見学自由の劇場型消防署「豊明市消防本部」に行ってきた!

東海エリアの中心部である名古屋市からクルマで1時間ほどの距離に位置する、愛知県豊明市。ここに、普段はあまり見る機会のない内部の様子を見ることができる消防署があるという話しを聞きつけました。その消防署は、「豊明市消防本部」。百聞は一見にしかず、ということでさっそく取材に行ってきました!

消防署と職員の業務が見られる「劇場型」がコンセプト

一見すると、消防署には見えない楕円形の建物が特徴的。訓練のためのロープがかかった壁はあるものの、デザイン性を感じるスタイリッシュな印象です。ガラスを多用した明るい建物は、どこからでも職員の訓練や出動の様子を見学できるようにと配慮されたもの。1998年3月に竣工し、「第11回日経ニューオフィス賞」「第6回愛知まちなみ建築賞」など、建築に関するたくさんの賞を受賞しています。

楕円形の建物に設置される「スカイウォーク」から消防車を眺めることが出来る

また豊明市消防本部は、「劇場型消防庁舎」をコンセプトに消防署を1つの舞台と考え、訓練や出動などを見学自由にすることで、消防署と職員の業務を知ってもらおうというスタイルが採用されました。今では、年間2000人以上の方が見学に訪れるそうです。中には、毎週くる方や親子3世代でくる方もいるとのことで、このコンセプトが受け入れられていることがわかります。

消防車や救出訓練が間近で見られる!

見学は、8時30分から17時まで、個人の方はいつでもOK。平日であれば職員の方が対応してもらえるので、より詳しい話を聞きたい方や団体の場合は事前に電話で平日予約が必要ですが、「事前に希望をお伝えいただければ、できる限り希望に沿ったお話をさせていただきます」とのこと。消防、救急、防災など、知りたいことがあったら予約時に伝えておくとよさそうです。ありがたいですね。

車庫(パティオ)の屋根には雨水を再利用し貯水できる仕組みが隠されている

職員の方に署内の案内をしていただくと、まず目に飛び込んできたのはズラッと並ぶ消防車の数々。豊明市消防本部には、14台の消防車、3台の救急車、その他業務車両を含む全21台が待機しているそう。もちろん、すべて業務に使われる本物のクルマです。ちなみに消防車はすべてオーダーメイドで、目的だけでなく地域特性にも合わせて作られているとか。各消防車には、やさしい説明書きがついているので、お子さんでも楽しめそうでした。

ロープブリッジ救出という訓練風景。ロープを移動するスピードに驚く

次に見られたのは、「ロープブリッジ救出」や「引き上げ救出」の訓練をする職員の姿。いつでも見られる訓練ではないので注意が必要ですが、キビキビとロープを渡る姿や壁を滑り降りる様子に、かっこよさを感じずにはいられません。また、取材時には実際に出動要請が入り、消防車が出動するシーンも。「予告指令」と呼ばれる出動要請から、出動先の情報が明確になって「本指令」が出て車両が出動するまで、わずか1分という素早い動作はさすがでした。

夏休みの自由研究にも!家族で防災を考えるきっかけに

消防署の見学は、働くクルマが好きな人はもちろん、夏休みの自由研究の題材にもピッタリ。お子さんと一緒に見学すれば、家族で防災を考えるきっかけになるかもしれませんし、リアルな現場を目にすれば、きっと防災意識や危機管理意識も変わるでしょう。今回の取材を通じて、火災や事故への意識を改めたと同時に、救急車や消防車など、道路上で緊急車両を見かけたときのルールやマナーについても、今まで以上に心がけなくてはと思い直しました。豊明市消防本部のほかにも、見学ができる消防署は全国にあるようです。いい経験になりますので、ぜひ一度見学してみては?

(石塚実貴+ノオト)

[ガズー編集部]

取材協力