縁の下の力持ち! ブレーキ点検の重要性を再確認しよう

ブレーキの点検、していますか!? 1トン前後もある鉄の塊であるクルマを減速、停止させるために文句も言わずに淡々と仕事をこなす縁の下の力持ち的な存在、それがブレーキです。意識せずに使っているブレーキですが、万が一トラブルが発生してしまうとクルマは凶器ともなりかねないため、日常の点検がとても大切です。

今回は国産ブレーキメーカーとして知られる、エンドレスの花里功社長、萩原正志さん、村田信博さんにブレーキの点検についてお話をお伺いしました!

オートサロンにも展示されたエンドレス製ブレーキシステムを装着したヨタハチと花里功社長
ブレーキローターを持つ村田信博さん(左)とブレーキキャリパーを持つ萩原正志さん(右)

今回チェックするのは、ほとんどの車両のブレーキとして採用されているディスクブレーキタイプ。コンパクトカーのリアブレーキなどに採用されているドラムブレーキは、チェックに分解が伴うため今回は省かせていただきます。

ブレーキパッドのチェック

ディスクブレーキの原理は、走行中タイヤと共に回転しているブレーキローターを、ブレーキキャリパーに組み込まれたブレーキパッドで押さえつけて減速するというもの。当然、摩擦が起こりパッドは減っていきますので、残量には気を付けたいところ。

こちらがブレーキパッド。ベースとなる金属のプレートの上に摩材と呼ばれるものを貼りつけたもので、新品時には10mmほどの厚みがあり、徐々に摩耗していきます。使用状況にもよりますが、半分くらい摩耗したら交換の目安。2mm以下であれば直ちに交換が必要なレベルとなります。

パッド残量は目視で確認できます。ホイールのデザインによっては隙間から確認することができる場合もありますが、ホイールを外してみるのが確実です。

ホイールを外した場合は、ブレーキキャリパーの確認窓から残量をチェックするのがベターです。

ブレーキローターのチェック

ブレーキパッドが押し付けられるブレーキローターのチェックも忘れずに! ブレーキパッドほどではありませんが、ローター側も当然摩耗します。車種によって使用限界は異なりますが、およそ1~2mmほど減ると交換時期とのこと。また、ローター表面の歪みや凹凸がひどい場合はブレーキパッドが均一に当たらず、制動力が落ちてしまうため研磨か(摩耗状態にもよります)交換が必要となります。また、ブレーキローターは材質的にサビが出やすいものですが、ブレーキを使用すればパッドが当たる面のサビは落ちますので、それほど神経質にならなくても大丈夫だそうです。

ブレーキキャリパー&ブレーキフルードのチェック

ブレーキペダルを踏むと、油圧によってブレーキキャリパー内のピストンが押し出され、ブレーキパッドをブレーキローターに押し付けるというのがブレーキ作動の一連の流れ。ここで使用される油はブレーキフルードと呼ばれるものですが、これも劣化や量の減少が発生すると、ペダル操作が確実に伝わらずに制動力が減少する恐れがあるため、定期的なチェックが欠かせません。また、ブレーキキャリパー内のピストンも正常に作動しないとブレーキパッドが適切にローターに押し付けられないため、思うような制動力が得られなくなってしまいます。

写真中央の丸い部分がキャリパー内にあるピストン。これが油圧で押し出され、ブレーキパッドを押さえつける仕組みです。これも年数が経つと固着やサビなどの発生によりスムーズに作動しなくなる可能性があります。とはいえ、簡単に確認できる部分ではないため、ある程度年月が経過しているクルマなどは車検毎にチェックしてもらうと安心でしょう。早めにトラブルを見つけられれば少ない出費で済みますが、放置してしまうととんでもない金額になることも……。

日頃の点検はとても大切なこと。ブレーキは重要保安部品ですので、少しでも違和感や不具合があった場合は速やかにプロにお任せしましょう!

(小鮒康一+ノオト)

[ガズー編集部]

取材協力

MORIZO on the Road