エスティマハイブリッドならクルマの中でも家電が使える!
アウトドアシーズンのオートキャンプなどはもちろんのこと、最近ではクルマの中で家電製品を使うシーンが増えている。スマートフォンやシェーバーの充電程度なら、12Vのシガーソケットでも十分だが、本格的な家電は利用できない。そこで今回、100V/1500W出力ができる数少ないクルマを使って、いろいろな家電を使ってみた。
標準仕様で1500W出力が使えるエスティマハイブリッド
クルマで電化製品を使うとき、シガーソケットから電源を取ることが多い。この場合、一般的な乗用車では、電圧は12Vで、電力は120W(電流10Aの場合)となる。これぐらいの電圧、電力だと、スマートフォンの充電などはできても、より大きな電力を必要とする電子機器は利用できないのだ。
また最近では、家庭用と同じ電源コンセントを備えるクルマも多く、シガーソケットを使わずに電化製品が使えるが、こちらも電圧と電力はシガーソケットと同等。高い電力を求める家電は使えない。
- 多くのクルマに搭載されている12Vのシガーソケット
そんな中、家庭用とほぼ同じ100V/1500Wの電気を供給できるクルマがある。それがトヨタ・エスティマハイブリッドだ。トヨタにはプリウスやアルファードハイブリッドなど、ほかにも多くのハイブリッド車があるが、現在、100V/1500Wが得られるのはエスティマハイブリッドだけだ。
しかも、エスティマハイブリッドではオプションではなく、標準でこの100V/1500Wのコンセントを2つ搭載しており、手軽に家電が使えるようになっている。そこで、実際にエスティマハイブリッドを用意して、さまざまな調理家電を試してみた。
- リアのアクセサリーコンセントにはアースも装備
- フロントのアクセサリーコンセントは運転席や助手席、セカンドシートから利用できる。
炊飯器やホットプレート、ドライヤーなどいろんな家電を使ってみた
エスティマハイブリッドでは、コンソールボックスの後方(2列目中央席の前)にひとつ、そしてサードシートの右側に100V/1500Wのアクセサリーコンセントをひとつ装備している。このアクセサリーコンセントを使うためには、事前に運転席右側にある「メインスイッチ」を押して、オンにする必要があるので注意が必要だ。
- 運転席にあるこのメインスイッチをオンにしないと電気は流れない
このメインスイッチをオンにした状態で、アクセサリーコンセントに家電製品を接続することで、利用可能となる仕組み。このとき、エンジンはすぐにかからず、車載バッテリーから電源が供給される。バッテリー残量が減ってくると、定期的にエンジンがかかって充電を行う。このため、都市部で利用するときは、そのエリアのアイドリング規制は確認しておくといいだろう。
実際に家電を使ってみよう。最初にやってみたかったのが、ごはんを炊くこと。用意したのは、三菱電機の「本炭釜 KAMADO NJ-AW107」。常圧方式でしっかりとした食感のごはんが炊ける、高級炊飯器だ。
- リアのアクセサリーコンセントに炊飯器を接続。お米も研いで準備は万端
この炊飯器の最大消費電力は1370Wなので、アクセサリーコンセントの容量の範囲内だ。実際にお米をセットしてごはんを炊いてみたところ、まったく問題なく炊飯できた。ただし、炊飯時には蒸気やニオイが出るため、バックドアを開けるなどして、十分に換気した状態で使うのがよさそうだ。
- 30分でごはんが美味しく炊ける「うま早」モードで炊飯を開始
- 炊飯器でごはんが美味しく炊けた!
ごはんが炊けたら、今度はおかずを調理したい。用意したのはタイガー魔法瓶の「GRAND X IH陶板焼き器 CRX-A100」。本物の陶板で食材を美味しく焼いてくれるホットプレートだ。
実は、エスティマハイブリッドのマニュアルには、アクセサリーコンセントでの使用に向かない家電として電子レンジ、IHコンロなどが記載されている。これは、エスティマハイブリッドのアクセサリーコンセントの出力が、矩形波(上限が100Vのカクカクした波)だからだ。一般的な家庭のコンセントは、100Vを中心とした、曲線で描かれた正弦波となっており、矩形波では電圧が足りなくなる瞬間があるのだ。このため、一部使えない家電があるとされている。
- ホットプレートで焼肉。最大消費電力の低い製品だったので問題なしだ
しかし、実際に「GRAND X IH陶板焼き器 CRX-A100」を使ってみたが、まったく問題なく使用できた。同モデルの最大消費電力が700Wと低めだったこともひとつの要因だと言えそうだ。ただし、ホットプレートの使用時はニオイに加えて“油はね”もあるため、「緊急時に車外で使えるもの」程度に考えておくといいだろう。
このほか、ドライヤーや電気ケトルなども使ってみたが、さすがの100V/1500W出力。電気ケトルでは、約1Lの水を5分で湧かすことができた。これはカーキャンプなどでも活用できそうだ。
- 電気ポットでお湯を沸かした。寒い冬の移動時などに重宝しそうだ
- 話題のダイソンのドライヤーも利用。ただし、コンセントタップが大きいので延長ケーブルが必要だった
大きな家電製品は駐車した状態で使うなどの最低限の安全対策は必須だし、マニュアルに記載されているように、電気毛布などのNG製品は使わないようにしたい。それでも、クルマでいつもの家電製品が使えるのはやはり便利だった。現在、100V/1500Wの出力ができるクルマは多くないが、エスティマハイブリッドは手軽に家電が使えることなどで、震災時にも大活躍した。EV(電気自動車)やPHEV(プラグインハイブリッド)の普及とともに、こうした高出力コンセントの搭載車が増えることを願いたい。
(コヤマタカヒロ+ノオト)
[ガズー編集部]
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