「竹の自動車」11日間、約1030kmを無事走破!

クルマの外板といえば鉄、もしくはFRPなどの素材というのが一般的だと思います。しかし、その外板を植物である竹で作ってしまったクルマが存在し、さらにその車両が高知県から神奈川県まで自走で走っているという情報を入手し、ゴール地点である神奈川県横浜市に向かいました。

日本唯一の虎竹自動車

竹虎四代目こと山岸義浩さん

今回のプロジェクトを立ち上げたのは、高知県須崎市にある竹虎(株)山岸竹材店の代表取締役社長、竹虎四代目こと山岸義浩さん。虎斑竹(とらふだけ)と呼ばれる、日本でも高知県須崎市安和の虎竹の里でしか生育しない虎模様の不思議な竹を使った自動車を作り、竹のしなやかさ、強さ、可能性を知ってもらうことが目的です。

ベースは光岡自動車の電気自動車

車内も竹で覆われています。多数のお守りは道中でいただいたものだそう

今回の竹の自動車のベースには光岡自動車が生産する「Like-T3」が選ばれ、元々の外板を取り外して虎斑竹で編みこまれた外板へと変更されています。この車種を選んだ理由は、「成長が早く、継続利用可能な唯一の天然資源と言われる竹で製作する車は環境に優しい電気自動車」という思いがあったからだそう。ちなみにこの外板の竹の編み方は「やたら編み」と呼ばれるそうで、やたらめったら挿し進むのでこの名が付いたんだとか。

目的地は神奈川県横浜市

今回の目的地は神奈川県横浜市青葉区にある会社、廣田商事さん。これは今回のプロジェクトの資金がクラウドファンディングで賄われており、最大の支援をされたのが同社の代表取締役会長・廣田実さんだったからなのです。

(株)廣田商事 代表取締役会長の廣田実さん(左)にランドリーバスケットを届ける山岸義浩さん

「最初は“竹の自動車で銀座を走りたい”というから支援していたんだけど、いつしか高知から横浜まで走るってことになって、危ないから止めなさいと言ったんだけどね。とにかく無事に到着して安心しました」(廣田さん)

実は8年ほど前から同社の竹製品の愛用者だった廣田さんは、無事ゴールした山岸さんを見て安堵の表情を浮かべていました。

電気だけではなく、人の恩で走り切った11日間

満充電で50km前後の走行が可能な電気自動車では、こまめな充電が必要不可欠。その充電ポイントでも多くの人の温かみを感じ、「人の恩でここまで走ってこられた」と話して下さった山岸さん。1026.3 kmを走り切った竹の自動車は、高知の虎竹の里で見学者用に運用される予定とのことですよ。

当たり前ですが、高知ナンバー!

(小鮒康一+ノオト)

[ガズー編集部]