自動車業界特化した「人財」紹介サービスが守りたい「ジャパン・クオリティ」とは

日本車の品質の高さについて世界で高い評価を得てきたことは、すでに多くの人が知るところですよね。これは「日本で使われてきたクルマが持つ、しっかり整ったコンディション」と、それを支える車検などの法制化されたクルマを取り巻く環境や整備品質の高さについて、大変高い評価を集めているからです。

世界を股にかけて、クルマの販売・整備・買取など、自動車関連ビジネスを幅広く手掛ける株式会社トップランクは2017年3月、営業・整備士など、自動車業界に特化した「人財」紹介サービス「KURUMAYA.net」をスタートさせました。クルマを支える「人財」に特化するという今までにない新しいサービスについて、株式会社トップランク人財事業推進室マネージャー山梨智信さんにお話を伺いました。

今回お話を伺った山梨智信さん。もちろんこのサービスの訴求に東奔西走されている毎日だが、転職を希望されている方、求人したい自動車関連企業への気配りも忘れない方だ

日本の整備クオリティは世界に誇れる価値がある

自社で整備ピットをもっていて、納車された後のメンテナンスなど、ユーザーも安心できる環境が整っている。この整備をしっかりすることも、日本の売りであることをトップランクは知っているのだ

「KURUMAYA.netは、転職希望者と人財を求める企業をマッチングするサービスです。最初は整備士さんをメインに想定しておりましたが、自動車販売を始めたいという相談や、自動車の陸送経験者の方。また国産車から輸入車の営業に転向したいなど、様々な方々からご相談いただいています。またプレオープンからすでに100件ほどのアクションが発生しております」(山梨智信さん)

車検が義務付けられ、コンディションが悪いと走ることができない日本のクルマに対して、安全性を支える整備士の人材不足は慢性的であり、根の深い問題です。また専門学校卒業後、ほかの職場状況について知ることもなく、就職した整備工場で働いている人も多いと言います。そのため、自分の待遇の良し悪しについて判断できていない人もいるのだそうです。営業職については、常に人が足りないため、経験者を欲しがる自動車販売会社も少なくありません。そのような状況を踏まえ、KURUMAYA.netがまず行うことは、転職希望者のスキルチェックなのだそうです。

「通常の求人サイトや転職エージェントは、人材の専門家ではあっても、クルマの専門家ではありません。しかし私たちは、クルマの販売・整備・買取を行う会社として成長してきました。
例えば、一言で『整備』と言っても、通常の点検や車検ができる人、輸入車を手掛けてきた人、中にはモータースポーツにも携わったという方もいます。『塗装』と言っても下地、塗装作業、色づくり(塗装用のペイントの調合)などレベルの差も人それぞれであるはずです。そのほか、チューニングやポリマーなど、アフターマーケットでは様々な付加価値をクルマに与える仕事もあります。
そうした積まれてきたタスクの種類や幅、それぞれのスキルを把握しないで、求人企業様とのマッチングは出来ません」(山梨智信さん)

エントリーの連絡を受けると、できるだけ細かく面談をして、現状の把握と希望や夢のヒアリングを行うと言います。そういう中で、給与面、勤務時間、待遇など、その人に合った求人企業様を探していくのだそうです。また山梨さんは、実績を棚卸することで、一人一人が今を見つめなおす機会になることも、サービスの価値と考えています。

求人企業にとってもコストパフォーマンスの高い求人サービス

トップランクが「人材」ではなく「人財」という表現にこだわるのは、今現在、自動車の販売・整備・買取を行い、できるだけいいメカニック、営業スタッフなど人を確保しておくことの大切さを身に染みて痛感しているからではないでしょうか。だからこそ、妥協はしたくないがコストも抑えたいという、クルマ屋さんのニーズに合わせて掲載料なし、マッチングが成立した上での成功報酬型の料金体系を採用していると言うのです。

「もちろんスキルの高さも大事ですが、クルマ屋さん特有のキャラクターや社風みたいなものもあります。この人がこの業務に従事できるかという以上に、あの会社の社風に合うか、といったことまで考えます。より精度の高いマッチングを成立させて、業界のためにお役に立ちたいと思いますね」(山梨智信さん)

さらに、将来の展望について山梨さんに聞きました。

「海外諸国の中には日本のクルマに憧れていて、日本のKURUMAYA(クルマ屋)で働きたい人もいます。そういう方に日本の整備工場で経験を積んでもらい、故郷に帰っても、自動車業界で活躍して欲しいと思っています。ゆくゆくはクルマだけでなく、国際的にクルマに携わる人材がKURUMAYA.netでマッチングできればと思います」(山梨智信さん)

製品品質の高さだけではなく、世界のユーザーの心を打つ、「人が支える日本のクルマの良さ」を守る「人財」にフォーカスしたこのサービス。今までの常識から一歩踏み出して、日本のクルマ文化を新しい角度から支えてくれる可能性を秘めたサービスではないでしょうか。

(中込健太郎+ノオト)

[ガズー編集部]

取材協力