バス製造から特殊車両へ“にしてつ”のグループ会社「西鉄車体技術」その1

「にしてつ」といえば、福岡県内を中心に鉄道・バスなどの交通関連、旅行代理店やホテルといったレジャー関連、さらに都市開発から不動産業まで手がける「西日本鉄道株式会社」のこと。福岡にお住まいの方にとっては、お馴染みの企業でしょう。そのグループ会社に「西鉄車体技術株式会社」という気になる名称を発見し、取材をしてきました。

普段利用しているバスは「にしてつグループ」自社製かも?

1956年に設立された西鉄車体技術は、“にしてつグループ”で、バスの修理やリニューアル、及び車両の改造などを行なう会社です。「新日本機動工業株式会社」、「九州飛行機株式会社」、「西日本車体工業株式会社」の3社をルーツに持ち、2016年に現在の社名となっています。

かつて親会社の西日本車体工業は、2010年まで年間約1000台バスを製造し、大型シャシーメーカーを通じて全国のバス事業者に供給していたという、いわばバス車体メーカー。にしてつグループは、車両の設計・製造・販売を経て、路線・貸切バス事業までをカバーしていたわけですね。エンジンや駆動系パーツを大型シャシーメーカーから供給を受け、オリジナルのボディを架装していたそうです。

メーカーとしての役割を終えても、その技術を「西鉄車体技術」が継承

西鉄を含む全国のバス事業者は新車のバスを車両メーカーから購入しています。しかし、全国で利用されているバスには、かつて販売されていた西日本車体工業製のバスもあり、バスの構造に関するサポート等のニーズはいまだにあり、バスの修理や中古バスのリニューアル販売といった需要の高まりもあって、「西鉄車体技術」は近年成長を遂げました。

しかし、バスの修理や中古バスのリニューアルだけが、西鉄車体技術ではありません。それらの技術力を活かし、全国に1台だけの「豪華貸切バス」、健康診断を行なう「医療用防疫車」、動物園内を走る「パトロールカー」といった車両の改造も行なうようになりました。

佐世保市のクルーズバス。元フェラーリのデザイナーによるデザインの車両
佐世保市のクルーズバス。元フェラーリのデザイナーによるデザインの車両
動物公園内パトロールカー。動物が開けないためのドアノブのカバーや、動物の顔が侵入しないように窓に柵が装着される
動物公園内パトロールカー。動物が開けないためのドアノブのカバーや、動物の顔が侵入しないように窓に柵が装着される

ルーツは太平洋戦争時代にまでさかのぼる

西鉄車体技術のルーツとなった3社のうちのひとつ「九州飛行機」、では「震電(しんでん)」という戦闘機を開発していました。この戦闘機は、1945年8月実戦に投入されることなく日本は敗戦。戦後、設計図は処分され、完成機の内、1機は米軍に没収されたとのことです。その飛行機の機体づくりのノウハウは、1946年に設立された「西日本車体工業」のバスボディ製造に転用されたとのことです。ちなみにアメリカに没収された一機は、アメリカのスミソニアン国立航空宇宙博物館に保管されています。

現在の西鉄車体技術は、「九州飛行機」の流れをくむ「渡辺自動車」の工場があった佐賀県三養基郡にあります。九州自動車道が縦横に交差している、まさに九州の“おへそ”にあり、バスボディの修理や中古バスリニューアルの打ち合わせや検収に訪れる九州各県のバス事業者にとって、利便性が高い立地です。西日本車体工業製のバスのボディパーツのストックもここにあり、関東や北海道を始め、全国のバス事業者に供給しています。

取材を通じて、旅客業である“にしてつ”が、意外にもバスの修理や中古バスのリニューアル、車両の改造を行うグループ会社を持っていることに魅力を感じました。次回は鳥栖市にある工場に潜入した様子をお伝えします。


(赤坂太一+ノオト)


[ガズー編集部]

取材協力

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