ミニバンそっくり? キャンピングカーの選び方(形状編)

キャンピングカーに興味はあっても、どんな風に選んだらいいのかわからない、あんな大きなクルマは運転できないと思っている読者は多いのではないだろうか。しかし、普段乗っているミニバンと変わらない見た目のキャンピングカーも多くある。それどころか、一般社団法人日本RV協会が出している2016年版「キャンピングカー白書」によれば、そうしたモデルが現在最も人気を伸ばしているほどだ。

今回は、キャンピングカーをカタチで分類して紹介してみたい。あなたでも運転できる、乗りたくなるカタチのキャンピングカーがあることを知るきっかけになれば幸いだ。

(1) キャブコン

「キャンピングカー」という単語から多くの読者が思い浮かべるのが、このカタチだろう。ザ・キャンピングカーという風情の形状で、筆者が現在所有しているのもこのタイプだ。トラックをベースに、荷台部分にキャンピング装備を架装したもの。「キャブ」+「コンバージョン」を略して、キャブコンと呼ばれる。背が高く、広々感のある室内が最大の特長だ。

キャブコンのメリット​
・背の高いモデルが多く、車内を立ったまま移動していても窮屈感がない
・バンクベッドを備えたモデルが多く、多くは4人から6人程度が就寝可能
・狭い投影面積で広い室内を確保しているモデルが多い
(全長、全幅が一般的なミニバンと同程度のモデルでも広い室内を持っている)

​キャブコンのデメリット
・背が高いため、立体駐車場はおろか、平面駐車場でさえ出入り口を通過できない場合がある
・運転席部分はトラックのままなので、運転に苦手意識がある人には向いていない
・背が高く空気抵抗が大きいため、特に高速道路において燃費が悪い
・ホイールやタイヤはトラック用のものが必要になるため、一般のカー用品店では冬タイヤ用の予備ホイールを入手する際などに困ることも

​​キャブコンの運転
・メリット部分に書いた通り実際の全長、全幅はそれほど大きくないモデルもあること、ほとんどのモデルがATを採用していることから、実際に運転してみるとそれほど難しくない
・いかにもトラック然とした見た目や装備への抵抗感さえ乗り越えれば、むしろ大型のバンコンより運転しやすいモデルもある
・運転しやすく、後部エリアとの行き来もしやすいよう、トヨタ・ハイエースやなどミニバンのボディをカットして作成されるモデルもある

(2) バンコン

トヨタ・ハイエースや日産・NVなどをベースに、室内にキャンピング装備を備えたモデル。「バン」+「コンバージョン」でバンコンと呼ばれる。最近は、見慣れていないとキャンピングカーであることに気づかないようなスタイリッシュなモデルもある。外見はベースとなるミニバンとほとんど違わないため、キャンピングカーであることを意識せずに運転できるのが特長。

バンコンのメリット
・外見は一般的なミニバンとほとんど変わらないため、運転に苦手意識がある人でも抵抗感なく運転できる
・取り回しはベースのミニバンと変わらないので、日常の用事も週末の旅もこれ1台でOK
・多人数の就寝スペースを確保するために2段ベッドを備えたり、屋根がポップアップする機構を備えているモデルもあり、これらの「変形メカ」は子供ウケがいい
・販売台数の多い車種がベースになっているので、タイヤやホイールの入手も容易
・ハイエースやNVがベースなので、ホイールやエアロパーツなど外装のドレスアップも可能

バンコンのデメリット
・一見スマートに見えるが、ワイドボディやロングボディをベースに使用することが多く、長いボディの取り回しには慣れが必要な場合も
・ハイルーフモデルをベースにした場合でも、大人が立って移動できるほどの室内高はない
・ポップアップルーフ(オートフリートップなどとも呼ばれる)を備えるモデルは、ポップアップ部分にテント生地を利用しているので、寒さや雨が苦手
・シンクやトイレなどの装備を排して就寝スペースにこだわったモデルが多く、価格もキャブコンに比べて手頃なものが多い

