「マイナーチェンジ」ではなく「改良」を使うマツダの考えとは?

自動車のモデルサイクルの中で、小規模な変更を伴う改良のことを一般的に「マイナーチェンジ」と呼ばれています。しかし、マツダでは数年前からこのマイナーチェンジという言葉ではなく「一部改良」や「大幅改良」という言葉を使っていたのをご存じでしょうか? 今回はその言葉に込められた想いをお伺いしてきました!

売る側の都合からの脱却

「例えば5年というモデルサイクルのクルマがあった場合、2年半くらいの“クルマが古くなったな“というタイミングで、販売のテコ入れのために行うのが従来のマイナーチェンジでした。つまり、我々メーカー側の都合という側面が大きかったんです」と語ってくれたのは、マツダ株式会社広報本部の町田晃さん。

「しかし現在のマツダでは、常にその車種の理想像を思い描き、それに近づくためにステップアップをしていくという考えに変わりました。何か新しい技術が形になったら、“これをあの車種に取り入れたらもっとよくなるよね”という“改良”を常に繰り返してアップデートしていくスタイルです」

今回お話を伺ったのは新型アクセラの試乗会のタイミングでしたが、この新型アクセラにも新開発の「G-ベクタリングコントロール」や、ディーゼルエンジンモデルにすでにデミオなどに採用されている「DE精密加給制御」などを搭載するなどのアップデートが施されていました。

マツダ・アクセラ

部署間の垣根を取り払いスピーディーな改良へ

従来の自動車開発は、エンジンはエンジン担当、サスペンションはサスペンション担当などと各部門で独立していたため、いくつかの部門にまたがるような新技術の開発はすり合わせなどで時間がかかるのが通例でした。

「マツダでは“スカイアクティブテクノロジー”をスタートさせた10年前ほどから、開発チームの垣根を取り払い、横展開もしやすくなったからこそスピーディーな改良ができるようになりました」

このように細かく改良が加えられると新しいモデルを購入するタイミングが難しくなるのではないか、と思うのですが、どのように考えているのでしょうか。

「新技術という面では最新モデルに分がありますが、それまでのモデルが劣っているというわけではありません。弊社にはロードスターという車種がありますが、初代から現行モデルまで様々なファンの方がいらっしゃいます。初代が好きという方は初代に魅力を感じて乗られているわけで、新旧は問題ではないんですね。他の車種でも同様に“私は○○型が好き”という風に、自分の好みで選んでもらえるようにしたいと考えています」

また町田さんはマツダ車の販売についてもこう話してくれました。

「今までは、新型が登場してしばらくは値引きが小さい状態が続き、数年経つと大きくなり、マイナーチェンジをすると小さくなる……というスパンを繰り返してきました。特に昔のマツダは大幅値引きでクルマを売っていた時代もありましたが、大きく値引きをしたクルマは手放すときも安価になりがちで、“マツダ地獄”なんて言葉もあるくらいでした(笑)。しかし、現在は大きな値引きをしなくとも買っていただけるクルマ作りをし、その分の予算を開発に回してより良いクルマを作るようにしてます」

すでに多くのファンを魅了しているマツダが、これからどんな魅力的なクルマを生み出すのか目が離せませんね!

(小鮒康一+ノオト) 

[ガズー編集部]

取材協力

MORIZO on the Road