工場からお寺まで!? ゴルフカートが活躍する意外な場所とは

ゴルフ場で移動の際に使われるゴルフカート。実は、ゴルフ場のほかにもいろいろな場所で使用されているのをご存じでしょうか。聞くところによると、工場やイベント会場などでも使われているそう。

そこで、「値段はいくらくらい?」「個人でも買えるの?」「公道でも走れる?」などなど、ゴルフカートに疑問を持った筆者が、中古ゴルフカート専門店「株式会社エヌエフコーポレーション」を取材してきました。

「え、こんなところで!?」といった使用例やメーカーのシェア、最高速度など、いろいろと興味深い話を聞くことができましたので、ご覧ください。

取材に応じてくれた、株式会社エヌエフコーポレーション 営業部・村上和広さん

――ゴルフカートには、どんなメーカーがあるんですか?

国内ではヤマハ、日立、サンヨー、アメリカだとEZGO(イージーゴー)とClub Carというメーカーがあります。ただし、サンヨーはもう新車の生産をしていません。シェアは国内では75~80%がヤマハで、海外だとClub Carが1位ですね。

――初歩的な質問なのですが、運転するのに免許は必要ですか?

基本的に免許は必要ありません。ただし、安全を考慮してゴルフ場や工場などでは普通自動車免許を取得していないと運転できないようにしているところがほとんどです。操作は一般のクルマと同じく、アクセルとブレーキ。ただし、ギヤはなくて、前進/後進のレバー、もしくはスイッチがあります。ガソリン車とバッテリー車があり、現状のシェアは半々くらいですかね。ちなみにバッテリー車に使用しているバッテリーは、「ディープサイクル」と呼ばれる充電式のもので、一般のクルマのバッテリーとは異なります。

――ガソリン式のカートもあるんですね。なんとなく、全部電動なのかと思っていました

バッテリー車はクリーンかつ静かでランニングコストも比較的安価ですが、充電設備が必要だったり2~3年経つとパワーが衰えたりします。一方、ガソリン車は排ガスやエンジン音が出ますが、ガソリンを入れれば動くのでパワーは安定しています。一長一短ありますね。

合計7個のバッテリーが積まれているヤマハのバッテリー車

――公道でも走れるのですか?

基本的には走れません。ただ、小型特殊自動車としてナンバープレートを取得して、走れるようにすることは可能です。実際に公道を運転するためには、自治体や警察の理解が必要と聞いています。

セキスイハイム 「初夏の大感謝祭」(レンタルにて使用)

――価格は、いくらぐらいなのでしょうか?

注文時のロット台数やオプションにもよりますが、新車は80~120万円ぐらいです。高額なものだと200万円を超えるカートもあります。中古だと20~30万円で、安いものでは5万円から10万円台のものもありますね。

――最高速度はどれくらいですか?

国産メーカーの最高速度は19km/hです。法律で決まっているわけではないので、メーカーの自主規制です。

――耐久年数はどれくらいですか?

目安は10年ですが、15~20年ほど使っているところが多いですね。廃棄するのもお金がかかるので、故障したものを弊社で買い取って修理するといったケースもあります。

――どんなところで使用されているんですか?

工場、農業関連が一番多いですね。次に墓地、神社、お寺。あとはホテル、旅館ですね。基本的には敷地が広い、高齢者が多い、坂がある、といった条件のある場所で多く使用されています。

常陸国出雲大社。駐車場から社殿までの急坂やふもとの霊園までの足として使用されている
旅籠「彩くら」。お客さんの送迎用として使用

――ほかに変わった使用例はありますか?

EXILEのコンサートツアーで、改造されたカートが使用されたことがありました。あとは、テニスの楽天オープンやレッドブルエアレースの裏方など、イベント関係でレンタルカートを使用されています。神奈川県の米軍厚木基地(防衛省仲介)に、5人乗りのカートをレンタルしたこともありますよ。

――個人でも買えるんですか? どんな方が買うのでしょうか?

もちろん購入可能です。広い別荘をお持ちの方、農家のおじいちゃん、山を持っている田舎の方などさまざまですね。

浜名湖うなぎ漁業生産組合にて使用

――野球のリリーフカーもゴルフカートと同じですか?

あれは一般のクルマを改造しているか、ゴルフカートを改造しているかのどちらかでしょうね。リリーフカー以外でも、野球場でClub Carの改造カートが使用されているのを見たことがあります。

――無人搬送カートもある、とお聞きしたのですが

はい。人が運転すると事故が起きる可能性があるので、いまは自動運転(無人搬送)カートを導入しているゴルフ場も多いですね。地面に誘導用の電線を埋め込み、電磁波にそって動く仕組みです。

自動車工場の生産ラインでも無人搬送カートが走っていますよ。ホテルの送迎用や、テーマパークのアトラクションなどでも使用されています。

ゴルフカートって、意外といろいろな場所で使用されているんですね。値段も中古だとお手頃価格で、ちょっと欲しくなってしまいました。「どこで使うんだよ!」と言われると困るのですが(苦笑)。

(村中貴士+ノオト)

[ガズー編集部]