手動ウィンドウ、ツートンカラー…、クルマの「懐かしアイテム」と言えば?

カーエレクトロニクス機器メーカーの「ビートソニック」(愛知県日進市)が、車載用カセットデッキの新製品「カセットデッキHCT3」を発表した。マイクロSDカードスロットやUSBポートを備えるなど、現代流にアップデートされているとは言え、2016年の今、車載カセットデッキの新製品が発売されるのが意外で、ちょっと懐かしい気持ちになった。

考えてみれば、いつの間にかなくなってしまったクルマの装備は少なくない。そこで、日頃からクルマによく乗っている30代後半~50代の人に、「懐かしさを感じるクルマアイテム」を聞いてみた。

「グルグル回して窓を開ける、手動式のウィンドウレギュレーターですね。今は、軽自動車でもほとんどがパワーウィンドウになりましたから、見ると懐かしさを感じます。エンジンオフでも窓の開閉ができるので、車中泊で役立つんですよね」(50代・男性/愛車スバル・サンバー)

1980年代後半あたりまで、パワーウィンドウが装備されるのは高級車や上級グレードだったので、レギュレーターハンドルを回して開けるサイドウィンドウに懐かしを覚える人は多いだろう。

「私の『懐かしアイテム』は手動式フロントベンチレーター。マツダのポーターキャブという軽トラックには、フロントに開閉式の窓がついていて、足元に直接、外の風を当てることができたんです。換気もばっちりでした」(50代・男性)

当時は、まだエアコンを装備する軽トラックが一般的ではなかった時代。車内に小型の扇風機を設置して涼を取ることもあった。

「80年代までは、ツートンカラーのクルマがたくさんありましたよね。『ネイビー×シルバー』や『ホワイト×ベージュ』のコンビネーションが、特に印象に残っています。当時は、四角いデザインのクルマが流行っていましたね」(44歳・女性/愛車スズキ・ジムニー)

ひと昔前は、モールがあったりバンパーとの境目に段がついていたりといったデザインのクルマが多く、その上部と下部で色を塗り分けたツートンカラーがよく設定されていた。最近では、ルーフの色を塗り分けたボディカラーが人気を集めているが、昔のようなツートンカラーはクルマのデザインが曲線的になってきたことで、廃れたと思われる。

「白いレースのハーフシートカバーはセダンの定番アイテムでしたよね。今はハイヤーやタクシーでしかほとんど見なくなりましたが、たまに見かけると子どもころの記憶が蘇ります。うちのクルマにはついてなかったですけど(笑)」(35歳・男性/愛車フォルクスワーゲン・ポロ)>

セダンと言えばレースのハーフカバ―というぐらい定番だったアイテム。たしかに今、自家用車ではほとんど見かけなくなった。

「アイテムではありませんが、ボーイズレーサーという響きに懐かしさを感じます。ホンダ・CR-X、ダイハツ・シャレード、スズキ・カルタスなどは、当時の若者にとって憧れのクルマでしたね」(40代・男性)


ボーイズレーサーは、現代の呼び名では「ホットハッチ」が一番近いだろう。1980年代から90年代前半にかけて、ハッチバックのスポーツモデルがこう呼ばれ、若者にも買いやすい価格のモデルを各社がラインナップしていた。

実用だけでなく趣味の側面も持つのがクルマというもの。流行り廃りはあれど、使い勝手にすぐれた装備やこだわりを表現するアイテムは、鮮明に記憶されていたり、形を変えて現代に蘇ったりするも。それも「クルマ文化」のひとつなのかもしれない。

(上泉純+ノオト)

[ガズー編集部]

MORIZO on the Road