人身事故の54%は交差点で起きている! 「事故多発交差点」の特徴とは?
交通事故のニュースをよく目にします。当事者にとって大きな被害となる交通事故ですが、別の側面から見ると「社会的な損失」であるとも言えますし、もちろん死傷者が出ることも少なくありませんから、一件でも減ることが望まれます。
そこで今回は、事故、災害および犯罪の防止・軽減に関する活動を行っている一般社団法人 日本損害保険協会を訪ねました。「全国交通事故多発交差点マップ」についてお話を伺うためです。
――日本損害保険協会(以下、損保協会)とは、どういった団体なのでしょうか?
国内の損害保険会社26社を会員とする事業者団体です。事故、災害および犯罪の防止・軽減に資する事業に取組み、交通安全、飲酒運転防止、高齢者ドライバーの事故低減、自動車盗難などについて啓発活動をしています。
――損保協会のホームページで公開されている「全国交通事故多発交差点マップ」はどのような経緯で作りはじめたのでしょうか?
交通事故の半数以上が、交差点およびその付近で起きています。そこで交差点事故を減らす啓発活動の一環として、2007年より「全国事故多発交差点マップ」を作り始めました。交差点ごとの特徴や事故の状況・要因について、都道府県別に分かりやすく紹介しています。
- 損保協会ホームページ「全国交通事故多発交差点マップ」
――過去10年のデータで何か変化などありますか?
交差点事故の割合は54%前後で変わっていませんが、全体として事故件数は減っています。このマップが事故の低減や削減にどれだけ貢献できたかはわかりませんが、道路状況の改善、自動車の安全装置の進歩や交通安全の啓発活動などの取組みが合わさった結果だと考えています。
――事故多発交差点ではどういった事故が多いのでしょうか?
ほとんどが4枝(十字)の交差点で起きています。また、4車線以上の大きな交差点が約8割、道路種別では約7割が国道となっています。死亡、重傷、軽傷の分類でみると、9割以上が軽傷事故です。「猛スピードでの出会い頭事故」をよくニュースで見ますが、全体としては大きな事故の割合は少なく、交通量が多い中での軽い追突、巻き込みがほとんどです。歩行者との接触事故含めた事故類型でみると、追突約4割、右折事故約2割、左折事故約1割となっています。
――特に気をつけるべき点はありますか?
左折巻き込み事故についてはある程度啓発されているようで、割合でいうと右折事故の方が多いという結果になっています。意外に多いのは右折したあと、横断歩道の歩行者に気づかずにぶつかってしまうケースがあると聞いています。
――この「全国事故多発交差点マップ」は、誰に向けて発信しているのでしょうか?
警察や行政というよりも一般のドライバーに向けての意味合いが強いです。そもそも交差点事故だけに着目したマップはほかにないので、「交差点は危ない」という認識に加え、交差点に限らず、交通安全について、改めて考えていただくひとつのきっかけとしてほしいと考えています。都道府県別に検索できるので、よく運転する地域の交差点をチェックしてみてほしいですね。
――今後の予定は?
「全国事故多発交差点マップ」は毎年秋に発表しており、2017年以降も引き続き更新していく予定です。また、十年間のデータが蓄積されましたので、傾向など取りまとめたものを何らかの形で発表することも検討しています。
交通事故は、ドライバー自身による対策や心がけで減らせるものです。上記のマップも参考にして、被害者にも加害者にもならないよう気をつけましょう。
(村中貴士+ノオト)
[ガズー編集部]
取材協力
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