知られざる「海外で走る軽自動車」その3 スズキ・ワゴンR

世界でも有数の自動車生産国である日本にはいくつも車種がありますが、なかでも「軽自動車」という規格は日本独自のもの。世界に数ある軽自動車並に小さなクルマと異なり、排気量と車体寸法に上限を設けているのが特徴です。決められた上限があると最良のものを作る私たち日本人の気質も手伝い、いろいろな機能や性能を詰め込んだ箱庭的な設計も、軽自動車の魅力と言えます。

でも、優れた小型車でもある軽自動車を日本だけで売るのはもったいない?ということで、実は様々な車種が海外で発売されています。そんな海外で活躍する身近な軽自動車をご紹介する “知られざる「海外で走る軽自動車」”の第3回は、スズキの屋台骨を支えるベストセラー、みなさんにもなじみ深いワゴンRをお送りいたします。

世界でも通用するワゴンRの革新性

独自のフロントフェイスとリアビューが特徴的なインド仕様の2代目ワゴンR。日本における4代目をベースとする。軽自動車枠は関係ないので、全長も伸ばされ、エンジンも1000ccとなっている
日本にもワゴンRスティングレーが存在するが、インドでもノーマルモデルのフロントを横長グリルでスポーティに装った「スティングレー」が用意される。日本のスティングレーと顔が違うのに注目。エンジンは1000cc

いまやスズキの軽自動車のメイン車種はアルトではなく、1993年に登場し現在5代目となったトールワゴン、「ワゴンR」であることはご存知のとおり。かつて背が高い軽自動車と言えばワンボックスカーしかなかった時代、アルトなどのボンネットつき「セダン」のプラットフォームの上にハイトのあるボディを載せたワゴンRは画期的な車種として人気となり、他のメーカーも(そしてスズキも)ワゴンRのフォロワーを次々と発売。トールワゴンは軽自動車における主流の類型になりました。コンパクトな車体で広い室内を達成するには縦方向に空間を広げるという「簡単だけど誰も思いつかなかったアイデア」を持つワゴンRの利便性は高く、ワゴンRも世界各地で販売を行っています。そして、それぞれの国で受け入れられています。

スズキの海外拠点といえば前回お送りした「アルト」でも触れたように、インドのスズキ車生産の一大拠点「マルチ・スズキ・インディア(創立当時はマルチ・ウドヨグ)」が思い浮かびますが、インドでもその名もズバリ「ワゴンR」という車名で日本の2代目モデルに1100ccエンジンを搭載して2000年から生産・発売を開始、2010年にはフルモデルチェンジしてエンジンを1000ccとした2代目となりました。2013年にはスポーティ仕様ともいえる「スティングレー」も追加されています。なお、インド仕様の現行ワゴンRは日本の4代目にあたります(日本では2016年現在5代目になっています)。

パキスタン、インドネシアでも生産

パキスタンにはスズキの小会社「パックスズキ」がありますが、パックスズキでも「ワゴンR」という名前で、そしてインドネシアではスズキとインドネシアのインドモービル社の合弁企業である「スズキ・インドモービル・モーター」が「カリムン・ワゴンR」としてワゴンRを発売しています。どちらもマルチ・スズキのワゴンRを同じく、日本の4代目をベースに、日本仕様とは異なる外観と1000ccエンジンを与えられたモデルとなっています。

パキスタンのパックスズキで生産されるワゴンR。細かな差異以外、基本的な外観はインド仕様と大きく変わらない
インドネシアのスズキ・インドモービル・モーターのワゴンRは、「カリムン・ワゴンR」として発売される

欧州ではオペル・ブランドでの発売も

オペルのポーランド工場で生産されていた2代目ワゴンRのワイドボディ版にはオペルのブランド名が付与された。アギーラは2006年に2代目にスイッチしたが、2代目はワゴンRではなく日本の「スプラッシュ」となった。
ハンガリーのスズキ現地法人、マジャールスズキではワゴンR+が生産されていた。ぱっと見、日本で売られていたワゴンR+と大きく変わらない

スズキは1981年から2009年までアメリカのBIG3である「ゼネラルモータース(GM)」と業務提携を行い、密接な関係を築いていました。スズキ・カルタスがGMの「GEO(ジオ)」ブランドの「ストーム」として北米で発売されるなど、協力関係によって生まれた車種は数多く存在します。GMにはいくつか傘下の自動車会社がありますが、ドイツのオペルもそのひとつ。オペルのポーランド工場では2代目ワゴンRのワイドボディ版として日本でもおなじみの「ワゴンR+(プラス)」を「オペル・アギーラ」として2000年から2006年まで生産していました。オペルバッヂをつけたワゴンR、なかなかかっこいいですよね。

また、スズキは同じく東欧に「マジャールスズキ」というスズキのハンガリー現地法人を持っていますが、ここでもオペル・アギーラと同じく2代目ワゴンRのワイドボディ版、「ワゴンR+」が、その名もズバリ「ワゴンR+」のネーミングで生産・販売されていました。

日本だけの軽自動車メーカーかと思われがちなスズキは、実はとても大きな世界企業なのです。日本で育まれた小型車、軽自動車が世界の国々を走っているなんて面白いですよね。次回もまた、スズキの軽自動車の世界進出をお送りしたいと思います。お楽しみに!

(遠藤イヅル+ノオト)

[ガズー編集部]

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