「鋭角の通過」に「指定場所停車」…第二種運転免許の試験を体験してみた

主にタクシーやバスなど、旅客自動車を仕事で使うときに必要になる「第二種運転免許」。私たちが持つ「第一種運転免許」とは違いがあるのか、答えられる人はいるでしょうか?

最近は介護タクシーなどの需要も高まり、取得する人もじんわり増えているというこの第二種運転免はどんな技術を身につければ合格できるんだろう? 一発試験もできる? そう疑問に思った筆者は、埼玉県さいたま市にあるKM自動車教習所・志木・秋ヶ瀬校を訪ねました。

二種免許って何が違う?一発試験は無理?

「二種免許の一発合格はかなり難しいと思います」そう言い切る小林教官

まずは、第二種免許を取得する上で、第一種運転免許と何が違うかを教えていただきました。具体的にはこんな感じ。

・実技の合格点が高い(一種は30点まで減点OK。二種は減点20点まで)
・視力テストに「深視力検査(奥行知覚検査)」が加わる
・学科には旅客自動車に関する問題がプラスされる(合格点は90点)

小林教官いわく「一発試験はよっぽど勉強したり練習したりしておかないと難しいと思います」とのこと。一発試験を検討されている方は、入念な準備をおすすめします。

とはいえ試験内容は、第一種免許の延長線上にあるため、長年クルマに乗ってきたベテランドライバーよりも、教習所で教わったことをまだ覚えていて運転の癖もついていない新人ドライバーさんの方が、意外と取得しやすいのだとか。

第二種運転免許は、第一種運転免許取得から3年経過でチャレンジできるので、将来のキャリアを考えて取得しておくのもアリかもしれません。

けっこう難しい…二種免許取得にチャレンジ!

今回は二種免許取得の難しさをお伝えするため、「深視力検査」と「鋭角の通過」、「路上での指定場所停車と転回」を練習してみました。

トライするのは、「学生時代にジムカーナをやっていたので運転技術はそこそこある、はず…」と弱腰に自慢する女性ライターO(以下:ライターO)。最近はペーパードライバー気味だそうですが、どんな結果になるのでしょうか。

「私、視力両目1.5あるんですよ!」と序盤から自信満々のライターOだが…

まずは「深視力検査」を行います。この検査は、遠近感や立体感を正確に把握できるかを調べるもの。検査器の中を覗くと3本の棒が見えます。そのうちの真ん中のみが前後に動くようになっていて、前後の距離がなくなった際にボタンを押して深視力を測ります。ライターOは「一発でクリアして見せる」と自信満々でチャレンジしました。

真ん中の棒が前後に動き、両サイドの棒と一直線になった瞬間にボタンを押す

視力というより物を立体的に見る力が必要になる、深視力検査。ライターOは、宣言通り「1mm、7mm、2mm」と「3回検査の誤差が2cm以下」という深視力検査の試験基準を余裕でクリア! ライターOの立体的に見る力が証明されたわけですが、地図は読めないらしいです…。

鋭角の「切り返し」にチャレンジ

調子が出てきたところで、続いて切り返しをしないと進めない鋭角な道の通過にチャレンジ。実際の試験で許される切り返し回数は3回。スムーズにいけば1回の切り返しで通れるそうで、路側帯に擦ったり乗り上げたりした場合はアウトです。

90°以上の鋭角なコーナーを、切り返し3回以内で曲がる「三角ゾーン」

「ジムカーナではコース取りを学んできましたから!」と、ライターOはまたしても強気なので、まずはノーヒントで三角ゾーンにチャレンジ。「1回の切り返していけそうだな~」と恐る恐る進むライターOのクルマは…ゴリッ! たしかに切り返し1回で進めそうだったものの、縁石に右後輪を擦ってしまいました。

ジムカーナで鍛えた技術で、切り返しはバッチリ。でも、車体感覚がうまくつかめていない様子
「絶対大丈夫だと思ったのに」とショックのライターO。いやいや、完全にアウトです…

小林教官に改めてコツを教えていただき再チャレンジ。すると今度はスムーズにクリアできました。「教習車の場合、後ろが長くどの程度までいけるかの距離感がつかみにくいんですよ」とのこと。さりげないフォローが、技術の向上につながるんですね。

転回&引っかけ満載の指定場所停車!

続いては公道に出ての路上教習。ここでは「転回(Uターン)」の練習と「指定場所停車」をしていきます。転回のコツは、切り返しを含めていかになめらかな操作ができるか。また実際の公道ですから、一般車両を待ったり譲ったりしてスムーズに行えるかも見られます。

「そもそもここってUターンOKなんですか?」と引っかけ指示に不安になりながらも、転回は問題なくクリア

続いては指定場所停車。タクシーに乗ると「この先の信号で止めてください」とドライバーに指示をしますよね。このときドライバーは、そこが停止しても良い場所かダメな場所かの判断ができなければいけません。

「じゃあここで止まってください」と指示され、素直に停車するライターO。のどかな道路はクルマも通ってないし問題なし…と思っていたら、バス停の真ん前に止まっていました。減点です…。

「人もクルマもいないし安全!」とクルマを止めたライターOだが、ここはバス停の前なのでアウト!

ちなみに、バス停の停留所の表示板から10m以内は駐停車禁止。ほかにも横断歩道や自転車横断帯と、その端から前後に5mなどなど、けっこう禁止場所は多いので、これはきちんと予習しておかないと引っかかりそうです。

今回、二種免許取得に必要な試験をいくつかチャレンジしたライターOは、「細かい交通ルールを忘れているなと改めて痛感しました」とちょっと反省モードに。切り返しなどの実技に関しては、教習車で慣れる必要があるので、一発免許を狙う方はしっかりとした準備をしておかないと、一種の延長の感覚で臨んでも苦戦しそうです。

季節は春。新しいことを始めるなら今が最適です。教習所の繁忙期がすぎるこの時期に、第二種運転免許の取得にトライしてみてはいかがでしょうか?

(おおしまりえ+ノオト)

[ガズー編集部]

取材協力

KM自動車教習所 志木・秋ヶ瀬校
Webサイト:http://www.km-ds.com/j00.html
電話番号:048-473-2311