月額49,800円「定額制」という新しいクルマの楽しみ方

最近では、多くのサービスが月額料金で利用できる「サブスクリプション」を導入している。例えば、音楽や映画、ドラマなどは、ちょっと前まではCDやDVDを1枚ずつ買ったり借りたりする必要があったが、今では月額料金を支払うことで多くのコンテンツが聴き放題、見放題になっている。

そんな中、クルマのサブスクリプションともいえるサービスがスタートした。それが月額定額制クルマ乗り換え放題サービス「NOREL(ノレル)」だ。

NOREL

サービスを提供するのは、中古車の取り扱い大手である株式会社IDOM(旧ガリバーインターナショナル)。先行リリースとして、8月18日に先着定員100人でサービスをスタートしたところ、わずか1時間で半数の会員が集まり、24時間で締め切るほどの人気となった。

そこで詳しくサービスを紹介するとともに、詳細についてサービスを開発、担当する北島昇さんにお話を伺った。

IDOM株式会社IDOMの執行役員 新規事業開発室室長 北島昇さん

ポルシェやBMWなど選べる車種は100以上

まずは「NOREL(ノレル)」の仕組みを解説しよう。費用は月額49,800円(税別)。この定額を支払うことで、100車種以上の中から好きなクルマを選び、乗り換えることができる。

中には、ポルシェ・ボクスターやBMWのような高級車やヴェルファイア、エルグランドといった人気のミニバンも並んでいる。これらのクルマは、「NOREL」のWebサイトから予約することができ、各種整備、書類上の手続きが行われたあと、乗れるようになる仕組みだ。

憧れの高級車も並ぶ在庫から乗りたい車を予約する

「現在は、IDOMが持つ中古車を有効活用して用意しています。さらに今後は、それ以外にも魅力的なクルマを用意していく予定です。まずは棚に魅力的なクルマがないと意味がないと思っています。例えば、キャンピングカーなどもご提供したいですね」(北島さん)

クルマごとに異なる使用期限が設定されており、最長でも車検までの利用期間になるという。クルマを予約してから、最短24日でそのクルマに乗れるようになる。

「レンタカーではないため、一台一台名義変更の登録手続きが必要となります。また、登録手続きに必要な車庫証明のやりとりもあるため、この期間をいただいています」

クルマの外観や内観写真を見ながら選ぶことができる。

月額の4万9800円(税別)には保険や車検なども含まれる

「NOREL(ノレル)」がすごいのは、月額料金である49,800円(税別)に下の3つのコストが含まれるということだ。

自動車保険(車両保険は含まず)
車検費用
基本的なメンテナンス費

車検費用は、一般的に新車なら3年で10~20万円。さらに保険料も年間5万円~10万円はかかるだろう。消耗品を除くメンテンナンス、整備費用も年間で4万円程度はかかる。つまり、クルマを維持するには、車両本体の購入費用のほかに、年間15万円ぐらいの費用がかかるのだ。

しかし、「NOREL(ノレル)」の場合、月額定額のほかに必要なのは、走るためのガソリン代と駐車場代、細かな消耗品代だけといえる。

例えば、中古で200万円のクルマを金利5%、頭金なし36回払いのローンで購入するとなると、月々の支払いは約6万円。これに各種税金や整備費、車検代などがかかることになる。「NOREL(ノレル)」を利用すれば、購入するよりも安い費用負担で、環境に合わせていろいろなクルマに乗れるというわけだ。

新車ではないので、装備や仕様はラインナップの中から選ぶこととなる。このあたりは中古車に似ている

いろいろなクルマに乗ってみたい人に

ただし、「NOREL(ノレル)」にもいくつかの課題がある。用意されているクルマは、IDOMが持つ買い取りネットワークによって集められたクルマだ。このため、一台一台の状態や装備はバラバラなのだ。もちろん、しっかりと整備した上でクルマを引き渡すため、状態には問題はないというが、装備を自分好みにするといった、改造やカスタマイズは基本的にできない。そういう意味では、一台をじっくり乗って、自分だけのクルマにするといった乗り方にはマッチしない。

「中古車を長く取り扱ってきて、本当に魅力的なクルマが多いと感じています。しかし、皆さんそれを知らない。私はクルマを衣服のようにカジュアルに乗り替えて欲しいと考えています。乗り換え回数を100倍にできたら、新しいクルマともっと出会えると思うんです」(同)

サブスクリプション型のサービスを語るとき、「所有から利用」へライフスタイルが変化したと語られることが多い。しかし、北島さんはそれだけではないと言う。「NOREL」で出会ったクルマが気に入ったら自然とそれは欲しくなるはずだ。将来的には、クルマを気に入った場合、中古車として買い取れる仕組みも用意したいと語る。

最大の課題が予約からの期間。このあたりは法的制約が多いとか

8月には先行の100人が1日で埋まってしまった「NOREL」だが、10月から人数無制限での会員募集もスタートした。そして当初1都3県(東京・神奈川・千葉・埼玉)でスタートしたサービスも順次拡大を進めていくそうだ。

最近ではカーシェアを始めとした、さまざまなクルマを利用するスタイルが生まれている。「NOREL」もそのひとつだと言えそうだ。クルマを乗り換えるときの手間や期間など、法整備が必要な部分はまだまだ多いが、新しいクルマの乗り方として注目されていくだろう。

(コヤマタカヒロ+ノオト)

[ガズー編集部]