実はエコ!? 冬の高速道路に撒かれる白い粉

冬になると、高速道路に白い粉が撒かれているのを見かけたことはありますか? 実は環境にやさしいという白い粉。その正体について、東日本高速道路株式会社(NEXCO東日本)関東支社に話を伺いました。

――高速道路に撒かれている白い粉は何ですか?

「『凍結防止剤』の塩化ナトリウムです。高速道路では雪が路面に積もると除雪を行うほかに、路面が凍結するのを防ぐために凍結防止剤を撒いています。1990年にスパイクタイヤの使用が禁止されてから、降雪地・寒冷地では、機械による除雪やロードヒーティング(降雪地・寒冷地の一部に設置)による消雪のほか、凍結防止剤の散布による凍結防止も、路面凍結によるスリップ事故などを防ぐために欠かせないものとなっています」

――なぜ塩を撒くと道路は凍結しないのですか?

「凍結防止剤として塩を撒くのは、水の氷点(物が凍る温度)を下げて、路面に残った雪や水分が凍りつくのを防ぐためです。小学校の理科で『試験管を入れた真水は0度で凍るのに、食塩を入れたら0度では凍らない』という実験があったことを覚えていますか? 同じ原理を利用しています」

――雪がない日も撒かれているのはなぜですか? 

「雪氷対策作業は、路面に積もった雪を排除する『除雪作業』のほか、 路面の温度が低下し凍結の恐れがある場合に行なう『凍結防止の散布作業』、路肩に排除した雪や中央分離帯、トンネル坑口に堆積した雪の搬出作業など降雪時以外に実施する作業もあります。 いずれも低速での作業や車線規制、場合によっては通行止めによる作業もあります。ご迷惑をおかけしますが、走行の安全を確保するためにも必要な作業なので、ご協力をお願いします」

――凍結防止剤を撒く判断基準を教えてください

「高速道路の除雪や凍結防止剤の散布は、気象予測と道路巡回による現場確認に基づいて作業の実施を判断します。気象予測では、気温や降水確率、降水量のほかに一般的には耳慣れない『路温』と呼ばれる道路(路面)の温度予測なども使って安全かつ効率的な作業を行っています」

――凍結防止剤に使用している塩はどんな塩ですか?

「NEXCO東日本では、一部資源再利用の観点から凍結防止剤に『副生塩』を使用しています。副生塩とは、リサイクルプラントでゴミを処理する過程で冷却水からできる副産物で、これまでは埋め立て処理されていました。リサイクル業者より『凍結防止剤として利用できないか』と提案があり、性能調査を行い、2008年から使用しています。副産物なので量には限りがありますが、これからも可能な限り使用拡大を目指していきます」

いままでは捨てられていたものを活用していたんですね。なお、凍結防止剤の散布作業に遭遇したら、車間距離を充分にとり、作業車のあとを走行しましょう。

(平野友紀子+ノオト)

[ガズー編集部]

取材協力

MORIZO on the Road