経験者なら思わず納得!?大学の自動車部あるある

学生フォーミュラやダートトライアルといった競技に参加するなど、モータースポーツを中心に活動する大学の自動車部。大学によって活動内容はさまざまですが、自動車部ならではの“あるあるエピソード”というのもあるらしい。そこで、笑えるものから闇の部分まで“自動車部あるある”を元自動車部員に聞いてみました。

「FR対FF」終わりなき駆動方式バトル!

自動車部の主な活動がジムカーナやラリーだったとしても、中にいる部員メンバーの好みというのは、当然バラバラです。ある人は漫画「頭文字D」が好きで、シルビアなどFRの走り屋系の車種を愛していました。一方ある人は、ジムカーナを速く走ることに特化して、ホンダのインテグラやシビックなどのFF車を好みます。そんな多彩な好みを持ったメンバーで構成された部活内は、温厚な運営と並行して、たびたびクルマ愛がぶつかりあうことがあります。

「FRの方が早いに決まってる!FFのドリフトはかっこよくないし」。
「いやいや、そんなお下品な改造、認められん!そもそもタイムはFFの俺の方が早いし」

こんな風に、何かにつけて議論が始まるのです。そもそも駆動が異なれば走り方も異なるもの。ドリフト好きは滑りの可憐さなども考えるため、タイムだけで議論できる話でもないのですが、純粋なクルマ好きの微笑ましいケンカは止まりません。印象的だったのはそんな両者の争いを見ていた四駆の三菱・ランエボ乗りが、軽くコースを走らせてタイムをぶっちぎったことでした。

学部のカラーが部員の愛車に出る!?

セレブな学生たちが通う大学の自動車部員たちは、やはりクルマもそれなりで、特に歯学部の学生は新車に乗っていたり中古車でもランエボやスバル・インプレッサといった価格が高めのクルマに乗っていたり。一方、私が通っていた理系学部の学生たちは、キャンパスが郊外で近くに峠があったこともあるのでしょう。ほとんどが日産・シルビアや日産・スカイライン、トヨタ・AE86といったFR車でした。

FRユーザーたちだって自分の愛車は気に入っていて、その走りにもゾッコンなわけですが、心のどこかで「ランエボいいなぁ」と思っているもの。しかし、本当に羨ましく思っているのは、自分のクルマを持っていない1年生たち。「いつかは自分のクルマを!」と、家のクルマであるホンダ・オデッセイやトヨタ・マークⅡに乗ってくる姿はどこか可愛らしく見えました。

飲み会は少ないけど飲むときは朝までコース!

部員たちで集まるときは、クルマでファミレスが定番。よくある学生サークルのような飲み会やコンパはめったにありません。お酒よりクルマを取る人が多いので、あまり酒飲みはいない印象です。でも、新歓や忘年会など飲みの場はまた別。たまにしかないお酒が飲める場ということで、大いに盛り上がります。

話題の中心はここでも主にクルマ。「あのサーキットではここでブレーキを踏むんだ」とか「今、千葉で売りに出てるインプレッサがほしい」とか、普段の会話がそのままヒートアップ。結論のない会話はいつまでも続き、朝帰りになるのがお決まりのパターンです。ちなみに“宅飲み”のときは、朝までマリオカート大会になるのが通例でした。

ここまで、自動車部の微笑ましいエピソードを紹介してきましたが、いいことばかりが“自動車部あるある”ではないようです。さらに元自動車部員に取材を続けると、闇の部分もあることがわかりました。

定期的に降臨するサークルクラッシャー

自動車部員の男女比率は、9対1や10対0など、極端に男性が多いものです。そんな偏った男女比率は、4年に1回オリンピックと同じぐらいの周期で「サークルクラッシャー」問題を生み出します。実際にこんな話がありました。

あるとき、少し天然気質の女性が入部。男子部員たちはこぞって盛り上がり、彼女を親切丁寧に、部に馴染めるよう計らいました。そしてある日、ある男子部員が、ひょんなことから他の男子に彼女といい仲になったと告白。すると「実は俺も……」という話しになり、彼女の男癖の悪さが露わになったのです。

この話にはさらに続きがあり、彼女が三股していたことが発覚。それにより一人の男子部員が退部することになりました。男女比率の偏りがもたらす悲劇なのか、自動車部ではまれにこういう男女のもつれが起こります。

OBの意見が強くなりすぎた結果…

自動車部の活動は、走行会に参加したりダートトライアルやラリーに参加したりと、自動車競技に参加するのが一般的。しかし、自動車競技に参加するのは、お金がかかって大変です。そのため大学によっては、OBに多少の援助をお願いする部もあります。OBの援助はありがたい反面、結果として発言権が大きくなりすぎて、部活の運営がOB中心になるケースもあるのです。

最悪の場合、練習会などの日程をOBに合わせて組むことになり、学生がOBの都合で動くという事態に。学生は時間に融通がききやすいとはいえ、そんな歪んだパワーバランスに嫌気がさして、部を去る人もいました。

思い出に残る青春の1ページに!

お話を伺ってみると、闇の部分はあるものの、自動車部がクルマ好きの若者にとっていい経験になる場所であることは間違いないようです。取材した元自動車部員の方も、「就活のときのアピールポイントになりましたし、モータースポーツを通じて学生時代から多くの大人と接することができたのは、いい経験になりましたね」と話してくれました。大変なことも少なくないようですが、せっかく入部して活動するなら、一生の思い出に残る青春を作り上げたいものですね。

(文=凹凸ひろし+ノオト)

[ガズー編集部]

MORIZO on the Road