知られざる「海外で走る軽自動車」その2 スズキ・アルト
世界でも有数の自動車生産国である日本。ですが、私たちにとっても親しみの深い身近な存在で、かつ日本を代表する小さなクルマである「軽自動車」という概念は、日本だけのものだってご存知でしたか。世界中にも軽自動車並に小さなクルマはたくさんあるのですが、排気量と車体寸法に上限を設けている“軽自動車”という枠は日本だけのもの、なのです。
でも、その枠があるからこそ、決められた上限があると最良のものを作る私たち日本人の気質も手伝い、いろいろな機能や性能を詰め込んだ箱庭的なクルマとなったのも事実です。
そんな優れた軽自動車ですから、日本だけで売るのはもったいない! ということで、実は案外様々な車種が海外で発売されています。そんな海外で活躍する身近な軽自動車をご紹介していきたいと思い前回からスタートした “知られざる「海外で走る軽自動車」”。第2回は、スズキのアルトをお送りいたします。
アルトはインドの国民車
- 1986年から2014年まで生産されたインドの国民車、2代目マルチ・800。その名の通り、800ccエンジンを搭載するが、外装デザインは550ccだったアルト/フロンテほぼそのままで生産が続けられた
- マルチ・800の後継として2012年に登場したマルチ・アルト800。マルチ800が2014年に生産が終わったあとは、マルチ・スズキのエントリーモデルの任を担う。外観は日本のアルトと異なり、オリジナルとなったが、どことなく日本のアルトの面影を残す
- 日本では1998年〜2004年に発売された5代目アルトをベースにしたマルチ・スズキK10。写真は2010年モデル。2000年からマルチ・スズキで発売されている「マルチ・アルト」を改良したモデルだったが、2014年からはマルチ・800をベースにした新型にスイッチ
アルトの海外版を語るとき、インドの存在を外すことはできません。というのも、アルトはインドのスズキ車生産の一大拠点「マルチ・スズキ・インディア(創立当時はマルチ・ウドヨグ)」の主力車種だからなのです。日本での初代アルト(47万円アルトとして有名)とその5ドアセダン版フロンテは、1983年から早々にインドで800ccのエンジンを搭載して「マルチ・800」という名称で生産を開始していますが、品質の高さと価格の安さにより、インドで爆発的な大ヒットとなりました。
1986年にはアルト/フロンテは日本でフルモデルチェンジを行いましたが、マルチ・800もこのときに新型に移行しています。ですが日本がその後モデルチェンジを繰り返していったのに対し、マルチ・800は2代目アルトの姿のまま、2014年までずっと生産が続きました。
インド以外のアルト
インドで爆発的なヒット作となり2014年にようやく生産が終わった2代目マルチ・800はパキスタンでも「パックスズキ」によってスズキ・メヘランとして製造され、こちらは現在もなお販売が続いています。また優秀な小型車の激戦区・欧州にも、アルト/フロンテは投入されていますが、1993年から2004年までの欧州アルトは、日本のセルボ・モードに1000ccエンジンを搭載したモデルでした。
なお、2009年から2014年まで販売されていた欧州アルトは、インドで生産される「Aスター」(後述)と同型でした。これらはどちらも日本製ではなく、インドから欧州に輸出されていました。なお、Aスターは南米などでは「セレリオ」として販売されました。覚えるのが大変です(涙)。
- 1994年から発売された欧州アルトは、ご覧のように日本のセルボ・モードがベースだった
- マルチ・スズキ Aスター(初代)。欧州向けはアルト、インド本国ではAスター、南米などではセレリオを名乗り、またOEM生産で日産・ピクソとしても販売された。このように初代は仕向地向けに名称が異なっていたが、2014年に2代目になってからは世界共通名称のセレリオに統一された。Aスター、セレリオともに、日本のアルトとは外観もサイズも違い、もはやアルトベースとは呼びにくいクルマである
お隣韓国では、1988年登場の3代目アルトが「デーウ・ティコ」として開発され、韓国、ポーランド、ルーマニアなどで生産が行われていました。このほかコロンビアでは前述のマルチ・アルト(5代目アルトベース)がシボレー・アルトとして発売されるなど、実はまだまだ海外向けアルトは数知れずあるのです!
このように、とってもグローバルな会社、スズキが生み出した日本生まれの軽自動車・アルトは、各国ごとにエンジンや名称、車体デザインを変えて世界中で活躍しています。日本の小さなクルマの素晴らしさとポテンシャルの高さがあってこそ、ですね!
- デーウ・ティコ。3代目アルトの韓国版。韓国だけでなく、旧共産圏でも生産された
- スズキ・メヘラン。パキスタンのパックスズキ社で現在も販売中。マルチ・800のパキスタン版。つまり1986年登場のアルトがベースだ
(遠藤イヅル+ノオト)
[ガズー編集部]
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