「一晩寝れば大丈夫」は間違い! 二日酔いでも捕まる飲酒運転の危険性
忘年会や納会など、何かとお酒を飲む機会の多いこの季節。ドライバーが気をつけなければならないのが、飲酒運転です。法規制による厳罰化で件数は減っているものの、年間3,000件以上の飲酒運転事故が起きています。
そこで今回は、飲酒運転防止に関する啓発活動を行っている「一般社団法人 日本損害保険協会」の生活サービス部にお伺いして、飲酒運転の実情をお聞きしました。
――飲酒運転の事故は減っているのでしょうか?
はい。2000年の26,280件をピークに年々減少していて、2015年は3,864件でした。ただし、全事故に対する飲酒運転事故の割合はここ数年0.7~0.8%と横ばいになっています。
- 出典:「飲酒運転事故件数」「全事故件数」は警察庁「平成27年における交通事故の発生状況」より
――減っている理由は?
交通事故が全体的に減っているのもありますが、やはり大きいのは法規制だと思われますね。2006年8月、福岡・海の中道大橋で3人のお子さんが亡くなった飲酒運転事故を覚えている方も多いでしょう。そういった事故がきっかけのひとつとなり「道路交通法」や「自動車運転死傷行為処罰法」が整備されるなど、全体的に厳罰化されてきました。また飲酒運転は、事故を起こさなくても免許停止または取消しになります。
――飲酒運転事故が多い都道府県は?
1位は愛知県、2位は千葉県、3位は大阪府となっています。ただし、運転免許保有者10万人あたりの事故件数でみると、1位は沖縄県、2位は山梨県、3位は宮崎県です。
- 出典:損保協会HP(公益財団法人 交通事故総合分析センターの2015年データをもとに損保協会が試算)
――アルコールはどの程度、運転に影響を与えるのでしょうか?
まず、こちらの表をご覧ください。
ここにあげたのは、純アルコール約20グラムを含む酒類です。これを「アルコールの1単位」と呼びます。焼酎やウィスキーなどアルコール濃度が高いものほど、量が少ないことがわかるでしょう。
1単位のアルコールを飲むと、体内での処理に飲み終わってからおよそ4時間かかります。飲酒して8時間後に運転したとすると、2単位ならアルコールは検出されませんが、3単位だと検出されることになります。また、アルコールの分解にかかる時間は、睡眠中は遅くなり、性別、年齢、体重、体質、体調などでも変わります。
――なんとなく「睡眠中は早く分解する」と思っていました。
多くの方は「一晩寝れば大丈夫」と思いがちですが、飲んだ翌日も危険です。目立つのは、飲み会からタクシーや運転代行で帰った翌日、二日酔いで運転するケース。「朝起きて日課のジョギングをし、シャワーを浴びてクルマで出勤途中に検挙された」という人もいます。
肝臓でのアルコールの処理は思いのほかゆっくりです。3単位飲んだら、半日近くかかると覚えておいてください。6単位以上飲んだとしたら、1日経っても脳は「ほろ酔い」状態の可能性があります。
――飲酒運転事故において、自動車保険ではどこまで補償されるのでしょうか?
もし飲酒運転の被害者になってケガをしたり、物を壊されてしまったりした場合は、保険金が支払われます。ただし、一般的に飲酒運転で事故を起こした運転者自身のケガやその車の損害には、保険金は支払われません。詳しくは、加入している損害保険会社に問い合わせてみてください。
――飲酒運転を防ぐために、どのような対策が必要でしょうか?
お酒が強い人ほど「自分は大丈夫」「1杯くらいなら……」と思いがちです。本人の意識を高めるとともに、まわりの人も無理に勧めないよう配慮が必要です。
日本損害保険協会のホームページでは、「飲みま宣言ドライバー」のダウンロードセットを提供しています。これは、宴会などの主催者や飲食店が、クルマで帰宅する予定の参加者やお客様にドライバーであることが一目でわかる目印をつけてもらうためのものです。クルマで帰ることをアピールすることで、ドライバーは「お酒を飲んではいけない」という自覚が促されるほか、周りの人にもドライバーにお酒を勧めないよう配慮してもらうことができます。
筆者はお酒が飲めない体質なので、勧められてもほとんど断っています。また、飲んだ人の代わりに運転をしてあげたことが何度かあります。ドライバー本人の自覚はもちろん、無理に飲ませないなど周りの気配りも大切ですね。
※各データは一般社団法人 日本損害保険協会の「飲酒運転防止マニュアル」およびホームページから抜粋しています。
(村中貴士+ノオト)
[ガズー編集部]
取材協力
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