーは20代。友達を満載して会場にやってきて、とても楽しそうだった。クルマを楽しむのに年齢は関係ないのだ

世間の風潮や一部報道では「若者のクルマ離れが……」と云われることが多いですが、こうして集まる若いオーナーたちの情熱は、今この記事を書いている45歳のぼくの20〜25年前のクルマ好きの友人たちと一切変わりません。たしかに、なんとなくみんながクルマに興味があった、高額商品だけどクルマを所有することが「あたりまえ」だった、クルマの諸経費は必要上仕方ないものだった、という時代ではなくなってしまいました。スマートフォンやタブレットを同時所有すれば、その通信費などは月額の駐車場代やクルマのローン代に相当するかもしれません。となると、20代の若者がクルマを持つことは経済的に難しいともいえます。

だけど、ネットで様々な情報を手に入れ、ガジェットと呼ばれるグッズやアイテムに興味があり使いこなせる世代でもある彼らは、「面白いもの」「かっこいいもの」に対する目も肥えています。ですから、彼らが生まれた頃のクルマ、もしくはその前のクルマが持つ楽しさやかっこよさに、彼らは実際にはとってもビビットに反応するのです。

ただネット時代の弊害として、情報は検索で自分が必要な情報だけを自分で取りに行くようになってしまったため、雑誌や新聞、テレビのように「眺めていたら偶然目にとまったんだけど、なんだ! このクルマ、かっこいい!」といった感じで“偶然商品を知る”という機会は大幅に減っています。つまり若者の多くは、世にたくさん面白いクルマがあることを知らないで過ごしているのではないか。
でもクルマの面白さを知り、気に入ったクルマを見つけ、それが欲しくなったら、がんばって買って、維持する。それは、どんな時代でも同じなのです。若いクルマ好きも、そうなのです。だから若者のクルマ離れという言葉に、ぼくは違和感を感じてしまうのです。

ゆーるピアンミーティングの実行メンバー。ごらんのようにみな若い。しかも、みな、知識も豊富な若きエンスージアスト(熱狂的な支持者)たちだ
マセラティ・ギブリ。しかもマニュアル車。オトナのエンスーでさえ購入をためらう獰猛なクルマだが、乗っているオーナーはなんと20代。最初のクルマにアルファロメオ・スパイダーを選んだという強者だ。将来有望
実行メンバーのクルマたち。これみんな、オーナーは20代前半。日産・R32型スカイラインはシングルカムエンジン+マニュアルという、マニアがうなる渋い仕様。この車種選びを見ただけでも、実行メンバーたちも国籍や年式にとらわれていないことがわかる

ミーティング実行メンバーの持つクルマは、ベテランクルマファンもうなる車種ばかり。しかもその知識も相当なものです。みな、心からクルマを愛しているのです。彼らはその一癖あるクルマたちを使って、たくさんの友達に「クルマっていいものだよ!」って広める活動もしていると聞きます。そして、彼らは実際にクルマ好きを増やしているのです。

極端な言い方かもしれませんが、クルマを趣味とする人々の未来に「あるぼんやりとした不安」を持っていたぼくは、彼らに希望の光を見たような気もしました。逆に、未来を憂えず今を楽しむだけのクルマの遊び方では、クルマ好きは狭い趣味の良識にどんどん押し込まれて行ってしまうのでは?ぼくたちクルマを存分に楽しんで来た世代こそ、彼らにクルマの楽しさを教えるべきなのだ、とも痛感しました。

ゆーるピアンミーティングの今後の発展と、若者のクルマ好きが増えることを期待しましょう!
次回開催の日程は未定とのことですが、ご興味のある方はぜひご参加を検討してみてはいかがでしょうか。

ワンちゃんも一緒に楽しめる!
こんなクルマまで来場!本物のニューヨーク市警のパトカー(フォード・クラウンビクトリア)!バックの景色も含め、もはやアメリカにしか見えない

(遠藤イヅル+ノオト)

[ガズー編集部]

MORIZO on the Road