敬老の日に考えよう! 高齢者のために私たちドライバーができること

現在、日本の総人口の中で65歳以上の「高齢者」は25%。人口の4人にひとりが高齢者となっています。元気にはつらつと過ごす方が増える一方、高齢者が関係する交通事故が問題に。交通事故による死亡者数が減少傾向にある中で、高齢者が占める割合は年々高くなっており、2012年のデータでは、交通事故死者のうち51.3%が65歳以上となっています。では、高齢者の交通事故を防ぐため、私たちドライバーにできることはあるのでしょうか?

高齢者の死亡事故が多いのは歩行中

警察庁によると、高齢者の死亡交通事故の内訳でもっとも多いのが「歩行中」で、全体のほぼ半数を占めます。次に多いのは「クルマの運転中」です。歩行中とクルマの運転中に起きる高齢者の事故原因は何でしょうか?

<歩行中の事故原因>
歩行中に起こる事故原因のほとんどが、横断歩道外での横断や、クルマが通過した直前・直後の横断、横断歩道の信号無視など、高齢者自身の交通ルール違反とされています。また、時間帯では、昼間より夜間における事故が多発しています。

<クルマ運転中の事故原因>
クルマを運転中におきる死亡事故では、アクセルとブレーキの踏み間違い、ハンドル操作の誤りなどの「運転操作不適」、相手のクルマや歩行者を見つけても「~しないだろう」と気にせず運転する「漫然運転」、「安全不確認」などが原因としてあげられます。また、クルマを運転する高齢者は、被害者になるだけでなく加害者になりうることも。高速道路で重大事故につながる逆走の約7割は高齢者ドライバーといわれています。

理解しておきたい高齢者の特徴とは?

高齢者による事故の要因として、高齢者の身体的な特徴があげられます。高齢者になると、歩行が遅くなるなどの身体的な衰えに加えて、走ってくるクルマの距離や速度を見誤りやすい、止まれると思ったところで止まれない、ひとつの事象にとらわれてほかの情報を見逃してしまうといった、情報処理能力の低下による「行動と意識の差」が起こります。これらが事故に巻き込まれたり、事故を起こしたりする要因のひとつとなっています。

私たちドライバーが気をつけることは?

街で歩行中の高齢者を見かけたり、高齢者のマーク(高齢運転者標識)のドライバーを見つけたりした際に、私たちドライバーはどのような点に注意すればいいのでしょうか? 

歩行中の高齢者を見かけたら、減速や一時停止をして、高齢歩行者の予期せぬ行動に対応できる運転を心がけましょう。特に夜間に運転する際には、ヘッドライトで照らしきれない対向車側にも歩行者がいないか、注意して走行してください。また、高齢者マークを付けたクルマに対しての割り込みや幅寄せなどの危険な運転は、交通違反にもなりますのでやめましょう。

各地で高齢者に配慮した取り組みも

高齢者の増加とともに増える交通事故。そこで高齢者に配慮した取り組みを行っている例もあります。島根県松江市では、「高齢者思いやり道路」を定め、ドライバーや高齢者に啓発運動を行っています。

茨城県では信号機に高齢者用信号機を設置し、横断歩道の青信号の時間が長くなったり、音で青になったことを知らせたりする工夫も。

また、老人ホームや高齢者が利用する施設付近の道路には、高齢者がよく利用することをドライバーに知らせると同時に、歩行中の高齢者にも注意を呼びかける「シルバーゾーン」や「いたわりゾーン」の設置も広がっています。

「老い」は誰にでもいつかはやってくるもの。道路を歩く高齢者や、高齢者マークをつけたクルマに出会ったら、より一層思いやりを持った運転を心がけたいものですね。

(唐沢未夢+ノオト)

[ガズー編集部]