首都高の横断幕がトートバッグに!「CIRCULATION SHUTOKO」
よく歩道橋などに掲示してある「工事のお知らせ」の横断幕が、バッグとして再利用されているのをご存知でしょうか? リサイクルプロジェクト「CIRCULATION SHUTOKO(以下、サーキュレーション首都高)」では、横断幕や看板を再利用し、トートバッグやスケートボード、サンダルを制作しています。「なぜ、横断幕をバッグに?」と疑問に思った筆者が、プロジェクトの詳細について聞いてきました。
- 取材に応じていただいた、首都高速道路株式会社 事業開発部 菅野寛政さん(左)、小林碧さん(右)
――「サーキュレーション首都高」とは、どのようなプロジェクトなのでしょうか?
環境に配慮する取り組みの一環として生まれたリサイクルプロジェクトです。弊社では2009年から社内提案制度を行っており、その中からアイデアが生まれ、プロジェクトチームが発足しました。
工事のお知らせなどに使う横断幕は、使い終わったら廃棄せざるを得ないものでした。「もったいない、何か有効に使えるものはないか」という思いから、「バッグにする」というアイデアが出てきたんです。
まず、「サーキュレーション首都高」の取り組みに協力してくださる企業や団体を探すところから始めて、「ROOTOTE(ルートート)」ブランドを展開している株式会社スーパープランニングさんが協力してくれることになり、商品化することができました。
- 首都高の横断幕がトートに変身した「HATARAKU TOTE」
――バッグをつくる上で苦労した点はありますか?
横断幕のサイズが大きい(縦1m×横6m)ので、洗浄するのが大変でしたね。正直、どうしても細かいキズや汚れが残ってしまうものもあります。ただそれも味として、実際に使われていた証拠だと捉えていただいています。
あと、素材が分厚くて固いので、普通の家庭用ミシンでは縫えないという点も苦労しました。風雨にさらしても大丈夫で色落ちしない「ターポリン」という素材です。トラックの幌などで使われている素材と同じようなもの、と言えばわかるでしょうか。
――この横断幕、掲示用としては何枚ぐらい製作されるんでしょうか?
工事の頻度や範囲にもよりますが、首都高全体で年間800枚ほどを製作し、掲示しています。
――意外といろいろなカラーの横断幕があるんですね
昔はほとんどが黄色地でしたが、目立たせることが目的なので、最近では違う色も使用しています。同時期に違う場所で複数の工事が行われるときに、同じ色だと紛らわしい場合もありますよね。そういったケースでは色を分けて、ドライバーに伝わりやすいよう工夫しています。
- LOUVRE(横52×縦33×マチ15cm)とOSLO(横36×縦40×マチ9cm)の2種類があり、価格はいずれも6,048円(税込)
――横断幕1枚から、いくつのトートバッグができるんですか?
なにも考えずに切りとれば6~7個です。最近はデザイン的に「ここで切ると面白いかな」といった工夫もしています。カットする場所によって、文字の見え方が変わりますからね。
――バッグの次に作られたのがスケートボードですか?
はい。ほかの廃材でも何かできないか、ということで出てきたアイデアのひとつですね。「工事のお知らせ」用のベニヤ板の看板があったので、それを使って作りました。
これは販売目的というより、「できるかどうかやってみよう」というチャレンジ企画。そのため、数はそれほど作りませんでした。(現在は販売していません)
- 使用済の工事案内看板をリメイクしたスケートボード『Hi-W8/ハイウェイト』
――タイヤサンダルも、御社の中から出たアイデアですか?
いえ、これは社外からお話をいただいたものです。「使わなくなったタイヤを活用して新しい商品を作りたい」と、社会福祉法人が運営している童里夢工房さんから連絡があったのがきっかけですね。
- 使用済み横断幕と廃タイヤを活用したリサイクルタイヤサンダル「aruku-tire(歩くタイヤ)」
作り始めた当初は、「タイヤ部分が反ってしまう」「留め具がうまく付かない」といった苦労もあったようです。弊社からは横断幕の一部を提供し、サーキュレーション首都高のブランド名を入れてもらっています。
――今、販売しているのはバッグとサンダルの2種類ですか?
はい。「HATARAKU TOTE」は「首都高みやげ」というオンラインショップで販売しています。ただし、現在は「準備中」になっています。というのも、おかげさまで作った分がすぐに売れてしまう状況なんですよ。環境によっては汚れすぎて商品としては使えないものもありますし、そもそも使用済みの横断幕があまり発生しないときもありますので。前回、販売開始したときは2日で売り切れてしまいました。
――2日で売り切れ!? すごいですね! 購入された方の反応は?
「1点ものだから良い」というご意見を多くいただきますね。商品として好きだという方もいれば、「リサイクルアート」としての魅力を感じてくださる方もいらっしゃいます。バッグは色違いで複数ご購入される方もいらっしゃいますよ。
――今後の予定は?
新たな商品企画は決まっていませんが、首都高の環境への取り組みを知っていただくためのイベント「首都高環境フェア」で、このプロジェクトを紹介させていただいています。直近ですと、2016年11月20日(日)に埼玉県さいたま市のイオンモール与野で開催します。来年2月には横浜でも開催予定です。
- 「首都高環境フェア」の様子
横断幕をバッグにするという発想が素晴らしい! しかもすべて1点もの。丈夫なので実用性もバッチリです。気になった方は「サーキュレーション首都高」のオフィシャルサイト、またはイベントでチェックしてみてください。
(村中貴士+ノオト)
[ガズー編集部]
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