カーナビの「通れた道」情報が震災の復興と支援で大活躍

今年、4月14日に熊本県、大分県で震度7を記録する大型地震、熊本地震が発生した。この地震により、熊本県内では、橋桁の崩落や道路の分断が数多く発生。交通網も大きく乱れてしまった。この熊本地震で活躍したのが、走行中のクルマからのデータで生成される交通情報「プローブ情報」を元にした「通れた道マップ」だ。

トヨタが運営する「通れた道マップ」

トヨタのT-Connect対応カーナビでは、トヨタスマートセンターと通信を行うことでさまざまなネットサービスが利用できる。平常時は地図情報の自動更新や渋滞を考慮した道路案内、また、ロードアシストの連絡や車検、整備などの予約などができる。

T-Connect対応のカーナビ。スマートフォンなどと連携して通信を行う仕組み

熊本の震災で活躍したのが、このT-Connectによる実走行情報だ。震災が起きた直後は、どの道が通行できて、どの道が通行できないかという情報がなかなか共有できない。また、通行できる道でも、救助・救援作業が行われている場合は使うことができない。

そこでトヨタでは、実走行情報を元に、震災地域付近の「通れた道マップ」を4月14日の震災直後から公開。さらに20日には、「通れた道」情報に加えて、渋滞情報や交通規制情報を追加して公開した。渋滞情報はテレマティクスサービスT-Connect、レクサスG-Link搭載車両より収集されたプローブ情報を元にした独自の情報だ。

また、ホンダも同車が提供するインターナビ装着車から収集した走行軌跡データ、「フローティングカーデータ」を会員向けに公開。翌日15日には、Yahoo!地図やGoogleマップにも情報を公開した。

ホンダ車の純正カーナビであるインターナビ。通信機能を内蔵。通信費用は無料だ
Googleが公開した自動車通行実績情報マップ「Google クライシスレスポンス」(スマホでの画面)

トヨタとホンダが、「通れた道」情報をいち早く公開したのは、2011年に発生した東日本大震災の教訓がある。両社とも、東日本大震災発生後は数日内に通れた道を公開し、復旧の手助けになった。その元となるのは、2007年の新潟県中越沖地震にまで遡る。地震の多い日本だからこそ、過去の教訓をいかして、情報の共有ができるような仕組みが生まれているのだ。

ホンダが提供した2011年の東日本大震災のときの通れた道情報

「通れた道」の情報が公開されることで、そのエリアに住む方々はいち早く避難することができる。また、支援物資の輸送や、道路工事などの復旧作業もよりスムーズに進められるのだ。

道路の分断は震災だけが原因ではない。台風による大雨などさまざまな要因が考えられる。 もし、大規模災害などに出会ってしまった場合は、慌てることなく、避難するときは「通れた道」情報を取得して、適切な判断ができるようにしたい。

(コヤマタカヒロ+ノオト)

[ガズー編集部]