バンコンの運転
・ミニバンベースとはいえ、ベース車によってボディサイズが大きく異なり、運転のしやすさもそれに伴って変わる
・5ナンバーサイズに収まる日産・NV200をベースとしたコンパクトモデルなら、運転を得意としない人でも気楽に乗ることができるが、トヨタ・ハイエースやや日産・NV350のワイドロングボディは全幅は2メートル、全長は5メートルに迫るため運転に慣れが必要な場合もある
・実際の運転技能の良し悪しではなく、「運転への苦手感」がある人にとっては実際のサイズよりも見た目の印象が大きな影響を与えるため、キャブコンより親しみやすい

(3)バスコン

マイクロバスをベースにしたモデルで、もうお分かりだと思うが「バス」+「コンバージョン」でバスコンだ。ベースとなるマイクロバスは25人乗りや29人乗りなど普通運転免許で運転できない乗車定員になっているが、キャンピングカーに改造する際に10人乗りかそれ以下に乗車定員を変更し、普通運転免許で運転できるようにするのが一般的。特長はなんといっても、余裕のあるその室内スペース。しかしベース車自体が大きく、充実した装備を備えた高価なモデルが多いこともあり、2015年の新車販売台数がキャブコン1349台、バンコン1682台に対してバスコンはわずか66台と少数派にとどまっている。

バスコンのメリット​
・広い室内スペースを生かして、常設ベッドやゆったりしたダイニングを備えるモデルが多い
・室内高にも余裕があるため、大人が立って移動するのに不自由を感じることもない

​バスコンのデメリット​
・ベース車自体が大きく、運転に自信がなければ選択肢にも入らないだろう
・ベース車両自体が高価な上に、余裕のあるスペースに豪華な装備を備えるモデルが多く、全般的に高価なものが多い
・普通車用駐車場に入らないため、旅先で気軽にスーパーで買い物をするなどの用事をこなすにもひと苦労

​バンコンの運転​​
・マイクロバスには標準ボディとロングボディがあるが、キャンピングカーのベース車両としてよく使われるトヨタ・コースターの標準ボディでも全幅は2メートル以上、全長も6メートル以上あるため、運転に自信のある人にしかおすすめできない
・以前は全長約5.5メートルのショートボディもラインナップされており、それをベースにしたキャンピングカーも中古でなら手に入るが、キャブコンやバンコンに比べて大きいことには違いない

(4)キャンピングトレーラー

キャンプ用の小さな車両を牽引するタイプ。牽引免許が必要だと思い込んでいる人もいるかもしれないが、重量750キロ以下のコンパクトなタイプなら普通運転免許でもOK。牽引に使うクルマはトレーラーヘッド、もしくは単にヘッド、ヘッド車などと呼ばれる。ヘッドは、十分なパワーがあり牽引装置が付いていれば何でも構わない。普段は好きなクルマに乗り、週末に遠出するときだけキャンピングカーとして使えるという使い分けができる。​

キャンピングトレーラーのメリット
・トレーラー部分は普段は自宅に置いておき、普段はヘッド車だけを使って生活するなど使い分けしやすい
・旅先でもトレーラー部分の駐車スペースを確保できれば、ヘッド車だけで買い物や付近の観光に出かけるなど、行動の自由度が高い
・使わない間は動かさないため、車中泊に必要なグッズを積みっぱなしにするなど、ちょっとした物置がわりにも

キャンピングトレーラーのデメリット
・ヘッド車とは別に普段の置き場所を確保しなければならない
・牽引装置の装着など、ヘッド車への改造が不可欠
・大型のキャンピングトレーラーの場合には牽引免許も必要

キャンピングトレーラーの運転
・牽引時の運転に特別な技術、慣れが必要
・牽引時は全長が長く途中に折れ曲り部分もあるため、幅が狭い道路などは通行が困難
・自宅前や近所の道路が狭い場合には、出発するだけでひと苦労ということも

(重森大+ノオト)

[ガズー編集部]