超小型電気自動車「あわモビ」で淡路島をドライブ!

日産「ニューモビリティコンセプト」は、軽自動車よりコンパクトで小回りが利く、環境性能に優れた自動車「超小型モビリティ」のひとつ。1人~2人定員の超小型モビリティは、地域での短距離移動の足として開発され、「近距離移動」「物資運搬」「観光」などに利用される。

今回は、「あわモビ」としてニューモビリティコンセプトを観光用途で導入した兵庫県淡路島を訪れ、3時間の島巡りに利用してみた。

ウエスティンホテル淡路から出発!

淡路島での貸し出しは、ウエスティンホテル淡路(淡路市)で行われている。予約制で、2016年9月1日(木)から11月30日(水)までの間、6時間まで無料で利用することができる。普通免許で運転が可能で、6歳以上なら同乗も可能だ。

同ホテルは、島北部の観光地のひとつ「淡路夢舞台」にあり、神戸から明石海峡大橋を通る高速バスに乗ると、島内最初の停留所「夢舞台前」の目の前にある。

マイカーで訪れた観光客があえてレンタカーを利用する機会は少ないと考えると、高速バスユーザーに使い勝手のよい場所に貸し出し窓口を設けるのは理にかなった運用といえそうだ。

超小型電気自動車ならではの注意点

貸し出しの際に確認事項を読み上げながらチェックマークを入れるのは、一般的なレンタカーの貸し出し時と同様。確認事項で通常のレンタカーと違うのは、以下の2項目だ。

「電欠」時にはレッカーをユーザー負担で利用
高速道路は走行禁止

「電欠」とは聞き慣れない言葉だが、「ガス欠」の電気自動車版。つまり充電が足らずに走れなくなる状態を指す。この「あわモビ」は公称値で約100キロの走行が可能とのこと。しかし、斜度やアクセル開度で航続距離は大きく変わってくるため注意が必要と説明を受けた。

また「あわモビ」は黄色ナンバーが取り付けられており、軽自動車として登録がされている。しかし超小型モビリティにかかる道路運送車両法の「保安上の制限」により、高速自動車道の走行は禁止されているとのこと。

そのほか「ドアに窓がなく、ドアロックも付いていないため、クルマを降りるときは持ち物を携行してください」と口頭で説明を受けた。ホテルのフロントでは、手荷物を預かってもらえるので、大きな荷物は預けておくといいだろう。

淡路島ドライブへ出発!

操作方法など運転レクチャーを受けたのち、ホテル玄関前のロータリーを一周したら、いよいよ出発だ。

淡路島は南北に細長く、外周はおよそ200km。市町村合併を受け、現在では3市で1島を構成している。オートバイや自転車で同島を1周することを「アワイチ」と呼ぶなど、同島は関西圏ではメジャーな観光地のひとつでもある。西海岸は夕陽の名所として有名、東海岸は街や観光施設が点在し、にぎやかな印象を残す。内陸は南北に尾根が走り、牧場が点在する。山・海・街がぎゅっと凝縮され、多彩な印象を残す島である。

出発から10分、電池の減りに焦る…

交通量が多い国道を避け、山中ドライブへ。平地では法定速度で無理なく走行できたものの、上り坂では速度が落ちる。ベタ踏みすれば速度は上がるがモーター音が気になるため、その気になりにくい。さらに走行開始10分ほどで、100%だった電池残量が80%に減ってしまった。電池の消費は思った以上に早そうだ。そこでドライブの途中、充電スポットのある淡路貴船太陽光発電所に立ち寄った。

ここは斜面を利用した甲子園球場17個分の広大な敷地に、約131,000枚の太陽光パネルを配置。大規模な太陽光発電を行っており、電気自動車の充電もできるのだ。展示物を見学しつつ、20分ほどで満充電に。上り坂では電池の減りが思ったより早いことを心得つつドライブを再開した。

注目度の高さはスポーツカー以上!?

尾根道を県立淡路景観園芸学校、淡路カントリーガーデン、あわじ花さじきなどに立ち寄りつつ、のんびりとドライブを楽しんだが、どこに行っても「電気で走るの?」「どれくらいスピードが出るの?」と地元の方々に声をかけられ、注目度の高さを感じた。特に前ヒンジで跳ね上げるドアは注目されていたようである。

地元の人たちと言葉を交わし、地元の牛乳と「てんさい糖」だけで作られたソフトクリームを食べ、季節の花が咲く風景などを眺めていると、3時間のドライブはあっという間だった。ウエスティンホテル淡路に戻り、簡単なアンケートに答えたら、「あわモビ」ドライブは終了だ。

電気自動車だから感じる「土地のにおい」

初めての電気自動車、初めての超小型モビリティの運転は新鮮な体験だった。窓がないため外気やモーター音などがダイレクトに感じられる。淡路島では季節ごとに花が咲き乱れ、酪農・畜産農業も盛んだ。自らが排ガスを発生させないことも相まって、そういった「土地のにおい」を感じながらの移動を経験することができた。

また音に関しては、スピードに乗るにつれてかなりにぎやかになる印象だった。発進時は電動アシスト自転車に似て、音や路面を蹴り出す感覚がなく、魔法のじゅうたんに乗って滑り出すよう。しかし、加速とともにモーター音はにぎやかさを増してくる。交通量の少ない道を35km/hくらいでのんびり走るのがクルマのキャラクターに合っているだろう。

行く先々で地元の方々と言葉を交わし、点在する充電スポットでクルマから電源プラグを引き出し、コンセントに挿し充電することすらも旅の体験のひとつになる。多くの人にとって非日常である島での観光体験に、超小型モビリティは華を添える移動手段といえるのではないだろうか。

(上泉純+ノオト)

[ガズー編集部]