7万点のクルマ資料を所蔵する「豊田市中央図書館」

愛知県豊田市。トヨタ自動車のお膝元として知られるこの街の図書館「豊田市中央図書館」は、クルマ好きなら何日いても飽きないほどの膨大な自動車関連資料がそろっているユニークな図書館なのだ。

またこの図書館は、地域の文化的施設のひとつとして、それらの資料を多くの人々に手にとって見てもらえるよう、ハード面・ソフト面の双方で工夫を凝らしている。今回は、市の図書館としては日本第5位、114万冊の蔵書を誇る豊田市中央図書館を、資料と取り組みの両面から紹介したい。

豊田市駅直結、徒歩3分。駐車場も利用可能

豊田市中央図書館は、名鉄・豊田市駅東側に直結した商業文化施設「とよた参合館」の3階から7階で展開。雨の日でもぬれずに利用できる利便性の高い駅前に立地し、豊田市民、在勤在学者のみならず、愛知県内在住者を貸し出し対象者とし、広く門戸を開いている。

豊田市駅周辺施設の利用で加盟駐車場の利用が3時間無料になる「フリーパーキング」システムに加盟し、クルマで気軽に行けるのもうれしいところだ。

「修理書」や「配線図集」もある7万点の自動車関連資料

同館の特色である充実した自動車関連資料には、各自動車メーカーの社史、自動車工学の専門書、モータースポーツ関連図書などがあり、その数は7万点にものぼる。

特筆すべきはトヨタ全車種の「修理書」「配線図集」「新型車解説書」が書架に並んでいる点だ。現在は、CD-ROMでの配布となったが、それ以前のものは紙の本で閲覧可能となっている。

洋書も多く所蔵しており、世界でもっとも歴史があるとされる英国のクルマ雑誌「AUTOCAR」も、100年分を蔵書している。また、書籍ではないが、トヨタ車のポスターも20年ほど前のものから約700枚が資料として保管されているそうだ。中には、6代目セリカGT-FOURでツール・ド・コルスを制した当時のポスターなど、ファン垂ぜんのアイテムもある。

これらの古い資料、書籍外の資料は閉架書庫に保管されているため、常時閲覧できる状態ではないが、イベントなどで展示されることもあるとのこと。取材時は、2カ所の展示スペースで「半世紀前の日本の自動車展」、「自動車ポスター展」を開催しており、「クルマのまち」の図書館らしさをうかがわせた。

平日でも2000人以上の来館。しかし…。

多くの蔵書と特色のある資料をそろえる同図書館。平日でも2000人以上が来館するが、豊田市民の6割が図書館を利用したことがないという。利用者への新たなるサービスの提供、利便性の向上などをもくろみ、2017年度の指定管理者制度の導入も始まる。

公的施設である図書館も、いかに多くの人に利用してもらうかを模索する時勢にあるようだ。指定管理者制度の導入後も、この豊富な自動車関連資料が維持され「クルマのまち」らしい図書館であってほしいものである。

豊田市中央図書館
住所:西町1-200 豊田参合館内
電話:0565-32-0717
HP:https://www.library.toyota.aichi.jp/
Facebook:https://www.facebook.com/toyotacitylib/
Twitter:https://twitter.com/toyotacitylib
※開館日、開館時間はHPなどでご確認ください。

(上泉純+ノオト)

[ガズー編集部]