ジェレミーたちが帰ってきた! 「グランド・ツアー」試写会レポ

ジェレミー・クラークソン、リチャード・ハモンド、そしてジェームス・メイ。この3人のイギリス人が司会者として登場するテレビ番組といえば、イギリスの公共放送BBCが制作し、同局の中でもっとも視聴率が高いとも言われるクルマ番組「トップギア」。正確にいえばクルマ番組というよりもクルマを中心としたバラエティエンターテイメント番組で、イギリス人らしく皮肉たっぷりの歯に衣着せぬトークと莫大な予算をかけた企画、そして美しい映像は世界中のクルマ好きを虜にしました。無茶ばかりする出演者ながら、公共放送だけにスポンサーのしがらみをまったく気にしない、しっかりとクルマの本質を見抜いた高い評価も人気の秘密でしょう。

Amazon Studios

しかし、メイン司会者であるジェレミー・クラークソンのあまりにも歯に衣を着せなさすぎるトークゆえに番組内では彼の口から出た言葉で数々のトラブルが起き、最終的には彼が撮影中にスタッフを殴った(これは番組を終了に際しての話題作りの口実の可能性もある)として番組をクビに。それを受けてほか2人も番組を降板。あの3人の軽妙かつ皮肉たっぷりの掛け合いはもう見られないのか……と“トップギアロス”状態に陥っていたファンも少なくないと思います。

そんなファンに朗報が入ったのが、2015年7月のこと。ジェレミーをはじめ3人の司会者、そして一緒に番組を辞めたチーフプロデューサーをはじめとするスタッフがアマゾンと契約し、新たなる番組を作ることになったのです。それが「The Grand Tour(日本では「グランド・ツアー」)。長い製作期間を経て、ついに2016年11月にオンデマンドTVの「アマゾンプライム」にて世界同時公開されることになりました。

あのふざけた3人が帰ってきたのです!
これは見逃せません。

というわけで、その第一回目の配信日に合わせて、11月18日(金)に東京で行われたファンイベントに潜入してきたのでその様子を紹介しましょう。

トークショーでウォーミングアップ!?

当日は放映に先立ち、自動車ジャーナリストの島下泰久さんと今井優杏さんによるトークショーも開催。見どころや興味深かったシーンについて語り合ったほか、今井さんによる女性目線でのクルマ紹介などで会場内は盛り上がり、寒い冬にもかかわらず会場内の温度も一段と上昇(したような気がしました)。
ウォーミングアップが終わったところで、お待ちかねの第一話の上映がスタートです。

いざ上映。その中身は?

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はっきり言いましょう。素晴らしいです。 面白いです。
なにがすごいかって、まずはオープニングの映像の美しさ。きれいなんです。「トップギア」時代も予算を潤沢にかけた美しい映像が自慢でしたが(さすが天下のイギリス放送協会BBC)、「グランド・ツアー」だって負けていません。思わず「どれだけ予算をかけているんだ?」と突っ込みたくなってしまいます。息を呑むほど美しい映像の連続に、スクリーンの中へと引き込まれてしまいました。

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冒頭ではイギリスから海を越えてアメリカにわたったジェレミーが道路上でリチャードやジェームスと合流するシーンがあります。そこでのジェレミーのなんともうれしそうな表情が、今回の降板トラブルによって再確認できた3人の友情を物語っているような気がしたのは、きっとボクだけではないでしょうね。

あの美しい映像は受け継がれているのか?
お馬鹿でコミカルな演出はしっかりあるのか?

「トップギア」時代のファンはこの番組に多くの期待を持つと同時に、多くの不安も感じているかもしれません。しかし断言できます。
期待は裏切りません!

第1回目の舞台はアリゾナ

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「グランド・ツアー」はあの空港跡地のスタジオでの収録はなく、まるでサーカスのように巨大なスタジオテントと一緒に世界中を旅しながら収録していることになっています。
第1回の収録場所はアメリカのアリゾナ。企画は「ハイブリッドスーパーカー頂上対決」ですが、速さはもちろん無理難題のチャレンジにより、例によってハチャメチャな展開なのは言うまでもありません。でも心配はいりません。番組は変わってもあのノリはしっかり受け継がれているのですから。

「シーズン1」は全12話で、毎週金曜日に新作が配信されています。まだ番組は始まったばかりですが、あの軽妙なトーク、壮大でばかな企画、そして美しい映像がこれからも見続けられると思うと楽しみでたまりませんね。末永く続くのを期待しています。

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もしアマゾンプライムに入会しているのなら、この「グランド・ツアー」を見ないなんてもったいないですよ。
「まだ見たことがない」というあなたも、ぜひ見てください。もちろん「トップギア」のファンだったなら、見ないなんていう選択はあり得ません。
でも、くれぐれも中毒にならないように注意してくださいね。

試写会会場の外にはBMW・ M4クーペGTSを特別展示。世界限定700台、日本には30台しか輸入されないスペシャル仕様で、走行メカニズムや内装の仕立てはまるでレーシングカーのよう。運転してみましたが、魂を揺さぶる鋭い加速感と音にアドレナリンが出まくりでした

(工藤貴宏+ノオト)

[ガズー編集部]

MORIZO on the Road